参議院 農林水産委員会

参議院 農林水産委員会で質問に立ちました。録画をぜひご視聴ください。
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令和五年五月十八日(木曜日)
参議院農水委員会(未定稿)

○石垣のりこ君
立憲民主・社民の石垣のりこです。
おととい、野村大臣からは本法案の提案理由説明がございました。その中で、国内の水産物消費の大幅な減少、また主要魚種の不漁などの背景、さらには水産物の消費喚起、消費増進を図っていく必要性についてもお話があったと思います。そこで、まず確認しておきたいんですけれども、本法案の改正で目的とする消費増進の対象のこの「水産物」というのは国内生産の水産物ということでよろしいんでしょうか。

○政府参考人(神谷崇君)
お答えいたします。
本法案では、わが国水産業における水産物消費の減退や主要魚種の不漁などの課題に対応し、国内における水産物の消費増進の取り組みを通じて地域水産業の健全な発展を図ることとしております。このため、本法案により、全国の多くの地域における海業の取り組みにより目指す消費増進の対象は国産水産物を想定しております。

○石垣のりこ君
ということで、基本的な対象としては国内生産の水産物ということだということなんですが、では、その国内生産、国内生産された水産物の目標値、ここまで消費を拡大していくというような目標値というのはあるんですか。

○政府参考人(神谷崇君)
お答えいたします。
水産庁といたしましては、水産物の国内、あっ、国産国消の目標値というのは設定しておりませんが、ただし、国内での生産量につきましては、令和4年3月に策定いたしました水産基本計画におきまして、令和14年度における食用魚介類の生産目標を439万トンと設定しております。

○石垣のりこ君
令和14年で439万トン、これ単体だけで数字を言っていただくと、現状がどのくらいで、増えているのか減っているのかとか全然分からないので、その水産計画におけるこの消費増進の目標というところをもう少し詳細、現在の状況と、その目標値とのこの数字を両方お話しいただいていいでしょうか。

○政府参考人(神谷崇君)
大変申し訳ございません。
まず、生産につきましては、令和3年に国産の水産物は305万トン生産しております。これを令和14年に439万トンまで増産させたいということを目標としております。あわせまして、消費でございますけれども、消費は今現在減少傾向にございますので、それの減少を少しでも歯止めを掛けるということも加味いたしまして、令和3年に517万トンの消費量を468万トンとしたいというふうに目標を設定しております。

○石垣のりこ君
ということで、生産量は令和3年から令和14年にかけて増やしていくと、これは養殖も含めてと、あとは資源管理ということも含めてということだと思うんですけれども、いわゆる消費に向ける量、仕向け量は、令和3年が517万トン、令和14年の目標がそこから下がって468万トンになるという、これ、消費増進を掲げていても、目標は更に消費を増やしていくという、まあこれ確かに厳しい現状はあるとは思うんですけれども、減少を緩やかにするという、これ増進というか、非常に後ろ向きな目標になっているのではないかなというのが単純にこの数字を見て感じるところではあります。ちなみに、水産物の自給率の現状、そして目標値もお願いします。

○政府参考人(神谷崇君)
お答えいたします。
わが国の食用魚介類の自給率は、昭和39年度には113%ございましたが、以降減少に転じまして、平成12年から14年度は53%にまで落ち込んだ後、微増から横ばい傾向で推進し、令和3年度は59%となっております。今後、令和4年3月に策定した水産基本計画に基づき、資源管理の徹底や消費拡大等に取り組むことによりまして、令和14年度における食用魚介類の自給率目標を94%と設定しているところでございます。

○石垣のりこ君
食料自給率を、その水産物の自給率94%ということで、いわゆるカロリーベースの食料自給率をもう大幅に上回るすごく威勢のいい数字ではあるんですけれども、これはあくまでもカロリーベースではなくて、水産物の自給率は重量ベースでの換算ということで、単純にこの94%という数字が、私たちがこの国内で口にする魚介類ほぼ国内生産になるということを意味しないということについては、ちょっとこれまた複雑な話になっていきますのでまたの機会に譲りたいと思いますけれども。今のような基本的な国内産のこの水産物の生産、消費目標等の数字を押さえた上で、今回の改正案、漁港の活用を推進、その中での消費増進なども進めていくということになるわけなんですけれども、この漁港の活用に関して、現在どのような課題があって、本改正案によってどのような解決が見込まれるのか、ご説明お願いします。

