参議院 厚生労働委員会で質問

3月29日 参議院 厚生労働委員会で質問
★2022年3月29日 参議院 厚生労働委員会 Youtube録画 https://youtu.be/r1aSOxwvsuM?t=4229

令和四年三月二十九日(火曜日)参議院厚生労働委員会(未定稿より転載)

○石垣のりこ君
立憲民主党・社民会派の石垣のりこでございます。本日は、雇用保険法等の一部を改正する法律案に関しまして、これまでの委員会での質疑や先週の参考人のお話も踏まえて、広く労働問題に関しての質問をいたします。まず、先週24日の厚生労働委員会で、川田委員から、先進諸国の中で唯一我が国だけが過去30年間で賃金が上がっていないという問題について発言がありました。その理由の一つに、非正規労働者が増えている、非正規雇用が増えているということは、これまでも様々な場面で重ねて指摘がなされているところでございます。 具体的に伺います。平成元年とあえて比較しますけれども、1989年から直近まで、非正規労働者、非正規雇用労働者の数はどのくらい増えたんでしょうか。また、労働者全体に占める割合について教えてください。

○政府参考人(岩佐哲也君)
お答えいたします。労働力調査の結果によりますと、非正規の職員、従業員数は、2021年平均で2064万人となっております。平成元年、1989年に比べまして1247万人の増加となっております。また、その割合は2021年平均で36.7%となっておりまして、1989年に比べまして17.6ポイントの上昇となっております。

○石垣のりこ君
今、平成元年と直近で2021年ですね、比較の数字を教えていただきましたけれども、これ、2019年には現在よりも非正規の占める割合が高くなっていて、いただいたデータでは38.3%まで上がっていますので、およそ30
年間で2倍で、3人に1人が非正規雇用労働者になったということで、年々増加している、最近はちょっと微増、あっ、微減がございますけれども、そういう状況にあるということです。その上で伺います。大臣、この非正規労働者増えたということが日本の賃金が上がらない理由の一つであるとお考えになりますか。

○国務大臣(後藤茂之君)
女性や高齢者の労働参加が進んだこと自体は大変に望ましいことではあるということではありますけれども、その結果として、現状の日本の労働市場のパートタイム労働者の取扱いを前提にして考えたときに、パートタイム労働者を中心に相対的に賃金水準の低い非正規雇用労働者が増加したことが賃金の平均的な、平均値を押し下げた要因の一つだというふうに考えます。

○石垣のりこ君
女性、高齢者というところで特出しをしていらっしゃいましたけれども、国税庁の2020年民間給与実態統計調査によりますと、正規、非正規の平均給与、これ別に女性、高齢者というふうに区切られてはいないんですが、正規雇用の場合が496万円、非正規が176万円ということで、その差が何と320万円もあると。ちなみに、男女別の平均給与は、男性が532万円、女性293万円で、239万円の差。この辺はニュースでも話題になっておりました。これやっぱり正規、非正規の賃金格差というのはこれだけあるんですよね。非常に、まあ女性、高齢者というわけではなくて、今若い世代の非正規も非常に増えているということで、非常に大きいのではないかと思います。そこで伺いたいんですけれども、これも3月24日の厚労委員会で後藤大臣が、日本の賃金が上がらない理由について、生産性、労働生産性を含めてですね、これが上がっていないということが大きな原因だというふうに答弁されていらっしゃるんですが、この非正規雇用の増大と生産性や労働生産性が上がらないことの関係についてどのようにお考えでしょうか。

○国務大臣(後藤茂之君)
突然のお尋ねだったので、丁寧に御説明をするというよりも、マクロ経済全体としていえば、労働生産性が全体として増えていないので、労働分配率ということも含めてマクロの問題として申し上げました。丁寧に順番に申し上げていくとすれば、長引くデフレ等を背景に低い経済成長が続く、この間賃金を抑制し、そして消費が抑制された結果、需要が低迷してデフレが継続する、そういう悪循環の中で賃金が伸び悩み、他国よりも低い賃金水準となったというふうに、デフレ経済とともにもう少し丁寧にかみ砕いて説明をした方がよかったかもしれませんけれども、そうしたことをデフレ経済下において日本経済の労働生産性が上がっていないという言い方で申し上げたということになります。そして、正規、非正規雇用比率と労働生産性の関係、そのこと自体については、正規と非正規の労働生産性というような具体的な議論になってくるとこれは一概にお答えすることは困難ではありますけれども、個々の労働者の能力など様々な要素が影響されるわけであります。ただ、一般的に非正規雇用は正規雇用と比べて能力開発機会が乏しいというような課題があります。そういう意味で、出口ということからいえば、先ほども御指摘があったように、賃金の格差等の御指摘もありましたけれども、教育訓練を含めた待遇の改善に向けて非正規雇用労働者に対して同一労働同一賃金の徹底を図って不合理な待遇差を禁止する、そうしたことを進めていき、またしっかりと能力開発等についても現在進めているような対応を今後ますます進めていく必要があるだろうと思います。

