参議院 東日本大震災復興特別委員会

5月17日 参議院 東日本大震災復興特別委員会で質問
2024年5月17日 参議院 東日本大震災復興特別委員会で質問に立ちました。ぜひ録画をご視聴ください。 
★Youtube録画 https://www.youtube.com/live/_aTrKr4Ny1g?feature=shared&t=4468
★ツイキャスアーカイブ https://twitcasting.tv/norikorock2019/movie/793752626

令和6年5月17日金曜日
参議院東日本大震災復興特別委員会
(未定稿)

○石垣のりこ君
立憲民主・社民の石垣のりこです。さて、元日発生しました能登半島地震からおよそ4か月半でございます。復旧に携わっておられる方々のご尽力、本当に有り難いと思いますし、重々そのご苦労を承知しているつもりでございますが、やはり発災後からほとんど変化のない状況を目にするにつけまして、東日本大震災を経験した者としても非常に悔しいというのか複雑な思いに駆られております。似ている災害はあっても同じ災害はないということで、災害のたびに新たな知見を踏まえながら、東日本大震災からの復興を多角的に捉えていきたいと思っております。そこで、能登半島地震を受けまして、やはりこの複合災害、原子力災害ももちろんなんですが、この複合災害の避難のあり方が今問われているのではないでしょうか。現在、この放射性物質拡散予測がどのように行われているのかについて、まずは伺います。

○政府参考人(児嶋洋平君)
今のご指摘の拡散予測は、SPEEDIのことだと承知しております。SPEEDIにつきましては、原子力施設から放出される放射性物質の予測情報を基に、その放射性物質の放出が予測される気象状況でどのように拡散するかを計算し、被曝線量の予測値を算定しております。

○石垣のりこ君
今、SPEEDIというのは使っているということでよろしいんですか。

○政府参考人(児嶋洋平君)
お答えします。原子力規制委員会では、いわゆる避難等の防護措置の判断にSPEEDIのような予測的手法は活用しないこととしております。

○石垣のりこ君
では、現在のこの避難措置というのはどのように行われているんでしょうか。

○政府参考人(児嶋洋平君)
現在、避難等は、原子力災害対策指針の考え方に基づいて避難又は屋内退避等の判断をしております。具体的には、原子力災害対策指針におきましては、緊急事態において、原子力施設の状況に基づき緊急事態区分を判断するための基準として、緊急時活動レベル、すなわちEALと申しますが、このようなものを設定しております。そのEALに基づいて全面緊急事態に至ったと判断された場合には、まず原子力施設からおおむね半径500キロを目安とするPAZという圏内におきましては即座に避難を実施し、また、原子力施設からおおむね半径30キロメートルを目安とするUPZという圏内におきましては予防的に屋内退避を実施することとしています。加えまして、その上で原子力施設から放射性物質が放出されるに至った場合には、UPZ内におきまして、モニタリングポストの測定結果を防護措置の実施を判断する基準であるOIL(Operational Intervention Level)に照らしまして、OIL1、すなわち1時間当たりに500マイクロシーベルトを超えると特定される区域では避難、また、OIL2、すなわち1時間当たり20マイクロシーベルトを超えると特定される区域では一時移転、これらを実施することとしており、これらの実施いかんの判断を原子力規制委員会が行っております。

○石垣のりこ君
つまり、現在、放射性物質拡散予測というのは結局はモニタリングポストとの実測値を基に行われているというご回答だったと思います。これ、モニタリングポストは、もちろんその数値をきちんと測るということは重要なんですけれども、先ほどお話しいただきました緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム、いわゆるSPEEDIですね、これを使用しないと決定した理由を教えてください。

○政府参考人(児嶋洋平君)
SPEEDIにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、原子力施設から放出される放射性物質の予測情報を基に、その放射性物質が予想される気象状況でどのように拡散するかを計算し、被曝線量の予測値を算定しております。さて、このSPEEDIで用いられる2つの予測、すなわち放出される放射性物質に関するものと気象状況に関するもの、こちらのうち、気象、原子力施設から放出される放射性物質につきましては、その内容、タイミング、量、その他を事前に予測するには、原子力施設がいつ、どの程度損傷するかを予測できなければならず、これは非常に困難でございます。そのため、このような予測困難な情報をあえて仮定して計算し結論を出す拡散予測を避難行動に活用することは問題があると考え、活用していないところでございます。

