参議院国民生活・経済に関する調査会で質問

2月16日 参議院国民生活・経済に関する調査会で質問
★2022年2月16日 参議院 国民生活・経済に関する調査会 Youtube録画 https://youtu.be/BnOBtIiUa2I

○石垣のりこ君 立憲民主党の石垣のりこです。本日、3人の参考人の皆様、それぞれの貴重な経験、そして知見を共有していただきまして、誠にありがとうございます。それでは、順に質問させていただきます。まずは、カタリバの今村参考人から伺います。
これ、ちょっとどのように考えていいかということ、ちょっと認識に関してなんですけれども、学校教育基本法の改正について触れていらっしゃったんですが、これは、いわゆる保護者が義務教育を受けさせる義務という点での、教育を受けさせるための、法律のまず基本的な保護者側から見た義務というところがあると思うんですけど、それと表裏一体で、子供の側からすれば、それは子供が教育を受ける権利というふうに、これは表裏一体のものだと思うんですね。その上で、この学校教育法の改正に言及していらっしゃるというのは、私の解釈からすると、学校というものをもう少し広い概念で捉えて、いわゆるフリースクールのようなところも含めて、子供が現状、今なかなか実現できていない教育機会を保障する場として、もうちょっと解釈を広げて教育というものを考えたらいいんじゃないかというような認識でも問題ないですか。

○参考人(今村久美君) ありがとうございます。そうですね、ここに現行法の16条、17条、18条について明記させていただいたんですけれども、まずは、16条については、普通教育の解釈を多様化し、まさにおっしゃるとおり、学習指導要領どおりに学ぶということが普通教育を受けているということに限らず、様々な学びについても学びともっと認めていこうということを踏み込んで判断していけるような、これは解釈を変えていこう、多様化していこうということを書いたんですけれども、二つ目の第17条のところでいいますと、今やっぱり、就学するということが学校に行くということになっているので、ここの部分で、例えば行政が認める機関で学んでいるということも含めて、就学義務、登校の緩和を、登校限定というところを緩和していくことで、きちっとそこで本当にそこに通っているんだよねということの確認も含めて学校がしていくということになるのではないかと思っています。今、教育の機会確保法というまた別ロジックの法律ができたので、フリースクールに行っているお子さんから聞くと、在学している一条校の方にフリースクールに行っていますということを言って以来、一度も連絡が来ていないみたいな声も逆に聞くという現象も起きている、運用されているところもあって、そうなると、例えば虐待、私が虐待親だったらどうするんだろうみたいなことその方はおっしゃっていたんですけど。なので、やっぱり多様に認める代わりに、きちんとその御家庭が学びをサポートできているかというところが、モニタリングをしていくべきというところをしていくのが必要かなと思っています。そういったことも含めて提案させていただきました。

○石垣のりこ君 ありがとうございます。もう一点質問させていただきます。 18、これ16ページかな、オンライン支援の担い手を広く募集されて定員以上の応募があったというお話がありましたけれども、この辺りの人選、こういう経歴を持った方たちがということで羅列されておりますが、この方たちをどういうふうにマッチング、需要に対してマッチングをされていくのか、またその実際に支援をされていかれる方たちのフォローアップをどういうふうにされているのか、教えていただけますか。

○参考人(今村久美君) ありがとうございます。オンラインで、まずどんな専門性を持っている方なのかということを通常どおり履歴書を出していただいて職務経歴書で判断しているというのがあるんですけれども、例えば一概に心理職、同じ臨床心理士を持たれて公認心理師取られたという方でも、例えば不登校のお子さんのケアに強い人もいれば、親御さんのケアに強い人もいれば、例えばヤングケアラー状態の御家庭とどう関わるかという経験値をお持ちの方もいれば、又は外国ルーツのお子さんと関わることが強い方もいれば、いろんな方がいらっしゃるわけなんですけど、今は地域ごとに人を採用していて、この人がこの学校のスクールカウンセラーです、スクールソーシャルワーカーですとなっているので、その方の経験値を前提にできなくて、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーガチャみたいになってしまっているというのが現状あるんです。一方、オンラインだと、こういう人は、この専門家は栃木県に住んでいるけど神奈川県のこの人の相談にマッチングするねみたいなことが履歴書とかこれまでの経験値でマッチングしていけるので、リアルで行政ごとに人を採用するよりも、学校ごとに採用するよりもマッチングしやすいなと思っています。ちょっとお答えになっていないかもしれないんですけど、今そういった取組をいろいろと試しているところです。

