参議院 厚生労働委員会で質問

3月16日 参議院 厚生労働委員会で質問
★2022年3月16日 参議院 厚生労働委員会 Youtube録画 https://youtu.be/i9OZNg16K_E?t=1654

令和四年三月十六日(水曜日)参議院厚生労働委員会(未定稿より転載)

○石垣のりこ君
立憲民主党・社民の石垣のりこでございます。厚生労働委員会での質問は初めてとなります。どうぞよろしくお願い申し上げます。まずは、おととい、政府がまん延防止等重点措置を適用している18都道府県のうち、東京と愛知、大阪の3都府県を除く15道府県について、期限の21日で解除する方針で調整に入ったと、方向で調整に入ったという報道がございました。今日にも残る3県の意向を踏まえて方針を決定するということで報じられておりますが、そんな中、昨夜、新型コロナウイルスの感染が拡大している地域では、一般の事業所で感染者が出た場合、濃厚接触者の出勤制限を一律に求めない方向で政府が検討していることが分かったという報道が入ってきたんですが、ちょっとこれ、昨日の夜の話ではございましたけれども、一応質問通告もいたしております。 ちょっと今のこの状況について厚労大臣にお答えいただけますでしょうか。

○国務大臣(後藤茂之君)
オミクロン株の濃厚接触者の特定や待機の在り方については、これまでも科学的知見に基づきまして見直しを行ってきたところであります。 こうした中、本年3月9日のアドバイザリーボードにおいて、有識者から濃厚接触者の特定に関する見解が報告され、議論が行われました。濃厚接触者の特定と自宅待機等の求めは、公衆衛生の観点から感染拡大防止を目的としたものであります。オミクロン株は潜伏期間や世代時間が短いことから、こうした感染拡大防止効果は限定的なものとなっているけれども、高齢者施設の場合など閉じた環境で場が限定されており、接触者の確認が迅速に行える場合には効果が期待されると、このような指摘がなされて、議論が始まっているところでございます。濃厚接触者の待機の在り方については、こうした濃厚接触者を待機させることによる感染拡大防止効果と、濃厚接触者が働けないことなどによる社会経済活動への影響の両面から検討することも必要でございます。現在、専門家からの提言も踏まえまして、政府内での検討も行っている状況でありますけれども、地域の実情に応じた取扱いとなるよう留意しつつ、新たな科学的知見を踏まえながら必要な改善を絶え間なく行っていくということでございます。ですから、今の現状において、昨晩の報道、私も見ましたけれども、そうしたことが具体的にまだ決まっているというわけではありません。

○石垣のりこ君
まだ決まっている状況ではないということなんですが、もちろん、これまでも濃厚接触者の扱い、待機期間等の見直しというのは行われてはきておりますけれども、期間を見直していく、変異株の性質に応じて変えていくというのはもちろん状況に応じて必要だとは思うんですが、と同時に、やはり、この濃厚接触者の特定をして待機をしていただくという本来の目的は、感染拡大を防止していくという大きな目的があるわけで、それがこの待機期間を設けないような事例を実際許してしまうことによって感染拡大になってしまったら元も子もないわけでございます。その上で、こういう対応されるのであれば、確実に短縮期間の間に、これは短縮が全くなくなるのかどうか分かりませんけれども、やはり検査を複数回実施した上で、感染拡大をさせない体制にした上での、濃厚接触者を一律に出勤制限等を認めないというふうな体制づくりがかなっているのであれば、これはまた有効な手段になるとは思うんですけれども、ちょっとその部分が一切見えない段階で、感染拡大がしっかりと防止されるかどうか分からない段階でこのような話が出てきてしまうと、政府の方針として、感染はもうある程度拡大しても仕方がない、そういうふうな方向を打ち出しているように受け取られかねないと思いますので、しっかりとその辺の御検討をいただきたいなと思っております。 かつ、濃厚接触者の方でも、症状がある方であればもちろん様々な検査で引っかかる可能性はありますけれども、無症状の方を検査するということを考えれば、確実にPCR検査で複数回の検査を実施できる体制というのが全国的に整えられなくてはいけないということも申し添えておきます。その上で、現在のこのまん延防止等重点措置、これ最終的にどうなるかということで決定が待たれるところではあるんですが、現在の新規感染者数、病床使用率など感染状況について、大臣、どのように認識されていますか。