○石垣のりこ君
規制緩和を行ってどんどん非正規を増やしてきたということ、その政策にまずは大きな問題があるんだと思いますけれども、もちろんどんなものにも100%駄目だということではないと思います。非正規の場合は、労働者、働く側にも正社員よりも柔軟で多様な働き方ができるという、人それぞれによってはメリットになることもあると、それはもちろん承知しておりますが、自ら望んで非正規になる場合を除いて、不本意ながら正社員になりたくてもなれない非正規の方が増え続けると、ますます社会的な格差が広がるという問題が出てまいります。非正規社員には、先ほどの賃金格差、具体的な数字としてお話ししましたが、低賃金、不安定な雇用のほか、大臣からもお話ありましたスキルアップの機会が少ないなどの問題も挙げられております。会社としては長期的な視点で人材の育成が難しいということも言われております。この格差というのは、結婚したくてもできないとか子供が欲しくても産めないとか、少子高齢化にも無関係でない、むしろ大きく影響しているということも改めていろんな方面から指摘されておりますので、その点非常に大きな問題であると認識しております。この非正規がどんどん増加をしている現状なわけですけれども、雇用保険の対象外となる週20時間未満の労働者の占める割合というのは現在どうなっていますか。

○政府参考人(岩佐哲也君)
お答えいたします。労働力調査の結果によりますと、非正規の職員、従業員のうち、月末1週間の就業時間が1時間以上19時間以下の方の割合は、2020年平均で32.6%となっております。

○石垣のりこ君
まあ3割、3人に1人弱となりますけれども、結構いらっしゃるわけですよね。雇用保険の加入条件というのは、週所定労働時間20時間以上とあります。ほかにももちろん条件ございますが、この20時間以上にしている理由について教えてください。

○国務大臣(後藤茂之君)
今委員御指摘のように、週所定労働時間20時間以上かつ31日以上雇用見込みがある労働者を雇用保険制度は適用対象としているわけですが、週所定労働時間が20時間に満たない方は、労働時間がフルタイム、40時間の半分に満たない方であるため、雇用保険制度が自らの労働による賃金で生計を維持している方の失業を保険事故として備えるものであるという趣旨に照らして雇用保険適用の対象外としているというのが雇用保険の制度の考え方であります。

○石垣のりこ君
賃金を得て生計を立てている労働者が失業した場合の生活の安定を図る制度として雇用保険制度があるわけですけれども、今のお話の前提ですと、自らの労働で生計を維持している人で、失業したときの再就職を図るために、40時間、20時間以上の働きがある人が主たる生計を担っていると、それ以外の20時間未満だとそうではないという考え方が基本的にあると思うんですが、それって、例えば働いたお金を全て、20時間未満で働いた方は、娯楽費に使っているとか貯金に全部回せるというような余裕のある場合だったら別かもしれませんが、20時間未満だから家計を維持しているとは言えない、生計を維持しているとは言えないとか、そういうことも今この時代の多様な働き方の中において少しその現状というのがずれてきているのではないかと思います。言ってみると、例えば旦那さんが非正規、いや、ではなくて、あくまで正規雇用がメインで、奥様の方が、妻の方がパートで小遣い稼ぎをするとか、そういう、いわゆる一時期のザ昭和の風景とでも言ったらいいんでしょうか。そういう想定が基本的な前提にあるのではなかろうかと。実際に、社会としてもう格差が広がる一方で全体として豊かになっていない現状があるわけですから、一人の稼ぎで生計を立てているわけではなく、複数の稼ぎの中で生計を立てている家計というのは結構あるわけですよね。そうした実態はもっと丁寧に把握した上でだとは思うんですけれども、例えば掛け持ちでパート労働しているような複数事業所で働く労働者というのも、一つの勤務先で週20時間以上勤務しないと現行は雇用保険の対象にはならないと思います。これ、複数事業所の勤務時間を通算して20時間を超えた場合には雇用保険に加入できるように、例えばこういう検討をすべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