○政府参考人(安東隆君)
お答え申し上げます。
現行制度の下で、事業者が漁港において漁港施設等を活用して消費増進につながる海業の取り組みを実施しようとする場合には、行政財産である漁港施設を活用しようとすると、これが本来の用途以外で貸付けすることができないので貸付けを受けられない、それから、水面で事業を行う場合、一時的な占用許可を受ける方法しかなく、長期的な投資が難しいという課題がございます。このため、今回の法改正におきまして、漁港施設等活用事業制度を創設し、漁港管理者が漁業者等との調整を図りつつ、漁港施設などを活用して水産物の消費増進等に資する取り組みを推進する計画を策定するとともに、事業者に対し、漁港施設の長期貸付けや漁港水面施設運営権など、長期安定的に事業を実施する権利や地位を付与するといった措置を講じることとしており、事業者が漁港施設や水面などを活用して消費増進につながる海業の取り組みを実施しやすくなるといった効果を期待しているところでございます。

○石垣のりこ君
本来の用途ではないというところで、その用途の中に活用というものを入れることによって海業の推進がしやすくなるというふうに私としては今のご説明受け止めておりますけれども、この本法案と、例えば、ほかの漁港活用に関連する施策との関連についても伺いたいと思うんですけれども、様々なその漁村の活性化であったり、海業に関わる施策がございます。先ほど、宮崎議員のお話の中にもありました、昨年末まとめられた漁業支援パッケージの中にもございます平成26年からスタートした浜の活力再生プラン。例えば、現在、このいわゆる「浜プラン」、成果というのはどの程度得られているか、現状をお願いします。

○政府参考人(安東隆君)
お答え申し上げます。
浜の活力再生プランは、漁村地域ごとに漁獲物の鮮度保持等による漁業収入向上方策、燃油使用量削減等による漁業コスト削減方策を取りまとめ、策定から5年後に漁業者の所得を10%以上向上させることを目標として取り組みを実施するものです。平成26年度から順次取り組みが開始され、この浜プランの取り組みにより、平成30年度までは全体の半数以上の地区において年度別の所得目標を達成してきており、漁業者の所得向上に一定の成果を上げてきたものと認識しています。一方で、令和元年度以降は、不漁などによる漁獲量の減少や新型コロナウイルス感染症の影響による魚価の低迷、燃油価格の高騰などにより、その年度の所得目標を達成した地区の割合が減少しており、令和3年度では、所得目標を達成した地区の割合は約3割となってございます。

○石垣のりこ君
自然を相手にというところで、様々なそういう要因が関わってきて思いどおりにいかないということももちろんあると思いますけれども、今回のこの法改正によって、例えば、ダイレクトにその仕事の収入のアップというところではない、今回の漁港の活用というところではありますけれども、もう広く海業の中で考えると、漁村の振興であるとか、その地域の漁業関係者の皆さんの収入アップさせるというところでこれ関連する施策だと私は捉えておりますし、海業の中にも確かに位置付けられているということで、この浜プランに、例えばですよ、例えば浜プランに今回の法改正がどのように関係してくるのか、どのように影響してくるのか、この点についてご説明お願いします。

○政府参考人(安東隆君)
お答え申し上げます。
今回の法改正による漁港を利用した海業の展開は、交流人口の拡大や水産物消費の増進などにより、地域の所得向上や雇用の創出を通じて漁村の活性化につながることが期待されます。浜プランは、漁業所得の向上と地域の活性化を目指した漁村におけるマスタープランでありますので、今回の法改正による漁港を利用した海業の取り組みも、考え方としてはそれぞれの浜プランに組み入れていくべきものだと考えておりまして、組み入れることで、漁村における漁業収入向上や漁業コスト削減による漁業所得向上の取り組みと海業による取り組みが一体となって効果を上げていくことが期待されると考えております。