○国務大臣(後藤茂之君)
直近の新型コロナウイルスの感染状況につきましては、全国の新規感染者が3月15日時点で5万714人となっております。感染の水準が高かった地域の多くでは減少が続いている一方で、感染の水準が低かった地域では減少傾向が弱く、下げ止まりや増加が見られるなど、感染状況の推移に地域差があるという状況になっております。また、3月15日時点の病床使用率については、ほぼ全ての都道府県において病床使用率が6割を下回っており、例えば東京都においては41%、重症病床の使用率は36%となっております。ただし、新規感染者数の減少が継続している地域においても、入院者数の減少は緩やかな状況にとどまっているというような事態でございます。こうしたことを考えますと、引き続き高い警戒感を持って感染状況を注視していく必要があるというふうに思っております。

○石垣のりこ君
高い警戒感を持って感染状況を注視していくというお言葉がありましたけれども、そんな中で、3月11日に開催されました新型コロナウイルス感染症対策分科会、こちらの資料、お手元にお配りしています資料の1ページ目にもございますが、感染拡大の状況に関して、解除をする基準をこういうふうに考え方を変えていったらいいのではないかという方針が示されております。これまでの考え方は、新規感染者数が、感染者が減少傾向で、医療の負荷が低下が見られると、医療負荷の低下が見られているという基準から、新規陽性者数が微増傾向又は高止まりしていても、病床使用率は低下し、医療への負荷が低下する見込みであれば終了できるというふうに、これは一つの案として示されているわけなんですけれども、こういう方向性が示された理由、こういう変更の理由について御説明ください。

○政府参考人(柳樂晃洋君)
お答えいたします。まん延防止等重点措置の終了につきましては、これまでも基本的対処方針に基づきまして、都道府県の感染状況、医療提供体制の逼迫状況等を考慮して、専門家の御意見を十分踏まえた上で総合的に判断をしてきているところでございます。その上で、現在、国民の皆様の御協力によりまして、多くの地域でオミクロン株の感染の減少が継続をいたしております。また、オミクロン株はデルタ株と比べまして感染力が強いということがありますけれども、相対的に入院のリスクや重症化のリスクは低いという可能性が示されております。またその一方で、高齢の重症者による重症病床使用率などの高止まりの傾向などの可能性があるというふうに指摘をされております。さらに、ワクチンの追加接種により発症予防効果や入院予防効果が回復することなどが報告されているところでございますが、高齢者へのワクチンの追加接種が進んできているということがございます。これらのことを踏まえまして、今回の重点措置の終了の具体的な考え方におきまして、医療への負荷の低下をより重視するということにつきまして、先般、コロナ分科会において御議論をいただいたということでございます。こうした考え方につきましては、分科会においてもコンセンサスをいただいたということでございます。

○石垣のりこ君
医療への負荷の基準というのをもちろん解除として、解除の基準として重視をしていくというか、その大きな基準になるということはもちろん了解するところなんですけれども、この総合的な判断という名の下に、どんどん解除の基準が結論ありきで、いわゆるゴールポストが動かされていく状況が余りにも続いているのではないかという私は懸念を持っております。新たな基準を適用すれば、10日の時点での数値であれば全ての18都道府県で解除が可能になるというふうに新聞でも報じられていたりしますし、そもそも最初に設けられていた基準から、状況に、ここで解除をしたいから基準をずらそうという、これは結論ありきの、感染対策としては本末転倒なこれ指針を示されているというふうに私としては感じざるを得ません。その上で、さらにですね、同じような、このコロナウイルス感染症分科会の今後のイベント開催制限の在り方について、こちらも案でございます。3月11日に開催されたものに示されている2ページ目、資料の②に表示されておりますが、様々なこれまでも感染対策を行ってイベントをやりました、その上で、足下半年間で大規模イベントの観客のクラスターは確認されておらずと下線を引かれて強調されております。これに関して、そもそも今厚労省で行われているそのクラスター対策及びクラスターを把握するという疫学調査なんですが、これ、イベントのクラスター、疫学調査って把握をされていらっしゃるんでしょうか。