○政府参考人(田中誠二君)
複数就業者に対する雇用保険の適用に当たりましては、令和2年の雇用保険法改正時の労働政策審議会等における議論におきまして、逆選択やモラルハザードの懸念が指摘されていることも踏まえまして、65歳以上に限定して、二つの事業所の労働時間を合算して20時間以上である場合に、御本人の申出により加入することができる仕組みを創設したところでありまして、本年、令和4年1月からこれを開始をしております。この制度は、施行後5年を目途として検証を行うこととしております。御本人の申出を契機とする新たな方式で実際にどれだけの方が申出をされて被保険者となるのか、そうした方が失業給付をどれくらい受け取られているのかといった雇用保険の適用や給付の状況を中心に把握する予定であり、こうした検証を踏まえて複数事業所に雇用される労働者の雇用保険の在り方について検討してまいりたいと考えております。

○石垣のりこ君
私がいないときの厚労委員会でも議論はされていると承知しておりますけれども、今年の1月からスタートしている雇用保険マルチジョブホルダー制度がそれに当たるのかなと思いますが、65歳以上が対象ということで、すみません、このモラルハザードと逆選択の可能性を含めて65歳以上に限定したというところについて、もう少し詳しくお話しいただいてもよろしいですか。

○政府参考人(田中誠二君)
先ほどお答えしたとおり、複数就業者に対する雇用保険の適用に当たっては、逆選択やモラルハザードの懸念が指摘されていることから、一定の層に限定して試行的に制度を適用することとしております。その際、65歳以上に限定した理由は、定年や継続雇用制度の期間を過ぎて、これまでの職業人生で得られたスキルを生かして多様な就労を目指している年齢層と考えられることや、65歳以上の労働者は離職した場合には、一時金、高年齢求職者給付金と申しますけれども、こういう一時金が支給される制度になっていることを踏まえたものでございます。一方、65歳未満でやむを得ず複数就業を行っている方については、まずは安定雇用に向けた支援を行うことも重要と考えておりまして、65歳未満の方の取扱い等を含め、今後の制度の在り方については、今般の65歳以上の方に対する適用の状況をしっかり検証した上で考えていきたいと思っております。

○石垣のりこ君
何ゆえに逆選択とかモラルハザードという面が起きるのかという、そこのその部分をちょっと詳しくお話しいただきたかったんですけれども、今のところで取りあえずは結構でございます。 この雇用保険マルチジョブホルダー制度、65歳以上ということで、複数の事業所にまたがるというところで、会社側がではなく、あくまでも利用者というか、働く側、労働者側からの申請ということになっていると思うんですけれども、これ、やっぱり本人申請というところでの加入のハードルというのは高くならないんでしょうか。

○政府参考人(田中誠二君)
通常の雇用保険ですと、その加入手続は事業主さんからの届出が義務となっておりますけれども、今般の新たな仕組みでは、二つの事業所における所定労働時間について一つの事業所で全てを把握して届出を行うことは困難であることから、労働者本人からハローワークに申し出ていただくこととしたものです。一方、労働者の申出に当たっては、個々の事業主において労働者の所定労働時間をそれぞれ証明していただく必要があります。事業主の協力も不可欠であると考えております。このため、事業主向けリーフレット等において、事業主が労働者から手続に必要な証明を求められた場合には速やかに対応していただくことを求めているところであります。このように、複数の適用については、事業主、労働者、それぞれ役割を果たしていただかないときちっとした適用ができませんので、こうした事務取扱にさせていただいているという状況でございます。

○石垣のりこ君
実際の利用状況を見ながら、今後検討されて、5年を機にめど、目途に検討されていくということは承知しておりますけれども、65歳以上のやっぱり高齢者だけじゃなくて、今、生計を成り立たせるために、一か所で20時間以上働けない、逆にセーブされてしまっている、それで掛け持ちをせざるを得ない若い世代も含めた方たちが一定数増えているということもやっぱり報じられているわけですよね。この辺のやっぱり実態しっかり把握していただいた上で、そういう方たちが職を失ったときにしっかりと雇用保険制度を、今、もし、これが新しい制度をということももしかしたらあり得るかもしれませんけれども、しっかりと生活を担保されるような制度をしっかりつくっていかないと、多様な働き方を進めていく上でも、本当に生活不安に陥る方がたくさん出てしまうのではないか、そして、実際そうなのではないかということをしっかり申し上げたいと思います。続いて、ちょっと順番を変えさせていただきたいと思うんですけれども、このコロナ禍におけるちょっと労災申請のことを質問いたします。コロナ、この2020年の1月から始まりまして、ここまでの間の労災の申請状況、認定の現状について、まずは教えていただけますか。

○政府参考人(吉永和生君)
お答え申し上げます。新型コロナウイルス感染症に係ります令和4年2月末時点の労災の請求件数につきましては2万5462件となってございまして、このうち、支給、不支給の決定に至っておりますものが2万2431件、支給決定をしているものが、このうちの2万2088件となっているところでございます。