○石垣のりこ君
本当に様々な、農林水産省でも、別にこれは水産業にかかわらず、農業も林業もいろんな施策があるんですけれども、法改正によって更にそれがまた影響を受けて、それぞれの施策が結構単発で、単体でそれぞれ次々と矢継ぎ早に提示されて、いろいろあるんだけど、それぞれがどういうふうに関係していてどういう相乗効果を生むことを期待しているのか期待していないのか、ちょっと利用者の方でも分からないというようなお声をいろんな形でいただくことが多いですし、私自身も、今回の法案に関連していろいろ調べていくと、いろんな施策があるんですけれども、関連するようで、これはどういうふうにそれぞれの影響を与えて、今後、その海業なり漁業全般に対しての影響を与えていくのかというのがちょっと見えにくいところが非常にあるというふうに感じました。これは多分、農林水産省にお勤めの皆様、官僚の皆様も含めて、多分全体を見ながらその施策を現場にやっぱりなかなか下ろすということが難しいし、現場自体も、担当の職員の方がなかなか窓口でそれを理解して、その地域の漁港の皆様とコミュニケーションを取りながら進めていくということが難しいという現状はあるんだと思いますが、特に今回、海業の中のパッケージに取り組まれているような施策に関して、もっと丁寧にやっぱりコミュニケーションを、地域地域の事情があると思いますので、その話し合いをやっぱりする場を設けた上で、今回のこの漁港漁場の整備の法律の改正案がどういうふうにその漁場の、漁港の活用に資していくのかということをちゃんとやっぱり説明をしていただかないと、やっぱり一部の理解した方たちの政策として進められてしまうということもあり得るのかなというふうに私自身はちょっと感じておりましたので、ちょっと丁寧にこういう全体の施策、それぞれの個々の施策がどう相乗効果を生むのかということを、今後、現場にしっかりと落としていただきたいなというふうに思います。今までの一通りの消費増進の具体的な数値目標なども含めて、本法案が国内の水産物の国産国消又はそれぞれの諸施策とどういうふうに関わっていくのか、またどういうふうにこの法案の改正を生かしていくのかということについて、大臣のご見解を伺いたいと思います。

○国務大臣(野村哲郎君)
石垣委員にお答え申し上げたいと思いますが、多分、宮城県もいろいろこの海業でやっておられる港というのは多いんじゃないかと思うんですね。私のところもいろんなことで、この海業を利用した形でいろんなことをやっておりまして、一番私がびっくりしておりますのは、あまりそんなになじみのない魚のイワシ、このイワシというのが……(発言する者あり)いやいや、いわし亭という、イワシのみの魚を使って、煮付けであるとか刺身であるとか焼きであるとか、それだけで昼の定食を出していて、もうそれが列をつくっているんですよ。だから、ものすごく活気を呼んでいるというのは、これはもう間違いのない事実なんです。ですから、外部の方々はそのイワシを食べに、まあ言わば、県外とは言いませんけど県内の各地区からやっぱりお見えになっている場所がありまして、我々がいつもそこを通るときにはイワシを食べに行こうと、昼飯はちょうどいわし亭で食べようというようなことを言って食べるんですが、本当にすばらしくおいしいんです。ですから、そういったようなお店をつくったり、あるいはレストランをつくったり、いろんな形で漁港が、あるいは漁協がいろんなアイデアを出しながらやっている、そういったことが、私は、そこの港の活性化にもつながっていくし、また人事交流の場にもなっているんじゃないかということで、この海業の今回の法改正が、いろんな今では難しさがありましたけれども、今回からそういった形でどんどん進出していただければいいなと、こんなふうに思っているところでございます。これに加えまして、現在、もうご存じだと思いますが、さかなの日ということで、3日から7日、毎月3から7日の日は「さかなの日」ということで、魚を食べましょうということでやっておりますけれども、なかなか魚、肉の日は29ですからすぐ分かりやすいんですが、さかなの日というのを文字で例えると3から7では、3日間、4日間、その日にちを設定しておりますから、そういったような消費拡大に向けた取り組みを水産庁ではやっているわけでありまして、この法案で、できるだけ魚に対する価値や魅力を生かして、漁協で水揚げされた新鮮な水産物を提供する、そういった先ほど申し上げた水産食堂だとかレストランだとか、あるいは非常に特色のある魚を食べさせていただける、そういったものを工夫してやっていただければ私は非常に人的な交流が進んでいくんじゃないかと、こんなふうに思って期待をいたしているところでございます。