○政府参考人(佐原康之君)
お答えいたします。厚生労働省では、自治体のプレスリリースなどを基にしまして、同一の場で2名以上の感染者が出たと報道されている事案の件数を集計しておりまして、3月14日時点の事案の件数は累計で2万2325件となっております。 今御指摘の大規模イベントのクラスターの把握につきまして、報道等では事案が発生したイベントやその規模等の詳細が必ずしも明らかではありませんけれども、これまでに集計している事案の中で開催制限の対象となる人数制限5000人以上のイベントとして把握できたものは、2021年8月に開催されましたもので1件というふうに理解をしております。

○石垣のりこ君
あくまでもこれ、保健所で行われているいわゆる疫学調査、これ昨年の6月4日に出されている通達を見ますと、感染拡大地域の積極的疫学調査における濃厚接触者の特定等について、保健所の業務が逼迫しているのでもう濃厚接触者を追う業務が手いっぱいだというような事務連絡があって、もう限定的に行わざるを得ないと。さらに、今年2月9日に出されております新型コロナウイルス感染症対応に係る保健所等による健康観察等について、こちらの事務連絡におきましても、もう保健所の機能としては医療機関と高齢者施設等にほぼ特化したような状況で濃厚接触者及び検査を行っていくというような方針が示されているわけです。とすると、これ自治体の対応によって、余力があるところ、必ずその首長さんなどの方針で疫学調査をして、いろんなクラスターも含めて把握して対応していこうというふうな積極的な自治体はまた全国各地にあるとは思われるんですが、もう厚生労働省の数字としては、もうこれ、保健所の対応としてクラスターをもう全国的にちゃんとこの保健所を通して把握できるという体制にないんじゃないかというふうに私は捉えたんですけれども、ちょっとこの辺についてはもう一度御答弁いただいてもいいですか。

○政府参考人(佐原康之君)
お答えいたします。今御答弁申し上げましたのは、これは背景としては感染状況を適切に把握すること、非常に重要でありますので、厚生労働省では、新規陽性者数等の感染状況を示す数値について、都道府県の公表情報を集計して、収集して集計しているところでございます。また、集団感染の原因となるクラスターのトレンドを把握して対策につなげていくことも重要であるという考え方の下、厚生労働省では、自治体でのプレスリリースを基に同一の場で2名以上の感染者が出たと報道されている事案の件数を把握して収集しているところでございます。 また一方で、御指摘のように2月9日に事務連絡も出しておりまして、この積極的疫学調査につきましては自治体の地域の実情に合わせて行うということについても通知をしているところでございます。

○石垣のりこ君
その地域の状況も本当に様々なものですから、どの程度追えているのかというのを、このいろいろ事前にお話を伺ったところによると、ちゃんとある程度やっているところもありますけれども、そもそも、そのイベント、大きなイベントを開催して、その後どなたかが、その参加した方が感染が発覚したとしても、そのイベント、数千人規模とかのイベントも開催されているわけですけれども、実際に追えているかというと、一切そういう状況にはないのではないかということを、いろいろなお話から総合的にそれこそ考えると、この足下、半年間で大規模イベントの観客のクラスターは確認されておらずというのは、正確に言うと、クラスターの確認がされていないということではなく、ないということではなくて、そもそも把握できていないということなのではないかと今の御答弁も踏まえて私自身はそう捉えております。 そういう元々のいろんな政策を決めていく根拠となるデータそのものに疑義が生じているところから今後の感染対策がなされているということは非常に問題があると思います。その辺、この方針を示されている内閣官房、どのようにお考えでしょうか。

○政府参考人(柳樂晃洋君)
お答えいたします。 重点措置区域におきます大規模イベントの開催に当たりまして、イベントの会場内につきましては、大声ありの場合は50%、大声なしの場合は100%ということで、その観客の大声の有無に応じた収容率を設定しているということ、それから基本的な感染対策を徹底すること、それから昨年11月以降、大声なしを前提として感染防止安全計画、この具体的な感染拡大防止のためにそのイベントの会場でやっていただくことを事細かく書いた上で実施していただくという計画でございますが、その計画の策定、実施の促進といった対策を講じてきているところでございます。このような対策によりまして、イベントが起点となって感染が拡大するリスクは小さいというふうに考えられまして、これらの対策については今後も引き続き継続して実施するという方針でございます。 その上で、イベント前後の人流抑制の観点、つまりイベント前後で人混みを形成されて密が、密状態になる、あるいは帰りに大人数で飲酒に行くような機会が増えるというようなことでございますが、そういったことへの対策ということで総人数の上限を設定しておりますが、そういったそのイベント前後の感染対策につきましては、基本的な感染対策の徹底、あるいは分散退場などの感染防止対策の基本、安全計画の履行ですとか、あるいは飲食につきましては、直行直帰の呼びかけ、あるいは飲食店への対策などによって対応することが可能というふうに考えられます。このため、感染防止安全計画を策定する場合は、総人数の上限につきまして定員まで可とすることを考えました。その点につきまして先般新型コロナ分科会に御提案して御議論をいただいたということでございますが、方向性としては、その分科会におきまして、感染症の専門家も含めて特に異論なく御了承をいただいたところでございます。今後、基本的対処方針分科会でも御議論をいただく予定でございます。いずれにいたしましても、今後も安全にイベントが実施されますよう、引き続き関係省庁や都道府県とも緊密に連携を取った上で対応してまいりたいと、このように考えてございます。