○石垣のりこ君
では、今総数をお話しいただきましたけれども、都道府県別の状況についてどうなっていますでしょうか。まあ全部お話しいただくわけにいかないでしょうから、申請件数及び認定の多い都道府県、上位三つ、3位までそれぞれ御紹介いただければと思います。

○政府参考人(吉永和生君)
労災の請求件数、認定件数、いずれにつきましても上位3位を申し上げますと、1位が東京でございまして、次いで大阪、北海道という順番になってございます。 東京都におきます認定件数は3958件、大阪府につきましては2889件、北海道につきましては2024件を認定しているところでございます。

○石垣のりこ君
都道府県別で、それぞれの申請の種別も含めて、全部把握していらっしゃるんでしょうか。

○政府参考人(吉永和生君)
労災保険の統計につきましては、基本的には労災保険のシステムに入れている形で通常集計を行うわけですけれども、コロナにつきましては、システム対応ではなく個別に各労働局から報告を求めるという形で対応しているところでございます。そういう意味で、システム的なものでありますとかなり精度は高いわけですけれども、報告時点等々についてばらつきがございますが、全数としての数字につきましては本省で確認して施策に反映するということを取り組んでいるところでございます。

○石垣のりこ君
すみません、今のよく分からなかったんですけど。都道府県別で、いわゆる全国の集計で出てくる項目がございますよね、医療者、医療従事者、医療従事者以外で、それの細目がございます。それは都道府県別では把握していらっしゃるんですか。イエスかノーかでお答えいただけますか。

○政府参考人(吉永和生君)
私どもとして、先ほど申しましたとおり、各労働局からの報告を求めておりますので、数字としては厚生労働省本省において持っておるわけでございますが、細かい集計までは行うということには、手集計でやってございますので、総体的な件数につきましては手元にございますけれども、それについて詳細に分析するというところまでの数字には至っていないというところでございます。

○石垣のりこ君
持ってはいるけれども、手入力で状況が細かくは把握されていないということで、なぜこういうお話を聞いたかというと、これ民間の取りまとめた全国都道府県の労災申請の数字を見たことがあるんですけれども、これは民間だからこその限界もあったのかもしれませんが、各都道府県の申請状況、認定状況に結構ばらつきがあったんです。それは、もちろん各都道府県、感染状況も違いますので、その感染状況とちゃんとそれなりの割合、この労災の申請がなされているかということの関連性もありますので、各都道府県の状況を把握して、実際にちゃんと労働者の皆さんにこのコロナにおいて労災が使えるんだということが浸透しているかどうかということの一つの目安にもなると思うんですね。ただ、今の御答弁ですと、残念ながら、一応その労働局からのデータは都道府県から来るけれども、詳細については把握していないということで、そういう分析がなされていらっしゃらないんじゃないかなというふうに今の御答弁からは推察いたします。 そういう状況で、私の認識で間違いないですか。

○政府参考人(吉永和生君)
総数として、例えば業種別のデータなどについては常時把握をしているということでございます。ただ、都道府県別の数字につきまして、リアルタイムで把握をするという状況には至っていないということで、先ほど申しましたとおり、詳細について細かく御報告できるような状況にはないという形で申し上げたところでございます。

○石垣のりこ君
リアルタイムって、もちろん、その今大変な状況にある方がすぐ労災申請できるかというとそういうわけではないでしょうし、数字として反映してくるのにタイムラグが生じるのはそれは仕方がないと思いますので、最終的にちゃんと各都道府県でどういう申請がなされたのかということを統計として把握して、その上で、今後どういうふうに周知徹底をしていくかとか、今後の課題を洗い出していくということが本来は必要だと思いますので、これ是非やっていただきたいと思います。その上で、実際その周知がなされていないんじゃないかというところなんですが、厚生労働省のホームページによりますと、直近の感染者数637万人、まあ余数、端数はあれですが、637万人と出ていまして、先ほど、労災の申請件数が2万5千ほどあって、で、2万2千ほど労災の認定がなされているということがありましたけれども、640万人弱と考えて、3分の1が労働者だとしても、これおよそ200万人のうち2万人ということで、1%ですよね。相当これ労災の申請件数としては少ないのではないかと思いますけど、この周知の部分に関して、しっかりと、ちゃんと労災が使えるんだよ、申請できるんだよということ、この徹底に関しては、どのようにこの数からの比較として受け止められますか。