○石垣のりこ君
大臣の期待も含めてお答えいただきまして、ありがとうございます。宮城でも特色のあるものとしてはホヤがございまして、これも東日本大震災で、ほぼ生産量日本一だったんですけど、今北海道と1位、2位を競っている状態にありますが、そのホヤ、もう半分以上が韓国への輸出をしていたのが今禁輸措置がとられていて、そのときに、ほかの国に向けようと、その消費を向けようとするもちろん動きもあって、それがうまくいっている部分もあるんですが、国内消費をやっぱりもっと、その食材の良さを知っていただいて広げていこうというやっぱり地元の意気込みと思いがあり、食べ方が、ホヤは皆さん食べたことありますかね。生食で酢の物にするか刺身にするかがメインだったんですが、ホヤしゃぶ、ホヤのアヒージョ、ほやし中華、ホヤから揚げとかですね、もうありとあらゆる、いわゆる和食だけじゃなくて洋食にも合うようにして、輸出も含めて、いろんなやっぱり食卓のメニューとして素材を使っていただけるような取り組みというのを地元の方がなさっていて、そういう方を、地域のいろんな方を招いて実際に食べてもらって、そこから飲食店に広げていって、かつ、旬の時期に捕れたホヤを、あれ調理ちょっと大変だというかコツが必要なものですから、ちゃんと食べられるようなサイズで瞬間冷凍して、一年中食べられるような食材として供給できる体制をつくったというようなものもありますので、こういう取り組みが今回の法改正によってもっといろんな形で広げていけるような形になればいいなという、私自身も期待はございます。その上で、今回の法律案がより、まあある意味規制緩和がなされる中で、ちゃんと地域の利益に資するものになるかどうかというところでちょっと伺っていきたいと思うんですけれども、今回の法案改正によって、法律の改正によって漁港施設に追加される施設が幾つかございますが、例えば発電施設がございます。これ、どのようなものが想定されているか、お願いします。

○政府参考人(安東隆君)
今回の改正法案において漁港施設のうち漁港管理施設に発電施設を追加する趣旨は、太陽光発電などの再生可能エネルギーの活用も含め、漁港施設への電力供給を行うことを目的とするものです。

○石垣のりこ君
今、太陽光発電という具体例挙げていただきましたけれども、これ、衆議院の中の答弁の中では洋上風力発電ももちろん入っていて、漁港の発電に、必要な発電に資する施設ということで、特に太陽光発電に区切っていたわけではないと思うんですけれども、これ、例えば漁港で使用する以外に余剰分を売電する場合、本改正案の漁港施設の範疇になるんですか。

○政府参考人(安東隆君)
お答え申し上げます。
ご指摘のような余剰電力を売電することまで否定するものではありませんので、入り得ます。

○石垣のりこ君
まあこの余剰というのをどこまで捉えるかという、これはちょっと悩ましい問題があると思うんですね。季節変動などもあるでしょうし、その漁港内にどういう施設があって、どのぐらいの電力が必要になるかとか、その時々によって結構ケース・バイ・ケースであると思うんですけれども、何らかの指標があるのかないのか、ちょっとこの点はどうなんでしょうか。現在でこの何割ぐらいの余剰分は売電しても漁港施設の範囲内であるのようなものというのはあるんですか。

○政府参考人(安東隆君)
お答え申し上げます。
あくまで漁港施設でございますので、漁港施設への電力供給を行うための施設に限られると考えてございます。

○石垣のりこ君
いや、だから、漁港にももちろん出すけれども、それが例えば全体の6割、半分は超えているからとかということもね、ちょっとその可能性としてはちょっとある、あり得るのかなというところでのちょっと懸念はございます。このところのやっぱり基準というかはちょっと明確にしていただきたいなというふうに思っております。その上で、例えばこういう事例があるわけです。青森県の中泊町の小泊漁港内に、つい先日、これ風力、洋上風力発電の建設計画というのが発表されておりまして、これは2029年の稼働開始を目標としていると。これ、全国で初めて漁港内にできる洋上風力発電施設ということなんです。規模は相当大きいんですよね。海面からの高さが200メートル以上になる大型の風車7基を設置すると、で、全体で105メガワットの発電量を目指すというふうにNHKで報道されております。これは、ちなみに、今回の漁港施設の発電施の対象にはならないですよね。

○政府参考人(安東隆君)
お答え申し上げます。
委員ご指摘の小泊漁港の洋上風力発電につきましては、報道によれば、発電能力は最大9万世帯の電力を賄うことができる10万キロワットになる見込みであり、発電した電気は電力会社に売電する計画とされております。今回、漁港施設に追加する発電施設は、ちょっと繰り返しになって申し訳ありませんが、漁港施設への電力供給を目的とする施設でございますので、今回のような小泊漁港の洋上風力発電は、漁港施設である発電施設には該当しないと考えてございます。