○石垣のりこ君
私自身は別にイベントの開催に反対するつもりはないんですけれども、むしろ1日も早く通常どおりイベント開催できるような状況になってほしいというふうに願っておりますが、そのクラスターが実際に保健所で追えていなくて、各都道府県の対応状況がまちまちであると。実際に本当にクラスターが発生しているかどうか分からないといった中で、このような根拠をもってこの人数制限を解除していく、もちろんほかの対策は打っていらっしゃるということは今のお話にもあったのは重々承知しておりますが、それで今後の方針を決めていくことに対しては、これもちょっとしっかりと考え直していただきたいというふうに私自身は申し上げておきたいと思います。その上で、この規制を解除していく方向に行くということに関して、やっぱり感染拡大をしっかりと防止していく、一人でもできるだけ感染をする方を減らしていくということがもう大前提にないと、最終的にかかってしまって運が悪かったら仕方がないねというようなことを政府としての方針として暗に打ち出しているようにどうしても受け止めざるを得ないんですね。続いての質問に移りますが、病床使用率が解除の基準の目安に大きくなっていくというのはもちろん分かるんですけれども、感染者数が増えれば、相対的にどうしても、今回のオミクロン株であったとしても、亡くなる方も増えていくというのは以前から指摘されていることだと思います。その上で、先月、2月、警察が取り扱った御遺体のうちコロナ陽性だった方の数を教えてください。

○政府参考人(大賀眞一君)
先月、2月中に警察が取り扱いました新型コロナウイルス陽性の御遺体は564人でございました。

○石垣のりこ君
564人の方がコロナ陽性だったということなんですが、これ生前にこのコロナの陽性が判明していた方、亡くなられた後に判明した方の数、それぞれ教えていただけますか。

○政府参考人(大賀眞一君)
先月、警察が取り扱いました御遺体のうち新型コロナウイルス陽性の方564人でございましたが、この564人のPCR等検査の実施時期についてでございますが、生前に実施をされた方270人、死後に実施をされた方が289人、不実施の方5人という状況になっております。

○石垣のりこ君
およそ半数の方が生前に検査で陽性が判明していたと、で、亡くなった後に検査等で、まあその半数ということに大体なると思うんですけれども、生前に判明していたということは、自宅療養中であった可能性が非常にもう高いというふうにも考えられると思います。ちなみに、デルタ株のピークのとき、昨年8月かと思いますが、警察が取り扱った御遺体のうちコロナ陽性者の数は何人でしたでしょうか。