○国務大臣(後藤茂之君)
労災保険は働く方が安心して業務に従事していただくためのセーフティーネットの機能を果たしておりまして、適切に労災請求をいただくためにも、労働者、使用者等の関係者に対する制度の周知等は重要であるというふうに認識しています。こうした中で、業務によるコロナへの感染が労災保険給付の対象となることなどについては、これまで、リーフレットを作成し配布したり、厚生労働省のホームページにおける労働者向けのQ&Aを掲載したり、職種別の労災認定事例の公表を行ったり、労使団体への労災請求の勧奨等の協力要請などにより周知を実施してきたところではありますけれども、引き続き、積極的に労災請求をしていただくことができるように、より国民の皆さんに周知していただくような労災制度の周知に努めていく必要があると認識しております。

○石垣のりこ君
実際、今この全体の数のうち労働者が占める数が把握できかねますので、アバウトに200万人、3分の1ぐらいで200万人だろうという勝手な想定で言いましたけれども、かなり数としては少ないであろうと。かつ、分かりやすい、医療従事者の方とか、労災であることが分かりやすいパターンの方の方がやっぱり圧倒的に多くて、そのほかにも様々なケースで労災の申請ができるのだということが余りにも周知されていないというふうにこの実際の振り分けからも推察できます。いろんなパターンがあるんですが、労災申請できる、こういう条件があるということがあるんですが、私、前回の3月16日の厚労委員会でも質問いたしました、このコロナ後遺症、これワクチンの後遺症の方ではなく、あえてコロナ後遺症の方でというふうに申し上げますが、コロナ後遺症での労災申請というのも可能でしょうか。

○国務大臣(後藤茂之君)
業務により新型コロナウイルス感染症に罹患した場合には労災保険給付の対象となるわけですけれども、罹患後症状、いわゆる後遺症があり療養の必要が認められる場合、労災保険給付の対象となります。

○石垣のりこ君
ということで、労災の対象になると。これも医師の診断等も必要になってくるのかなと思うんですが、そういう意味でも、罹患後症状の手引というのを作って、これを見てくださいと医療機関等に周知はされているということなんですが、やっぱりまだまだこの後遺症についての全体的な認識というのは深まっていないというふうに思っております。実際、国際疾病分類の標準病名マスターの中にもコロナ後遺症というのが掲げられておりますので、これは前回も申し上げましたが、こういう、労災申請においてもちゃんとその後遺症というものがあって、こういう症状というのは後遺症として認められる、だからこそ労災申請ができるんだということが、体制として、流れとして申請までたどり着かないと、これ労災の申請することもままならないわけですから、是非ともその辺の、自治体との相談窓口、医療機関との連携、労基局との連携も含めて、この辺をしっかりと体制をつくっていただきたいと思うんですが、その辺についていかがでしょうか。

○政府参考人(吉永和生君)
コロナウイルス感染症の後遺症につきましては、なかなか現時点でこれがここまでの範囲というような形が必ずしも明確になっているものではございませんけれども、先ほど先生からも御指摘ございましたとおり、医師の判断に基づきまして後遺症であるということであれば、申請に基づきましてそれを私どもの局医の方でも判定をし、労災保険の支給を行うという手続になっているところでございます。こういった後遺障害、後遺症につきましても対象となるということはリーフレット等にも記載しているところでございまして、こういった内容につきまして周知が不十分ということであれば、改めて徹底をしていくということが必要だというふうに考えておるところでございます。

○石垣のりこ君
是非ともしっかりと、その後遺症も含めて、この労災の申請、ちゃんと使えるんだ、労働者の権利としてしっかりと申請できるんだと、分かりやすいケースだけじゃなくて、もっと細かいケースもございますので、ちゃんとした連携と、あとその相談体制と、申請がしっかりとなされるように御対応いただきたいと思います。 大臣からも一言お願いします。

○国務大臣(後藤茂之君)
しっかりと周知を図るとともに、医療関係者、また地方自治体等との連携も深めてやっていきたいと思います。

○石垣のりこ君
結構、この労災申請に関しても何回か通知は出されているんですけれども、その通知だけで終わっている部分があり、自治体によってというか、その労基署によってかなり対応に差があるようですので、その辺をしっかりとやっていただきたいと思います。続いての質問ですが、職業安定法における雇用仲介サービスに関して伺います。3月25日の厚生労働委員会で大久保参考人から、雇用仲介サービスについては、法規制だけではなく、業界団体による自主規制も重要との指摘がありました。今回の法改正では、改正職業法第47条3にも盛り込まれておりますが、この団体による連携強化の規定、この規定により、厚生労働省は業界団体とどのような面で今後連携を取っていかれるのか、教えてください。