○石垣のりこ君 もう一点、そのマッチングと実際に支援をされる方たちがどういうふうに、キャリアアップというんじゃないですけれども、経験を積んで、例えば共有する必要があるんだったら共有していく、もっとスキルアップしていくというようなことというのはなさっていらっしゃいますか。

○参考人(今村久美君) ありがとうございます。現状の学校配置のスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーには、ほぼその仕組みがないと言える地域が多いそうです。それは、学校に一人職種になっているのでフィードバック受けられる機会がないということが起きているんですけど、オンラインですと、振り返りミーティングを、いろんな面談を同時多発でした人たちがこの時間に集まってみんなで振り返りしましょうとか、単純に同じ共通の学びのシートに書いていきましょうとか、あと、さらに、能力の、別の専門性を持った人が一緒に一つの問題を向き合ってケース会議しましょうみたいなことができるので、すごく振り返りやキャリアアップはしやすい状況にあるなということを感じています。

○石垣のりこ君 今村参考人、ありがとうございました。では、続いて、原田参考人に伺ってまいります。地域福祉の観点から困難を抱える人への支援体制の在り方ということでお話しいただきました。お話しいただいた中で、やはりその先進的な自治体に共通していることというのが、地域ニーズの分析、課題解決に向けた方策、将来のビジョンを有していることという三点挙げていただきましたけれども、現状、この重層的支援体制の整備事業を各自治体で採用して進めていく中で、特にどの辺での引っかかりというか、具体的にこういう支援がもうちょっと重点的にあると進めやすいということを何かお感じになっている、調査の中で感じられていることはありますでしょうか。

○参考人(原田正樹君) ありがとうございます。非常に具体的なことを申せば、その自治体の中の重層の担当者支援が非常に重要だと思っています。その重層の担当になった職員が、やっぱり、さっきの話ではないですけれども、どこにも相談できない状況でこれだけ大きな事業をどうするんだと抱え込んでいますので、その担当者支援とか研修の機会をしっかりやっていくというのが一つ有効な手だてかと思っています。

○石垣のりこ君 ありがとうございます。その、じゃ、担当者を、そういう学ぶ機会というと、例えば原田参考人のような方に来ていただいて、こういうふうにする事例があるよというような御紹介をしていただくような講習会を開くとか、あとは、これを進めていく国側がそういう教育制度をつくっていくとか、そういうことが考えられると思うんですけれども、具体的に何かこういう方法というような御提案がありましたら教えてください。

○参考人(原田正樹君) 実は、もう厚生労働省の方がそういうような情報提供だとか、まあ研修までがっちりはしていませんけれども、そういうようなコンテンツを今つくり始めてくれているんですね。ただし、その制度的な説明だとか、今日もそうですけど、先進地事例だけを聞いてもなかなかそれが進まない。つまり、各自治体の中でどういう構想をしてどうしていくのか、そこの担当者職員同士のネットワークや担当者職員のそこのコンサルティングみたいな個別支援ができないと、なかなかもう一歩先へは進まないのではないかなと思っております。

○石垣のりこ君 そういう意味では、今日お話もいただきました朝比奈参考人のような方を地域につくっていくということが非常に重要になるのではないかと思うんですけれども、朝比奈参考人のお話を具体的にお聞きになられて、原田参考人、何かその御感想なり、こういうところは非常に重要だとお感じになったことがあったら教えていただきたいんですが。

○参考人(原田正樹君) 朝比奈参考人の実践というのは、本当にいつもいろいろなところで学ばさせていただいているんですけれども、やっぱり、対象別ではない、その一人の困り事をみんなでどう支えていくかというその視点を非常に丁寧にされている。そういう支援が全国に広がっていくということがこれから非常に求められているなと思います。

○石垣のりこ君 原田参考人、ありがとうございました。
では、続いて朝比奈参考人に伺います。 非常にソーシャルワーカー像としてトータルで、本当にハブとなって活動されていらっしゃるなというふうに感じました。この今なさっている市川市のこの支援の中で、御相談件数っていろんな年代別に資料を取っていらっしゃいましたけれども、見えにくい支援の対象者に対してはどのような今アプローチをされていらっしゃるでしょうか。