○政府参考人(大賀眞一君)
昨年8月中に警察が取扱いを行いました新型コロナウイルス陽性の御遺体は250人でございました。

○石垣のりこ君
昨年8月、あれだけ感染が拡大し、このワクチンが若干遅れたということもあって亡くなられた方も非常に多かった、その中で250人の方が同じ条件で亡くなられて、この先月、2月には564人の方が亡くなられている。倍以上なわけですね。医療機関に入院はしていなかったとは思うんですけれども、一時的にかかっていたという方もいらっしゃるかもしれませんが、仮に大きな負荷を掛けることがなかったとしても、感染者が増えると、こうして自宅等で亡くなる方がぐんと増えるということの一つのこの数字なんだと思います。医療の負荷を基準に解除をする、まん延防止等を解除する、しないということは指標としてもちろん必要ではありますが、トータルの感染者数を減らすという対策を政府として皆さんに、手洗いしてください、うがいしてください、できるだけ外出するときにはマスクして人と接触、濃厚接触避けてくださいというお願いをするだけじゃなくて、やっぱり政府がやるべきことをしっかりやらないと、コロナのかかる方たちがやはりどんどん増えてきてしまう、亡くなる方、犠牲になられる方もどんどん増えてきてしまうと、そのことをしっかりとまずは押さえていただきたいと思います。さらに、残念ながらかかってしまったと、軽症であろうと、やはりまだ未知の病気で今後どのような変異が出てくるかも分からない、長期的な影響も分からないというのが現実だと思います。コロナに罹患することのリスクがあると思います。後遺症です。厚労省は、コロナ感染症の診療の手引きの別冊として罹患後症状の手引きを作成しています。資料の何枚目かに表紙、3枚目ですね、資料の③に表紙等を添付しておりますけれども、この罹患後症状、ぱっと聞いて何のことだろうと、漢字がすぐに思い浮かぶ方もいらっしゃるかもしれませんが、分かりづらいと思います。 罹患後症状といわゆる後遺症って違うんでしょうか。

○政府参考人(佐原康之君)
お答えいたします。御指摘のように、厚労省の診療の手引きでは罹患後症状という言葉を使っております。この罹患後症状につきましては、特に新型コロナウイルス感染症の罹患後症状につきましていまだ明らかになっていないことが多く、国内における定義も現時点では定まっておりません。WHOにおきましては、罹患後症状を英語ではポストCOVID-19コンディションと称しまして、その症状の定義を示しております。厚生労働省の診療の手引きでは、WHOの用語でありますこのポストCOVID-19コンディションを、COVID-19後の、コロナ後の症状、罹患後症状と直訳しまして、基本的には現在罹患後症状という言葉を用いているところでございます。

○石垣のりこ君
何か明確に今まだ定義されていないということなんですけれども、私の端的な質問としては違うんでしょうかということなんですけど、同じということなんですか、違うということなんですか。

○政府参考人(佐原康之君)
お答えいたします。罹患後症状は、新型コロナウイルス罹患後の、感染性は消失したにもかかわらず、他に明らかな原因がなく急性期から持続する症状と幅広く指すものである一方で、一般的に後遺症という場合には、感染症の直接の原因とする感染後、感染症消失後の症状を意味するというふうに考えられます。今回の場合、まだ定義も定まっておらないわけでありまして、直接の原因とするものかどうかということも含めて、幅広くこの病態を捉えていくということが重要だと考えております。

○石垣のりこ君
いろいろ、WHOでもいろんな言い方を使っている中で、あえてこのポストCOVID-19コンディションというところから罹患後症状というふうな言葉を引いてきたというか当てたということに関しても、どういう意図があるのかなということをいろいろ考えてしまうんですけれども、ここだけにこだわっていても仕方ないので次に進みますが。じゃ、そのコロナ、かぎ括弧付きで「罹患後症状」の患者というふうにまた定義はされないのかもしれませんが、想定数というのは厚生労働省としてはどのようにお考えでしょうか。

○政府参考人(佐原康之君)
お答えいたします。現時点においてそうした患者数を推計するというのはなかなか難しいわけなのですが、令和2年度から厚生労働科学研究を実施しておりまして、この中では、新型コロナ感染症の入院歴のある患者さん525例の追跡調査を行っております。これによると、診断の6か月後の時点で罹患者全体の10%以上に何らかの罹患後症状があったと。また一方で、多くの罹患者は症状が改善していたというような結論が出ております。これは、当該研究はまだ中間報告でありまして、引き続き研究を行っていくという状況になっております。

○石垣のりこ君
研究の途中ということなんですけれども、おおよその想定数も現時点では示すことができないというのが現在の厚労省の見解ということですよね。じゃ、コロナ後遺症、コロナ、まあ罹患後症状でもいいんですが、今この令和4年度の予算審議が行われているわけなんですけれども、このコロナ罹患後症状への対策費として計上されている令和4年度の予算はお幾らですか。

○政府参考人(佐原康之君)
お答えいたします。新型コロナ感染症の罹患後症状の研究への令和4年度以降の予算措置については現時点で未定でありますけれども、令和3年度の補正予算で、遷延症状、合併症の出現、持続、それからそれらの背景要因などの分析のための約2億円を確保していただいておりまして、これらを活用しながら病態の把握、また適切な医療につなげられるよう取り組んでまいりたいというふうに考えております。