○政府参考人(田中誠二君)
事業主団体は、事業者団体は、これまで業界団体全体の法令遵守の推進とその啓発を行い、業界の自主的な規制など重要な役割を担ってきていただいていることを踏まえ、今回の改正案において、その役割と国との連携を法律上位置付けることとしたところでございます。この規定に基づいて、まずは今回の法改正の内容の周知に御協力いただくことを予定しているところですけれども、さらに、今後、日々発展していく求人メディアの実態についての緊密な情報交換でありますとか、特にAI等を活用したサービスの実態把握や留意点に関する検討でありますとか、さらに、優良な募集情報等提供事業者を認定する仕組みの検討といった場面で、事業者団体としっかり協力しながら適正な事業運営の確保に取り組んでまいりたいと考えております。

○石垣のりこ君
これから細かい検討をしていかれると思うんですけれども、同じく大久保参考人から、インターネットを活用した新形態の雇用仲介サービスには業界団体に未加入の事業者も多いと、悪質な事業者の徹底的な排除が必要であるというふうに主張されていらっしゃいました。今回の改正によって立入検査や改善命令など様々な措置をとることができるようになるわけなんですが、悪質事業者の取扱いについて、厚生労働省においては今後どのような取組を進められますか。

○国務大臣(後藤茂之君)
今委員御指摘いただいたように、今回の改正案においては、募集情報等提供の定義を拡大するとともに、募集情報等提供事業者に対する立入検査や法令に違反した場合の改善命令等を規定しております。これらの規定を活用いたしまして、新しい形態の募集情報等提供事業者も含めて、必要に応じ、指導等を行ってまいります。さらに、今回の法案の確実な履行確保に当たっては、従前の各労働局での対応に加えまして、厚生労働省本省に募集情報等提供事業の実態把握や指導監督を行う新たな組織、室を設置する等の体制強化を図る予定でございまして、指導監督などに適切に対応できるようにしっかりと制度的に準備してまいります。

○石垣のりこ君
室を設けてということで、前回の委員会の答弁ではまだ人員とか組織についてはこれからということで、この辺もしっかりと体制づくりをしていただきたいと思いますが、例えば、悪質なといいますか、ちょっと目的外の利用というような形で、求人の予定はないけれども、会社の宣伝あるいは商品の勧誘などの目的で求人広告を出している事例というのを厚生労働省では何か把握していますでしょうか。把握していらっしゃる場合、そのようなケースにはどのように対応するんでしょうか。

○政府参考人(田中誠二君)
求人募集に応募してきた者に対して有料の研修受講などを求める事例については、先日、参考人からも御指摘をいただいたところでございます。個別事案のコメントは控えますけれども、一般論として、本来は求人の意思がないにもかかわらず商品の勧誘などを目的に求人募集を行った場合、本法案において禁止している虚偽の求人に該当しまして、指導監督の対象になり得ると考えております。 そのような違法事案に対しては、しっかりと対応していきたいと思っております。

○石垣のりこ君
これは本当に個別に聞いた事案として、実際に電話をしてみたら既にもう決まっているというような対応がなされて、ほかの職業を紹介をされたりとか、目的でないものを紹介されたりとか、逆にその社が扱っているものをどうかと勧められたりというような話を聞いたりしまして、この辺も結構前から言われていることではありますけれども、しっかりと求人者がより安心して雇用仲介サービスを利用していただけるように対策を進めていただきたいと思います。まず、募集情報等提供事業者の実態把握、まずここのところを適切にやっていただくということが第一になってくるかと思いますが、法案成立後は速やかに募集情報を正確かつ最新に保つ責任が一義的に求人事業者にあるということ、また、募集情報等提供事業者に対しては、募集情報に関して正確かつ最新に保つための措置を義務付けていること、これをしっかりと周知徹底していただきたいと思います。では、ちょっとまた非正規雇用の問題に少し戻りますけれども、まん延防止等措置は全国で解除にはなったんですが、まだまだ予断を許さない状況です。コロナ禍における非正規労働者の抱える問題についてどのように認識されていますか。

○政府参考人(田中誠二君)
コロナ感染症が非正規雇用労働者等の雇用に与える影響が長期化している中で、厚生労働省では、雇用保険制度における失業した場合の基本手当や、職業訓練を受講する期間中の延長給付の支給、雇用保険の給付を受けられない方に無料の職業訓練と月10万円を支給する求職者支援制度のほか、ハローワークにおいて個々の求職者の状況に応じたきめ細かな就職支援の実施などに取り組んでおります。引き続き、こうした取組を着実に実施して、非正規雇用の労働者等の就職の促進、雇用の安定の支援を図ってまいりたいと思います。