○石垣のりこ君
今お答えいただいたんですけれども、原子力規制庁は、規制委員会がSPEEDIについて、2014年に緊急時の使用をやめたと、そして2016年に防護措置の判断に使用しないということを決めたということで、今理由はご説明いただいたんですけれども、あくまで8年前だったり10年前だったり、その時点でのご判断が今にも継続されていると思います。昨年9月に日本学術会議が、より強靱な原子力災害対策に向けたアカデミアからの提案―放射性物質拡散予測の積極的な利活用を推進すべき時期に来たと考えますという見解をまとめております。その中に書かれているということは、結局はその10年、10数年の間に非常にこのSPEEDIの性能も上がってきたと。で、モニタリングポストのこの数値を基にした判断だけでは非常に心もとないし、足りないところがある、それだけではできないことがあると。もちろんSPEEDI自体もそれで全てだということではないけれども、あくまでこの準備情報として今後その一つに加えてはいいのではないだろうかという提言が書かれております。具体的にどんな問題が指摘されているのかといいますと、この日本学術会議の見解によりますと、まず、モニタリング値で高い空間線量率が確認されたとしても、情報が提供された時点では既に高い濃度の放射性物質の領域が通過した後である場合には、通過する間の吸引による内部被曝を防ぐことはできない。また、上空の放射性プルームの動きを事前に捉えることが困難なため、降水とともに放射性物質が落下し、飲料水や家畜の飼料等を汚染することを事前に知ることも難しい。第二に、既存のモニタリングポストは数が限られるために、現実には汚染された高濃度地域を見逃す危険性がある。したがって、安定ヨウ素剤服用のタイミングや範囲を適切に決定することが困難である。第三に、緊急時における機器の故障や通信の切断などでモニタリングデータが得られないことが十分に想定される。特に、原子力施設の事故が地震や水風害などの自然災害によるときは、その危険性が高いと。まあほかにも続きますけれども、このような主に3点の指摘がなされております。能登半島地震で、実際にこのモニタリングポスト18か所、これは実際は壊れていたというか通信が不能で、後々からはデータを見ることはできたけれども、その場での情報収集ができなかったということが判明しておりますし、まさにこの日本学術会議が指摘したようなことが実際に起きております。今回はたまたま壊れなかっただけで、モニタリングポストの故障ということも、もしくは破損ということも今後考えられるということで、もう2014年、2016年の判断から相当経過しておりますし、その予測の精度も相当上がってきているという専門家からの指摘を受けて、改めて今見直す時期に来ているのではないかと考えますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(児嶋洋平君)
お答えいたします。まず、能登半島地震の方からお答えいたしますと、能登半島地震におきましては、発電所から15キロ圏内のモニタリングポストは全て継続的に稼働し続けておりました。一時的に測定ができなくなっていた箇所につきましても、可搬型モニタリングポストの設置を進め、必要となればドローンを含めた航空機モニタリングを行うことができるよう準備を整えておりました。こうして、こうしたことから、能登半島地震におきましては、モニタリングポストの一部を測定、測定結果を確認できない事態が生じてはおりましたが、必要な空間線量率の測定を行うなど必要な判断をできたこと、ああ、行うことは可能であったと考えております。その上で、日本学術会議の提言の問題につきましてお答えいたします。まず、3点問題が指摘されておりました。1つ目の問題としましては、先ほど先生からお話がありましたが、モニタリングの情報が提供された時点では既に放射性物質のプルームが通過するなどして内部被曝を防ぐことができないという旨の指摘でございます。まず、この点に関しまして、UPZにおきましては、EALに基づき全面緊急事態に至った場合には、予防的防護措置として、放射性物質が放出される前、すなわちプルームが通過する前に既に屋内退避を指示することとしております。また、もう1点ございました、プルームから沈着した放射性物質による、あっ、プルームから沈着した放射性物質が飲料水や家畜飼料等を汚染する、それに基づく内部被曝でございますが、これにつきましては、モニタリングポストの計測値から特定された地域の飲食物中の放射性核種濃度の測定を速やかに実施し、基準を超える、OIL6を超えるものにつきまして飲食摂取制限を速やかに指示することとしております。また、もう1つ、2つ目の問題としまして、モニタリングポストの数が限られるために、安定ヨウ素剤服用のタイミングや範囲を適切に決定することが困難となる旨の指摘が学術会議からございました。安定ヨウ素剤の服用につきましては、PAZ内では、全面緊急事態に至った場合に、原子力規制委員会が、そのような状況、原子力施設の状況その他を含みまして安定ヨウ素剤の服用が間に合うように必要性を判断し、指示されることになっております。また、UPZにおきましても、原子力規制委員会が、モニタリングの結果に加えまして、原子力施設の状況を逐一勘案し、避難や一時移転といった防護措置と併せて安定ヨウ素剤の服用性の必要性を的確に判断することとしているものでございます。また、問題点の3点目、ご指摘もございましたので、お答えいたします。3つ目の問題としまして、機械の故障などでモニタリングデータが得られないことが十分に想定される旨の指摘が学術会議からもございました。能登半島地震におきましては、先ほど申し上げたとおり、必要な体制は取れていたと考えております。また、今後、規制委員会としましては、新たな通信技術の開発、導入といった通信の信頼性向上や市販ドローンに搭載可能な小型測定器の開発、導入などの多様化を進め、モニタリングが途切れないような体制の一層の充実にも努めてまいります。これらを踏まえまして、最初のご質問にお答えいたしますが、SPEEDIを含む予測的手法、これを避難の判断に活用しないのは、もう一回申し上げます、再度申し上げますが、原子力施設からの放射性物質の放出の予測情報に基づいて行われるものであり、これが非常に困難という問題がございます。学術会議のご指摘の中には、この問題への明快な解決策は触れられておりませんでした。したがいまして、原子力規制委員会としては、予測的手法を避難の判断に使わないという判断に、考え方を見直すことは考えておりません。