○石垣のりこ君
令和4年度、新年度に補正で組んだからという話ですけれども、令和4年度に項目立てでこの後遺症、罹患後症状でもいいんですけれども、に対する予算が実際に組まれていないというのは、これ本当にちゃんと対応する気があるのかなって非常にいぶかしく思います。その上で、厚生労働省がコロナ後遺症に対して取り組んでいること、現在どんなことがありますか。

○政府参考人(佐原康之君)
お答えいたします。厚生労働省として取り組んでいることにつきましては、今、まず一つは、先ほど御質問がございました実態把握や原因究明に関する調査研究というものがございます。また、これらの知見、これまでに得られましたこういった研究あるいは海外の諸研究に基づきます知見を含めまして、昨年12月に、罹患後症状に悩む患者さんに対して適切な医療が提供されるように、かかりつけ医の皆さん等の医療従事者向けの診療の手引きというのを取りまとめているところでございます。また、罹患後症状に悩む方が必要な医療を受けていただけるよう、この診療の手引きに加えまして、各自治体における外来や、それから相談窓口の設置等の取組の例も各自治体宛てに周知をしているところでございます。 今後も、現場の皆さんの意見を聞きながら、更にどのようなことができるか考えていきたいと考えております。

○石垣のりこ君
研究が多分、たしか3つあって、新しくまた増えたものがあるのかもしれませんけれども、プラス、この先ほど御覧いただきました診療の手引き別冊の「罹患後症状のマネジメント」という冊子1冊、で、これがあります自治体で各対応をしてくださいという通知が昨年の令和3年の12月6日付けで出ているもの、これは資料の4番目に、3枚にわたってかな、4枚にわたって、ちょっと皆さんは見づらい細かい字で恐縮ですけれども、これが基本的に自治体に対する通知の全てなわけですね。「貴自治体におかれましては、罹患後症状を呈する者が医療につながるよう取組を検討する際の御参考としていただければ幸甚です」というふうにこの連絡、事務連絡の最後に書かれているんですが、各自治体にアンケート調査がなされております。最終的に、157自治体にお声掛けをして134自治体から回答があったというふうに伺っております。その内容を見てみますと、ちょっと細かい字で恐縮なので皆様のちょっと見える範囲で、後でまた検索などしていただければ幸いでございますが、各自治体の取組がどうかというと、コロナウイルス感染症に関する総合的な相談窓口を設置しているところは、はいが114で、いいえが20ということで、全体の相談窓口はつくっているところが多い、それでも窓口をつくっていないというところが20もあるわけですね。そのうち、さらに、遷延症状についてというまた分かりづらい表現が書かれておりますけれども、遷延症状についての相談窓口があるかというところなんですけれども、はいと答えているのが85、いいえが30、回答していないのが19。この回答していないのが19あるというところで、これは資料の6枚目になりますけれども、どういうことなのか、何を言っているのか分からないという意味だったのか、判断しかねるだったのか分かりませんけれども、こんな状況にあると。さらに、じゃ、具体的に相談があったときに医療につなげられるように、自分の自治体で対応してくれている病院、それを紹介しているかとなると、更に数は減っていくわけです。リストを作成し、ホームページ等で公表しているのが7つの自治体、リストを作成していない、112の自治体ということで、各自治体の取組はかなり消極的である、対応が追い付いていないということもあると思いますが、こういう状況なわけですね。これに関して、この自治体のアンケート結果も踏まえて、厚労大臣、この後遺症に関しての対応、どのように受け止めていらっしゃいますか。

○国務大臣(後藤茂之君)
アンケートの結果につきまして、今委員から御紹介もあったわけでありますけれども、この結果そのものを令和3年12月に自治体に周知しておりまして、罹患後症状に悩む方が必要な医療を受けていただけるように、各自治体における外来や相談窓口の設置等の取組の参考例もお知らせをいたしております。一方で、罹患後症状を呈する方については、まず、かかりつけ医や地域の医療機関につなぐことが大事だというふうに考えております。新型コロナ感染症の罹患後症状については、引き続き国内外の知見を踏まえまして病態の把握を進めるとともに、適切な医療につなげられるように検討を進めていく必要があると思っております。