○石垣のりこ君
ということなんですけれども、ちょっとこれは確かに今回の法案とはまた毛色が異なるのかもしれませんが、この中泊町の町長さんが、漁港の区域内での建設は法律による調整プロセスの制約を受けないため参入のハードルが低く、自治体と地元漁協が合意すれば事業を進められる、漁獲量の減少に悩む全国の漁港、さらには一般海域での事業の拡大につながる先駆けにしたいというふうにコメントをされていると報道されておりまして、確かに収入アップという地域にとって必要な部分はあると思うんですが、本業のやっぱり漁港としてのその漁業としてがちゃんと守られた上でこういう事業計画が進められているのかどうかということは、地域がこれ法律でなくて決めるからそれは仕方がないとするのではなくて、やっぱり農林水産省として、この部分は、何らかの指針であるなり、やっぱり、何でしょうかね、指導であるなりということが必要になるというふうに私は考えますが。すみません、この点はちょっと特に事前に通告はしていないんですけど、ちょっと大臣、お考えがあればお願いします。

○国務大臣(野村哲郎君)
お答え申し上げますけれども、これは今、安東次長の方からお答え申し上げましたように、漁協施設である発電施設には該当しないということで、はっきり次長から申し上げたとおりでございまして、なかなかやっぱりこれは難しいなと、こんなふうには思います。

○石垣のりこ君
本法案の中での発電施設には該当しないということは今ご回答いただいたのでいいんですが、この漁港内でこういう大規模な発電、洋上風力発電施設が、何の、ほぼですね、ハードルもなく、まあもちろん地元の了解というのは絶対的に必要で、それがあるという前提ではあるんですけども、ここの意思形成、先ほどの合意形成がどういうふうになされるかということの問題点というか、不透明さというところもあると思いますので、地域が決めたからそれでいいんだというふうに単に言えない問題だというふうに私は考えますし、その点の指摘はさせていただきたいと思います。
続いて、避難施設について伺います。
これ、設置場所とか避難施設としての条件などはありますでしょうか。

○政府参考人(安東隆君)
お答え申し上げます。
ご質問いただいた避難施設につきましては、漁港における就労者や来訪者、地域住民等が津波等から避難するための施設を想定しております。このため、避難施設の設置場所や条件としては、避難の目的のために適切かどうかという観点から判断され、漁港区域内に設置する場合、設置する場合のほか、今回の法改正ではみなし施設としての指定手続きを行い、漁港区域外の高地に避難施設を設置する場合についての手続きの簡略化なども盛り込んでいるところでございます。

○石垣のりこ君
今みなし施設の話が出たので、ちょっと順番一つ先に行って、第66条の1項、みなし施設についての規定について質問します。この漁港の区域内にない施設についての農林水産大臣の認可というのが、現行は水産審議会の議を経なければならないとなっているものを、改正案では、市町村長又は都道府県知事が関係地方公共団体の意見を聴いて指定できるというふうに変更されております。このことの妥当性についてご説明お願いします。

○政府参考人(安東隆君)
お答え申し上げます。
現行制度において、市町村長又は都道府県知事が指定する漁港におきましては、漁港区域内にない施設を漁港施設とみなす場合、農林水産大臣が水産政策審議会の議を経て認可することとなっております。このみなし施設の指定は、漁港の機能を発揮するために必要な施設を指定するものでございますので、漁港区域の指定と同様の意義を有するものと考えておりますが、この漁港区域の指定の方では、市町村長や都道府県知事は、これまでも農林水産大臣及び水産政策審議会の関与なく適切に行ってきており、指定手続きに係る知見が蓄積されていることから、今回、農林水産大臣及び水産政策審議会の関与をなくしても適切な指定が可能と考えており、漁港管理者の事務負担の軽減も考慮し、見直すこととしたところでございます。また、ただし、みなし指定の手続きにおいては、関係地方公共団体の意見聴取の手続きを設けるとともに、通知などにより、必要となる書類や手続きを示すこととしており、意思決定の過程においても、引き続き公正性や透明性を確保してまいりたいと考えております。