○石垣のりこ君
職業訓練についてのお話がありました。求職者支援制度なんですが、再就職、転職、スキルアップを目指す方が月10万円の生活支援の給付金を受給しながら無料の職業訓練を受講することができる制度ということなんですが、このコロナ禍における求職者支援制度の利用状況、このコロナ禍前と比較して御紹介ください。

○政府参考人(田中誠二君)
求職者支援訓練の受講者数ですが、コロナ前の令和元年度の約2.1万人から令和2年度は約2.4万人と、約1.1倍へ増加しております。さらに、令和3年度は1月までで約2.2万人と、前年同期と比べて約1.2倍に増加しているところでございます。

○石垣のりこ君
これ、第2のセーフティーネットとしての求職者支援制度ということですけれども、これはまあ伸びてはいるということなんですが、これ、実際に有効活用されている、機能をしているというふうにお考えでしょうか。

○国務大臣(後藤茂之君)
求職者支援訓練の受講者数、前年度同時期から約1.2倍に増加しているということから見ると一定の活用は進んでいるものというふうには考えておりますけれども、令和3年度の求職者支援訓練の受講者数について5万人に倍増させる目標を設定していることから考えると、それは目標の水準には達していないというふうには認識をいたしております。

○石垣のりこ君
目標の水準に達成していないということなんですが、この原因及び今後更なる活用を促すための取組について、どのようにお考えでしょうか。

○政府参考人(田中誠二君)
ただいまお答えさせていただきましたように、令和三年度の受講者数の目標5万人に対して2.2万人と、まだ半分にいっていない状況でございます。原因としては、コロナ禍で求職者に感染リスクを回避する傾向があることや、社会活動が再開するまで求職活動を繰り越そうとしているなどの訓練受講控えの動きもありまして、コロナ感染症の拡大の影響が大きいのではないかというふうに思っておりますが、一方で、なかなか利用が進まないものですから、かなり広報の方に力を入れておりまして、SNSやユーチューブなどでも広報を強化しております。その結果、非常に感染症厳しい中でありますけれども、徐々に毎月の利用者数が増えてきているように思えます。引き続き、制度を分かりやすく周知するとともに、ハローワークなどでしっかりと利用を御案内していきたいというふうに考えております。

○石垣のりこ君
求職者支援制度、今後の更なる活用のためにということで取組についてお話はいただきましたけど、この緩和措置が今コロナ禍で行われております。昨年12月からスタートして、年度末ということで今月末、3月末で一応終了ということでは示されているんですが、今後これ、まだまだコロナの影響というのは続いていくということで、延長の方針などはございますでしょうか。

○政府参考人(田中誠二君)
求職者支援制度で、非常に感染症の下で就職が困難な方に対する支援、引き続き継続していく必要があると考えております。法案の審議をいただいた雇用保険部会の報告でも、この現在の特例を1年延長すべきという報告をいただいておりまして、それに従ってこの現在の特例を来年度末まで延長する予定であります。近く省令を公布させていただきたいと思っております。その上で、先ほど申し上げました特例措置の有効な活用をいただくための受講勧奨、それからハローワークでのお一人お一人の状況に応じた情報提供、それから、より幅広い形で、なかなかハローワークまで来られない方にも情報が行き届くような工夫ということでインターネット、SNS、様々活用しながら周知広報に努めたいと考えております。

○石垣のりこ君
目標までやっぱり全然達していないということで広報に力を入れていらっしゃるということですが、利用される様々な方たち、そのそれぞれの個々の事情に応じてやっぱり使いやすいようにしていただくというのが一番だと思います。令和4年度末まで延長に向けて検討されているということで、近々その方向性も発表されるという御回答がありましたけれども、是非利用者の目線でより使いやすい制度に整備をしていただきたいと思います。後藤大臣、いかがでしょうか。大臣にも一言お願いします。

○国務大臣(後藤茂之君)
今委員おっしゃったようなことも踏まえてしっかりやっていきたいと思います。

○石垣のりこ君
では、間もなく時間ということで、ちょっと最後の質問になるか分かりませんが、そのコロナ禍に関連して、今コロナ禍で一気にテレワークが進んだということがありますが、このテレワークにおける労働環境の変化に関して、厚生労働省がどのような課題があると認識しているのか、まずはそちらから伺います。

