参議院 内閣委員会

5月7日 参議院 内閣委員会 参考人質疑
2024年5月7日 参議院 内閣委員会で質問しました。ぜひ録画をご視聴ください。 
★Youtube録画 https://www.youtube.com/live/YawtcbmgdDk?feature=shared&t=4176
★ツイキャスアーカイブ https://twitcasting.tv/norikorock2019/movie/793062567

令和6年5月7日火曜日 参議院内閣委員会 参考人質疑(未定稿より転載)

○石垣のりこ君
立憲民主・社民の石垣のりこでございます。3人の参考人の皆様、今日は貴重なご意見、誠にありがとうございました。まずは、原参考人からお伺いしたいと思いますが、経団連の、今日は経団連の原参考人にまずは伺います。セキュリティークリアランス制度が導入されることによって、運用を注視するという条件はございましたけれども、例えば他国の政府調達への参加ですとか国際共同開発への参加が進むようになると、各企業にとってみると、社員の中にクリアランスホルダーの社員がいることによって更に契約がしやすくなっていくというように考えてよいんでしょうか。

○参考人(原一郎君)
ありがとうございます。基本的にはそのような方向になることを期待しているということでございまして、それには、先ほど申し上げましたように、下位法令あるいは運用基準、それからそれに基づく運用ですね、実際の、それから、相手のある話でございますので、相手国にこの日本がつくった新たな制度が非常に実効的なものであるということを認めていただくことが大事なので、そういう条件が満たされればそういう形で新たなビジネスにつながっていくことを期待していると、そういうことでございます。

○石垣のりこ君
ありがとうございます。続いても原参考人に伺いますけれども、適性評価で信頼性を確認できなかった社員、いわゆるノーの評価が出た社員に関して、不利益な扱いを受けないかという懸念がやはりございます。企業の立場で考えますと、国が重要経済安保情報と定めた情報以外の情報でも、もちろん企業にとって重要な情報はたくさんあるわけですから、そういう漏えいがあったら困るわけです。政府によってこの重要経済安保情報でさえ漏えいのおそれがあると評価されてしまった社員を重要な役職に就かせるわけにはいかないというふうに考えるのが結構自然なように思うんですが、経済界として、適性評価でノーとなった社員をどのように処遇していこうとお考えなのか、また、不利益取扱いをしないと言い切れるのか、見解を伺いたいと思います。

○参考人(原一郎君)
ありがとうございます。不利益な処分はここ、この法案では禁止されておりますので、企業としては、当然、決まった法律に対してコンプライアンスしていくのは当然でありまして、禁止されているものは禁止されているものとして対応していくということだと思います。企業としては、具体的には配置転換ですとか、あるいは同じ部署にありましてもセキュリティークリアランスを受けずに取扱いができる業務というのは多分あるはずですので、そういった形で対応していくということになるんではないかというふうに思っております。

○石垣のりこ君
続いては、齋藤参考人に伺います。今の原参考人の回答を受けて、不利益扱いなどが起こったときに、その社員の相談に乗ったり実際に訴訟を請け負うことになる可能性があるという、日弁連の齋藤参考人ということで、経団連の回答について、これ実効性があるというふうにお考えになるかどうか、また懸念すべきところ、あとは政府が行うべきことについてお願いします。

○参考人(齋藤裕君)
ありがとうございます。実効性につきましては、もちろん、経団連さんは大きい会社の集まりですのでこういう答えになるんだろうなと思っていますけれども、今回の法案というのはベンチャーも含めて対象になりますので、適性評価が通らなかったら働く場がない、配置転換のしようのない会社というのはあると思うんですよね。そういう場合は、じゃ、整理解雇にせざるを得ない。けれども、整理解雇をしてしまうとこの法律に反することになるのかと。かといって、じゃ、働かせることもできないのに賃金を払い続ける、あるいは労働者の首を切る、もう非常に厳しい二律背反に陥る可能性というのはあるというふうに思っております。特に中小企業については、その懸念はあると思っています。政府がどういうふうにすべきかということなんですけれども、やはり不利益取扱いについて、この法案がこのままで通ってしまうとなかなか厳しいなとは思っていますけど、ただ、やはり本来は不利益取扱いについて罰則を設けるとか、あるいは適性評価についてきちんと不利益取扱いがなされないかどうかということも含めてチェックする第三者機関というものをつくる、ちゃんと調査権限を法律で与えられた第三者機関をつくるというのが本来はなすべきことなんだろうというふうに思っております。

○石垣のりこ君
これまでの質疑を通して、政府は、評価対象者やその家族などについても、重要経済基盤毀損活動に関係することであれば調査を行うことができるというふうに私自身も受け止めているわけなんですけれども、同意を取らない家族などに関してはプライバシーの侵害に当たるのではないかと考えています。今回、本人の同意は、本人の同意は取るけれども、家族の同意を得る必要はないということで、重要経済基盤毀損活動に関する範囲での調査対象になり得るのであれば、やはり家族の同意も取る必要があると考えるんですが、その点はいかがでしょうか。

○参考人(齋藤裕君)
ありがとうございます。まったく
おっしゃるとおりだというふうに思っております。政府の方は、その適合事業者で働く従業員などの同意を取ればいいというふうに言っていますけれども、昔の家父長制ではございませんので、家族のメンバーはそれぞれ独立した人格でありますので、ほかの人の同意を勝手に誰かがするということはできません。もちろん、同意があればプライバシー権を放棄することができると考える余地はありますけど、特に家族についてはまったく同意を求められていない。それにもかかわらず、可能性としては結構機微な調査もされる可能性はあると思っておりますので、そういう意味ではプライバシー侵害の可能性が非常に高いんだろうなというふうに思っています。