○石垣のりこ君
でも、通知一つなんですよ。かつ、このアンケート結果を見て、ああ何だ、やっていないところが多いんだという結果がぱっと見て把握できるわけですよね。じゃ、他もやっているんだったらうちもやらなきゃと思うかもしれませんけど、他やっていないんだったら、じゃ、うちが積極的にやろうと思う自治体が、それでなくても業務過多になっているのに、どれだけあるかというのは非常に疑問です。本当に厚労省が各自治体のこの後遺症対応を積極的に後押しされるのであれば、もっと丁寧に各自治体、それこそ予算を付けて、窓口をつくるための予算、そして医療機関につないでいくためのサポートをできる体制を整えないと、本気でやっているようには、決して私には見えません。具体的に今実際に研究をもちろん進めていって、何をもって後遺症とするのかということを確定していくというか研究を進めていかれるのはもちろんですけど、同時進行として、実際、今本当に苦しんでいらっしゃる方が大勢いらっしゃいます。渋谷でヒラハタクリニックを開業していらっしゃる平畑先生が、もう千人単位で、この後遺症外来を設けて、もう本当夜遅くまで患者さんを、全国各地から、地元の、自分の近くに後遺症を診てくれているところがない、診てくれていても、気のせいだからと言われて、最終的に風邪薬のようなものを処方されて、それでおしまいになってしまっている。いや、でも本当にこれを飲んでも治らない、どうしたらいいんだろうでたどり着いて先生に診てもらっているという、本当切実な願いという、悩みもあるわけですよね。その平畑先生が診療されている一つの事例として幾つか御紹介いたしますけれども、後遺症の患者さん本当に苦しんでいらっしゃいます。療養期間終了後、体のだるさに気付き、寝ていたことによって体力が落ちたのかと思って筋トレやウオーキングなどを開始した。これ、先生方が体動かすといいよと勧める場合もあるそうです。ところが、どんどん倦怠感が強くなって寝たきり状態になってしまったというケースが実際にあると。あとは、一般的な検査では異常がないため、心因性の症状と言われて精神科を受診したが、精神科では精神疾患ではないと言われ、どうしてよいか分からない、仕事をすることもできないのに傷病手当のための診断書も書いてもらえないといって非常に困っていらっしゃると。あとは、神経系にも影響があるというふうにも指摘されていたりしますけれども、頭の回転が悪くなり光もつらくなった、スマホやパソコンの画面を見ていることもつらくなり、文章を書くこともできなくなってしまったため仕事ができないが、職場からはサボっているだけ、気持ちの問題などと責められ自死を考えてしまっているという、こういう深刻なケースも実際に臨床の現場で患者さんを診ている先生から報告がされています。分からないと思うんです。これが本当にどういう経緯というか、どういう背景を持って、どういう因果関係を持ってというのは難しいと思います。ただ、研究を進めていかれると同時に、実際に、考えてみるとこれやっぱりコロナとしか思えないと。体の変化を感じて病院を受診したいと思っているけれども、ちゃんとそれに対する理解のある先生方がまだまだいらっしゃらない。この診療の手引きを作られたのはもちろんいいんですけれども、この内容に関しても、やっぱりもっと臨床の先生方の、全国で心ある後遺症の外来を開いていらっしゃる方がいて、そういう方たちの知見も含めてしっかりと見直しをどんどん図っていかなくてはいけないという状況にあると思います。これ、同時進行だと思うんですけれども、今後の後遺症対応について是非とも積極的な御答弁いただきたいと思いますが、後藤厚労大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(後藤茂之君)
今も御報告、御答弁差し上げているように、まだ実態についてなかなか分かりにくいところもあるので研究等行っておりますけれども、今アンケート調査でも御指摘いただいたように、本当に困っておられる方に対してきちっと対応していくということは重要なことだというふうに思っておりますので、こうした取組についてどのようにしてしっかりと取り組んでいくことができるのか、考えさせていただきたいと思います。

○石垣のりこ君
考えていただくのはもちろんですけれども、できることがもう目の前にあるので、まずは現場の先生方、もっともっと多くの声を聞いて、しっかり診療の手引きに反映して、それを周知徹底していただきたいと思います。そして予算も付けていただきたいと思います。ここまでずっと質問をしてきましたのは、結局、できるだけ感染する方を減らしていく、幾ら軽症だ、無症状の方がいる、病院に負荷を掛けなければという理由をもって感染を拡大させていくというのは、未知のウイルスに対しての防疫として、決して政治の姿勢としてあってはならないことだと思います。その上で伺います。これまで、今第6波と言われていますけど、感染の山が6つございました。いろんなウイルス、変異ウイルスがあります。これらのウイルス、日本にどこから入ってきたとお考えですか。