○参考人(朝比奈ミカ君) 御質問ありがとうございます。やはり、各分野の、例えば地域包括支援センターであったり、それから障害のケアマネさんであったり、そうした方々と日常的に話をしていると、やっぱりその見えてくるところというか、少しテーマが浮き彫りになってきたりします。ですから、いろいろなところで、例えば介護をしている高齢者の向こうに自立し切れないお子さんの問題、例えばニートのような状態でいらっしゃるといったときに、どういうアプローチが可能になるかとか、そこでどういう、例えば公共につないでくれたらどういう働きかけが必要になるか、どんな展開になるかといったことを少しイメージしやすいように事例を共有するといったようなことが一つと、直接相談につながらないまでも、ちょっと気になっているおうちのことについてアドバイスが欲しいといったような、間接的な相談というのは結構受けてきます。そこの中にどんな課題があるかということを私たちなりに分析をしたり、アプローチをしたり。 それから、やはり、この間ずっとテーマにしているのが、先ほども発言させていただきました、親、家族頼れない子供たち、若者たちです。そこについては、担当している地域内の高校に働きかけをしながら、仮にSSWなどがまだ配置が進んでいないところであっても、先生方が気になる御家庭について、お金の問題それから生徒さんの問題自体も含めて、必要があればお手伝いをしますということで先生方に投げかけをさせていただいて、そこからまた想定外の話が入ってきたりですとか、そういったことでやはりそのつながっている人たちを通じてその見えにくい課題を何とか見出せるように努力をしております。

○石垣のりこ君 ありがとうございます。今のお話もまた一番最初にお話しいただいた今村参考人の活動ともつながっていくことなのかなというふうに思います。
朝比奈参考人、今日のお話の中では直接出てこなかったんですが、先ほど原田参考人も触れていらっしゃいましたけれども、複数の方で、一人の人が一人の相談を受けるのではなくて、やはり複数で共有をしていく必要があると。で、その複数で共有をしていくときに、別な資料で朝比奈参考人がとても重要だという指摘をされていらっしゃったのが、課題をまず言語化をしていくということをキーワードとして挙げていらっしゃったんですけれども、具体的に言語化をして課題を共有し、自らも自分の活動を振り返るということだと思うんですが、ちょっとその辺の活動について簡単に御紹介いただくことと、その言語化をしていくという、まあ一言で言ってしまうと簡単そうに聞こえますが、実はとても難しい作業だと思いますので、それをしていくために何か手助けとなる方法とかツールとか工夫がありましたら教えてください。

○参考人(朝比奈ミカ君) ありがとうございます。例えば、最近社会的な課題として取り上げられているヤングケアラーといった人たちも、昔からいたんですけれども、ヤングケアラーという名前が付いたことで一気に社会的に取り上げられるようになったという状況があると思います。心配なおうちについて、そういうふうに話をしているレベルではなくて、8050もそうだと思いますし、ダブルケアなんていうこともそうだと思いますし、そうした、セルフネグレクトというのもそうだと思いますけれども、名前が付いたことで課題として顕在化するということが結構あると思うんですね。なので、やはりちょっと今この状況、この御家庭は何か気になっていて関わる必要があるんじゃないかといった事例を、いかに地域の中で共有をしながらそこをクリアにしていくかということが一つ重要だというふうに思いますのと、あと、面接を通して御本人から聞けることというのは実はほんの僅かであったり、場合によってはそれが事実かどうかというのはまた別の問題だったりします。ですから、面接でそれを聞いたということだけではなくて、相談員が五感を使ってですね、訪問する、観察をする、それから経過を見るということも含めて、そこに肉付けをして立体化、立体的に捉えていく必要があるというふうに思っておりまして、その辺りがやはりOJTの中で人材を育てていくところの肝になるというふうに思っているんです。そのときに、聞いてきたような言葉で話すのではなくて、やはりどんなに拙くてもいいから自分の言葉で話をする。それを先輩職員がきちんとつかまえて、ちゃんとそこの言葉の意味付けをしていく。そんなその職場の中のコミュニケーションですとか、関係機関間のコミュニケーション、分野を渡ってしまうと使っている言葉が違ったりもしますので、そういうことが闊達になっていくということが今後の体制づくりにとって極めて重要なんじゃないかと思っております。

○石垣のりこ君 3人の参考人の皆様、ありがとうございました。それぞれの違う、いろいろな経験を一つの、できるだけ言語を共通にしながら、やっぱり情報交換をして、やっぱりネットワークをつくっていくということが非常に重要だなということを改めて感じさせていただきました。今日はありがとうございました。 以上です。

○会長(芝博一君) 以上をもちまして石垣のりこ委員の質疑を終了いたします。