○国務大臣(後藤茂之君)
テレワークはウイズコロナ、ポストコロナの新しい生活様式に対応した働き方であると同時に、時間や場所を有効に活用できる働き方であり、適正な労務管理下における良質なテレワークの導入、定着を図ることが重要だというふうに考えております。テレワークを行う上での課題としては、令和2年度に開催いたしました、これからのテレワークでの働き方に関する検討会において、労働時間の管理の仕方、作業環境や健康状況の管理、把握、人事評価や費用負担の取扱いなどの労務管理上の課題が挙げられたところでございます。こうした課題について、テレワークの導入実施に当たり、あらかじめ労使で十分に話し合い、ルールを定めておくことが重要だというふうに考えておりまして、令和3年3月にテレワークガイドを改定いたしまして、労働時間管理の工夫なども含めて、労使双方にとって留意すべき点や望ましい取組等を明らかにしたところでございます。厚生労働省としては、このガイドラインについて、分かりやすいパンフレットの作成や関係団体への周知、企業向けのセミナー等を開催してきたところでありますが、引き続き、良質なテレワークの普及、定着に努めてまいりたいと思います。

○石垣のりこ君
ありがとうございます。ちょっと、テレワークに関してはまだまだやっぱり現状どういうふうになっているかということを把握しなければならないと思いますし、先ほどから非正規雇用の問題という話をしておりますけれども、やっぱり、テレワークを推奨しても、実際に休めるのは正規雇用の方たちで、現場の方で働く非正規雇用の皆さんはなかなかテレワークに移行できないというような問題も指摘されております。今後、このままコロナが収まってくればいいですけれども、新しい株でまた感染が広がってということになったときに、テレワークの在り方をどうしていくのか、より現状を把握した上での対応が必要になってくると思いますので、この点も、今後の働き方見直していく点でもしっかりと御対応いただきたいと思います。すみません、じゃ、ちょっと中途半端になってしまうかもしれませんが、もう一点。コロナ禍で休業せざるを得なくなった労働者を支える制度として、休業支援金、これは雇用保険加入者を対象とした本来は制度ですけれども、雇用保険非加入者を対象とする休業支援給付金制度も、これ一般会計で実施されております。それぞれの支給額を教えていただけますか。

○政府参考人(田中誠二君)
休業支援金、休業給付金の累計支給額は、直近の3月17日時点で約2800億円であります。このうち、雇用保険加入者を対象とする休業支援金は約900円、雇用保険の非加入者を対象とする休業給付金は約1900億円となっております。

○石垣のりこ君
この休業支援金より休業支援給付金、これは言葉がほぼ近いので区別するの分かりづらいんですけれども、累計支給額の方が多くなっている、休業支援金より休業支援給付金の累計支給額の方が多くなっている、その理由について厚生労働省の見解はどうなっていますか。

○政府参考人(田中誠二君)
被保険者でない方に対する休業給付金の方が多く活用されておりますけれども、これは、特に、雇用保険の対象ではない、適用除外とされている学生さんや、あるいは所定労働時間の短い非正規雇用労働者の方に多く活用され、その雇用維持等に効果を発揮しているのではないかと考えております。

○石垣のりこ君
休業支援給付金制度も令和4年度末から6月までは一応延長されているということなんですけれども、今この利用状況に鑑みまして、新型コロナウイルス感染症の流行がこの先も続けば、やはりこの制度が廃止されることによる非正規雇用者、フリーランス、個人事業主の方も含めてですけれども、影響が非常に大きいと考えるんですけど、いかがでしょうか。

○国務大臣(後藤茂之君)
休業支援金・給付金制度につきましては、コロナの影響により休業させられた労働者が休業手当の支払を受けられなかった場合に個人で申請できる制度として創設したものでございまして、現在、雇用調整助成金の特例措置とともに6月末までの延長を行っているわけでありますけれども、7月以降の取扱いについても、引き続き、感染が拡大している地域に配慮しつつ、雇用情勢を見極めながら検討をしていきたいというふうに考えています。

○石垣のりこ君
感染状況、本当、先が見えないことがありますので、一応、そのまん延防止が解除されたからといってすぐに経済が回復していくわけでもなく、皆さん、やはり様子を見ながら、徐々にどうなっていくのかという、注視されているところもあると思います。実際、今日ずっと、非正規雇用の方の話を含めて、どうしても弱い立場に置かれる労働者のところにしわ寄せが行ってしまうということがあると思います。是非、このコロナ禍も含めて、今後の経済状況、どういうふうに回復していくか、やっぱり一番現場で働いている、一番弱い立場も含めて、働いている皆さんが働きやすい環境をつくっていくためにどのような制度を整えたらいいのか。今回、主要な論点に関してはこれまでの話合いの中で様々出ておりますので、より細かい視点について私の方から質問させていただきましたが、労働者が本当に安心して働き、何かあったときにはセーフティーネットが働く、そういう制度にしていくために、今後も私自身もしっかり問いただしていきたいと思います。是非とも、政府の方としてはしっかり御対応いただければと思います。 私からは以上です。