○政府参考人(佐原康之君)
お答えいたします。新型コロナウイルスにつきましては、御指摘のように、これまで累次にわたる感染の拡大がありまして、その経過中に、中国の武漢から発生した当初の株からアルファ株やデルタ株、そしてオミクロン株と、主たる流行株の置き換わりを経験してきたところでございます。 これらの変異株につきましては、その流入経路をなかなか網羅的に把握できているわけではありませんけれども、元々日本国内には存在しなかったということを考慮しますと、当初の株も含めまして、主要な株は海外から流入をしてきたものであると認識しております。

○石垣のりこ君
海外から入ってきたということで、基本的に、日本、島国ですから、海、空港、あっ、港湾若しくは空の便、空港、検疫から擦り抜けて日本に入ってきているわけでございます。今、港湾の方の検疫はPCRで行われているんですけれども、私も再々いろんなところでも申し上げておりますが、空港の検疫、入ってきて一番最初の検疫は抗原定量検査が行われております。これ、抗原定量検査とPCR検査、この精度の問題に関して言うと、またここから更に物すごく時間が掛かってしまうので、ちょっと今回は一つの事例として資料の8番目を見ていただきたいと思いますが、これはたなか循環器内科クリニックで一つの臨床を基にしたデータです。抗原定量検査、抗原定性検査、そしてPCR検査、PCR検査もいろんな種類がございますが、それぞれいわゆるCt値と言われる少ないウイルス量でもこの検査でどの程度把握できるかというその数字、これをグラフにしたものでございますが、これはあくまでももちろん一つの例ではあります。それを言った上で、臨床の現場でこれだけ差が出ているという一つの数字を示させていただきたいと思います。いわゆるこの空港検疫だけで申し上げると、抗原定量検査が行われていますが、このCt値というのが29〜30ぐらい、いわゆるウイルスがある程度もう体内にあって、それがちゃんと検体として採取されたものであれば把握できる、捉えられるというのが抗原定量検査。さらに、PCRに行きますと、この30よりもっと数字が上がっていくところ、これももちろんPCR検査の種類によりますけれども、基本的にはこのTMA法ぐらいまで行くと37、38、結構幅広く、まだ初期の段階、もしかしたら感染が既に終息している方も含まれるとは思いますが、少なくても把握をできるという幅がこれだけ違うんですね。日本は島国でございますから、できるだけ外から入る数を減らしていくことによって、どんどんと指数関数的に増えていくウイルスの量を空港で抑えていくことが、今後、変異株の対応としても非常に重要になってくると。 是非とも、プラス1時間、そして、入国された方が待機する場所さえあれば体制を整えられるという話はもう再三この1年ぐらいのやり取りの中で厚生労働省の方に伺っておりますので、今後の対応を考えるとき、感染を拡大させない、変異株の流入をできる限り防いでいくということで、空港検疫をしっかりと抗原定量検査からPCR検査の方向に是非とも方向転換をしていただきたいと最後に申し上げたいと思います。 是非今後に、それに関して一言だけ大臣からお願いします。

○国務大臣(後藤茂之君)
検疫におきましては、今現在、抗原定量検査を使っております。これは、検疫が大量に処理をする必要があること、そしてまた連続的な処理をする必要があること、そして機器の能力、規模等でその扱いがしやすいこと、そうしたことを総合的に勘案して、今抗原定量検査でやらしていただいております。今後とも、機器の開発や検査の精度等も変わってくるというようなことはもちろん承知しておりますので、そういうことも踏まえながら検討をさせていただくということだと思っております。

○石垣のりこ君
分科会メンバーの舘田一博先生が、2日連続で抗原検査をして陰性になったと、なぜもっと早め早めにPCR検査をやらなかったのかと思うと、後悔の弁を述べられていらっしゃいましたけれども、是非とも空港でのしっかりとしたこの水際対策、人数制限だけではなく、機器の部分も含めてしっかりとしていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。 ありがとうございました。