○石垣のりこ君
前提条件、追加される施設も何もなく、今までそうで、前例でほぼ問題がなかったというんだったらまだこの変更は分かるんですが、今回、この漁港施設にいろんな施設が、先ほどの発電施設もそうなんですけど、加わるわけなんです。だから、前提条件が変わるわけなんですよね。陸上養殖施設もそうですし、養殖用の餌の保管の製造施設であるとか、加工場とか仲卸施設とか、いろんな直売所とかも、いろんなその漁港施設に加わるものがあって、それがたまたまみなし施設として漁港の区域外に設置しなきゃいけないような場合、これが都道府県の知事であるとか、地元の市町村長又は都道府県知事が関係地方公共団体の意見を聴いて指定できるということで、いろんなケースが更に増えるにもかかわらず、この水産審議会の議を経ないということは、これは、私は、いろんなその議論の公平性、透明性を確保していく上でこれはちょっと問題なんじゃないかというふうに考えるんですけれども、いかがなものでしょうか。これは、やっぱり規制緩和をしてより使いやすくしていただくというのはもちろんですけれども、その規制緩和をしたときに、やっぱり地元の利益であるとか、あと、どういう意思決定がなされたかということが、やっぱり広く皆さんに検証していただくための議事録を残していくという点でも、こういう規制は逆に残して、もっと短時間でできるようにするであるとか、違う形での負担軽減を本来ならば図るべきであるというふうに考えるんですけれども、この点についてはいかがでしょうか。

○政府参考人(安東隆君)
お答え申し上げます。
みなし施設の指定、先ほどちょっと漁港区域の指定との比較を申し上げましたけれども、実はこれ、平成12年の法改正で、漁港区域の方は、指定の方は農水大臣の関与をなくした一方で、こちらの方は残すということにしました。それは、みなし施設の方は漁港管理区域の外ということで、可能性として市町村をまたがるという、ほかの市町村にまたがるみたいなことも考えられるので、単にその漁港区域を管理する市町村の判断だけではちょっと不安が残るということで残したんですけれども、事実として平成12年以降そういった事例は1件もございませんということと、それから、今回、関係地方公共団体の意見を聴くということにしましたので、その存する漁港、漁港区域の存する市町村だけではなくて、隣の市町村の意見も聴かなきゃいけないというところで、手続きの公正性は担保されるものと考えてございます。

○石垣のりこ君
意見を聴くのは当たり前だと思うんです。それは、違うところに、その地域に設置する施設について何も言わないでぼんと置くわけにはいかないわけですから、意見を聴くのはもちろんなんです。どういうふうな意見を聴いてどういうふうに決定されたかということをちゃんと透明性を持って、公平性を持って担保するためには、審議会、じゃない、別に審議会がこれ適切かどうかはまた別の問題があるかもしれませんが、必要じゃないですかというのが私が申し上げていることでございます。この点は、私は、しっかりと何らかの透明性、公平性が確保できる方法を残していただきたいということを申し上げたいと思います。時間がないので先に進みますが、今回、この実施計画の中で、万が一、30年マックスでこの施設を占有できるというような法案になっていると思いますが、現状どおりその、あっ、目標どおりに30年満期で終わりました、じゃ、原状回復をしますの場合だったらまだしも、残念ながら途中で何らかの理由で撤退をしなければいけないような場合になったときに、この原状回復というのはどのように担保されていますか。

○政府参考人(安東隆君)
お答え申し上げます。
漁港施設等活用事業の実施に当たり、事業者が作成する実施計画の記載事項として原状回復の措置の内容を定めることとしており、仮に事業がうまくいかず撤退を余儀なくされた場合には、事業者があらかじめ計画に位置付けられた方法によって原状回復をすることとなります。一方で、新たな事業者が見込まれる場合には、施設の管理を引き継ぎ、事業を継続していくことも可能と考えます。この原状回復や事業の承継に関しましては、現場で適切な対応がなされるよう、今後策定する基本方針や漁港管理者向けマニュアル等を通じて助言、指導していくことに加え、事業実施に関する漁港管理者からの相談に丁寧に応じてまいりたいと考えております。