○石垣のりこ君
ありがとうございます。続いて、ちょっと一点、また原参考人に伺いますが、適性評価の審査期間、いつまでにというその期間ですね、が定められていないということで、国会での答弁でも、政府は、個々の事情が違うので一概に期間を定めることはできないと答弁しています。適性評価の結果がなかなか出ない社員がいる場合、契約ができないなど企業にとっての不利益があると考えますが、いかがでしょうか。あとまた、標準審査期間というのを定める必要があると考えますが、その場合どの程度が合理的だというふうにお考えになるか、見解をお願いいたします。

○参考人(原一郎君)
ありがとうございます。ただいまの件ですけれども、いろんなケースがあり得て、標準処理期間みたいなものを設けるのはなかなか難しいという政府のご答弁、これは理解できるところであります。ただ、企業の立場としては、まったくいたずらに長い期間かかったりしますと、これは当然、国際共同研究開発、いつ答えを出してくれるのかということに相手にも求められることになりますし、あるいは競争入札であればこれ期間が当然決まっておりますので、そういう意味ではなるべく早く速やかに処理をしていただきたいと、結論を出していただきたいと、そういう希望になるかと思います。

○石垣のりこ君
なるべく早くということですけど、もし目安として期間を提案していただくとしたら、何となくありますでしょうか。

○参考人(原一郎君)
ケース・バイ・ケースということですので私からこの期間というのはないと思いますけど、これは恐らく年単位ではなくて月単位になろうかというふうに思います。

○石垣のりこ君
ありがとうございます。その人の信頼に関わる重要な調査でございますので、中途半端な結果を出すわけにもいかないということも重々承知はしておるんですが、適性評価の結果がなかなか出ない社員はやはり不利益な取扱いを受ける可能性が高いのではないかと考えます。そこで、齋藤参考人に見解を伺いますが、この結果が出ないというような場合、どのような問題が生じ得るでしょうか。

○参考人(齋藤裕君)
ありがとうございます。結果が出ないということは、結果については、差別扱いというか、利用、目的外利用しちゃいけないわけですけど、結果が出ないということで、じゃ、不利益扱いしていけないのかどうかというのが法案でははっきりしていないんだろうと思うんですよね。ですから、そういう意味ではそこらへんは、余りにも長くて企業として現実的にはなかなかその従業員をちゃんと配置できないみたいな話になっちゃうと、ああ、やっぱりこの人はちょっと怪しげなところがあるんじゃないかみたいに見られて、合法的に不利益扱いされてしまうとか、そういうことは十分あり得るんだろうと思っています。そこは法律の穴だなというふうに思っています。

○石垣のりこ君
ありがとうございます。今、法案でははっきりしないであるとか、先ほど原参考人にもありましたけど、引き続き下位法令等を注視していくということで、国会のこれまでの審議の中でも、やはり運用に、この後決めていく中で分かっている、分かるとか、いろいろなことが決められるということで、私自身もこの法案の審議の冒頭でそのことに関して問題を指摘したところでございます。井原参考人に伺います。井原参考人のお話の中にもございました。適性評価の運用に関して想定される具体例を挙げて今お話を伺ってきたわけなんですが、この法案では、重要経済安保情報の指定、解除、適性評価の実施、適合事業者の認定に関して、第7章の雑則では、統一的な運用を図るための基準を定めるものとすると規定されています。また、第20条には、この法律の実施のための手続、法律の施行に関して必要な事項は政令で定めるとございます。このように、細目的事項を具体的に示さずに実施命令の根拠規定を法律に設けようとする、いわゆる包括的委任規定でございます。これ、例えば第21条の基本的人権又は報道の自由などの権利侵害があってはならないという規定があったとしても、それが実際に担保されるかどうか、これ唯一の立法機関である国会の場で、まさに本当に今でございますが、この議論を深める妨げになっているのではないかと私自身も強く懸念をしているところなんですが、その点に関して井原参考人に改めて伺いたいと思います。

○参考人(井原君)
ありがとうございます。まったく、私、同感です。現実には、立法の府でどういうことをするのかというのを具体的に決めないと、これは対応のしようがない。つまり、意見求められても、示されていないのに言えというのに等しいわけですね。例えば、適性評価で仮に合格したとして、多分それは政府と関係者との秘密保護協定みたいなものを結ぶことになるわけで、秘密保全協定みたいな契約を結ぶときのその契約内容はどうなっているのかということで、そもそもそこで縛りがかけられてしまえば動きが取れなくなる。つまり、適合者としても、将来自分はどういうふうに位置付いていくのかというのが見通せないような状況も出てくるだろうと。私の場合は、特に今回の議論の中で、ほとんど研究者あるいは大学人、そういうレベルでの議論がほとんどなされていなくて、深刻な内容が僕は一つ一つ存在しているように思うんですね。だから、本当はその辺のことを深めていっていただきたい。特に、参議院のような議論の場ではそこを深めていただくのがお仕事ではないかというふうに考えております。以上です。

○石垣のりこ君
ありがとうございます。こうした国会の議論を空洞化させるような包括的委任規定、非常に今法案としては多く出てきます。これは、与野党問わず、行政府に対して厳に慎むべきであると私はこれ申し上げなくてはならないと考えております。お三方からいただきましたご意見参考に、今後の議論も深めてまいりたいと思います。ありがとうございました。