○石垣のりこ君
ありがとうございます。
その事前計画というのはあくまでうまくいく計画であって、途中でうまくいかなくなった場合はそもそも計画が駄目になっているわけですから、そこのところをしっかりと、やっぱりお任せでではなくて、こういう方法を、例えば積立てをしておかなきゃいけないとか、いろんなメニューを示して、国の方でもしっかりとその点は指導していただきたいというふうに思います。
続いて、水産業協同組合法の改正について伺います。
今回、員外利用制限の撤廃という項目がございまして、水産業協同組合法4条の目的、「組合は、その行う事業によってその組合員又は会員のために直接の奉仕をすることを目的とする」というこの項目に反するのではないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(安東隆君)
お答え申し上げます。
組合員への直接の奉仕という漁協の目的から、漁協が遊漁船業等を実施する場合には、組合員の所得向上を目的として、組合員の労働力を用いるという員外利用制限が現在掛かってございます。今回の法改正では、漁港施設等活用事業については、漁獲物の消費増大により組合員の所得向上につながるものと考えておりますが、当該事業への員外利用制限があると、これがかえって組合員の所得向上を阻害するおそれがあることを踏まえ、その制限をこの事業で活用する場合に限って撤廃することとしてございます。この漁港施設等活用事業は、漁獲物の消費増大という組合員の利益に直結するものであり、員外利用制限を撤廃することが水産業協同組合法に定める漁協の目的に則した改正になるものと考えてございます。

○石垣のりこ君
事業内容によって、組合員だけで対応が難しいとか、そもそも組合員だけで人材が確保できないなどという現状もその組合によっては耳にしておりますので、こういう規制緩和というのも必要なのかもしれませんが、ちょっと組合自体がやっぱり組合員の相互援助組織であって、員外利用制限を原則として、例えば法人税率の軽減措置であるとか、独占禁止法の適用除外といった特例というのが認められているということがありますので、やっぱり今回は、組合法のこの事業の種類、第11条の8の事業のみ限定的な員外利用の規制の制限をなくすということではあるんですけれども、この辺の制限があるからこそのそういう優遇措置というところにおいて、やっぱり何らかの問題をはらんでいるのではなかろうかということを指摘しておきたいと思います。ちょっと答弁求めたいところでありますが、ちょっと時間があるので先に進ませていただきます。今回の法案改正におきまして、様々な関係法案が改正になります、修正されます。これ、あくまでも全部名前に関わる、あっ、内容に全て関わるものだけではないですけれども、本法案に関連する法律と省庁の数、変更になるこの数を教えてください。

○政府参考人(安東隆君)
今回の審議をお願いしている法律案を提出するに当たり、関連して改正が必要な法律は37本ございます。改正が必要な法律の主管省庁としては8省庁でございます。

○石垣のりこ君
これは、やっぱり本法案が海業の推進として、運輸、商業、観光業、環境保護、発電事業、防災などの分野も含めて関わることに鑑みまして、やはり各省庁との連携というのが非常に重要になってくると思います。最後になりますけれども、この点において大臣のご意見を伺いたいと思います。

○国務大臣(野村哲郎君)
お答えを申し上げたいと思いますが、今までいろんなご質問をいただきましたが、この海業につきましては、もう最初からご説明しておりますとおり、とにかく地域のにぎわいや所得あるいは雇用の創出を目指す事業であると。幅広な形で、今までのこの水産業という枠から少しこの枠を広げた形で大きく展開していこうじゃないかと。これは農林業なりあるいは観光などの振興や、地域振興の取り組みと連携して取り組むことが有効であるというふうに考えておりまして、先ほどご質問にありましたように、各省庁にもまたがる法律改正にもなってございます。そのために、昨年末には、地域振興などに取り組む関係省庁との協力の下で、海業に取り組む際に活用可能な支援策を取りまとめた海業支援パッケージを作成し、周知を図っているところでございます。海業を進める意義が広く理解され、各地で海業の取り組みが進んでいきますように、関係省庁との連携を強化してまいりたいと思っております。

○石垣のりこ君
今回のこの漁港漁場整備法の改正によって、やはりその利用が促進されていくということはもちろん歓迎すべきところはあるんですけれども、最初はすばらしい活用ができると思って期待してよかったけれども、こんなはずじゃなかったということにならないように、やはり、地元任せだけではなくて、ちゃんとこういうことのメニューがあるんだよということを、本当、人がいない中でこういうことを地域で一生懸命やっていかなきゃいけないというのは大変だとは思うんですけれども、しっかりとやっぱり農林水産省として携わるべきところには携わって、今回の法案を生かしていただけるようにお願いを申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。