○石垣のりこ君
福一の事故の教訓は、このように日本学術会議の提言にもあるんですけれども、万全の安全対策をしていると思っていても、事故は人の、人知の及ばぬ事態によって起きてしまうことであると、そのような事故に対する国民のリスクを軽減するためには、拡散数値モデルによる予測情報を含むあらゆる準備可能な情報を活用して防護措置を講ずる必要があるというふうに書いてあるんです。一本足打法でやっていくことではなくて、それもSPEEDIが全てではなく、これも一つの選択肢として、これも1つの情報の1つとしてお使いになったらいかがですかという提案です。今指摘されていなかった、明確に回答がなかったという部分も含めて、じゃ、それをどうするのかということを話し合った上で、さらに、どういうふうに性能をアップしていけばいいのか、どういう活用が適切なのかということをまずは議論の俎上にのせることが大事なのではないんですか。もう一度お答えいただきたいと思います。

○政府参考人(児嶋洋平君)
SPEEDIのような拡散計算、こういった予測的手法は、予測困難な情報をあえて仮定して計算して結論を導くものでございます。このような拡散予測はリアルタイムの精度には不確定な要素が多い、これは間違いないと考えております。したがって、現実の、恐らくは、多数の住民の避難行動に活用すると、かえって避難行動を混乱させるおそれが少なからずあり、むしろ問題があると考えております。このため、原子力規制委員会では、モニタリングポスト等の結果を基に、OILに照らして避難等の防護措置を具体的に判断することとしております。

○石垣のりこ君
モニタリングデータのみに依存する防護策は、たとえ1時間先であっても予測情報を提供しない、さらに、仮に日本政府から公式に放射性物質の予測、拡散予測情報が発表されなかったとしても、海外で実施された複数の予測情報をインターネット経由で多くの国民が目にする状況が想定される。実際に東日本大震災でも、精度は粗いものでしたが、このような状況が起きております。海外では、複数の情報を総合して判断する、これがスタンダードなわけでございます。その上で、じゃ、伺います。予測して避難に活用という点では気象庁の線状降水帯予測というのがございます。岸田総理は、昨年の臨時国会の所信表明演説で、線状降水帯の予測の高度化など、デジタルの力を国土強靱化に導入しますと取り上げるくらいお力を入れていらっしゃると。線状降水帯の予測に関してまず気象庁に伺いますけれども、どの程度の確率で予測ができているのか、また予測に基づいて線状降水帯の発生の危険性を呼びかける意義があり、避難行動にも寄与していると考えるか、考えますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(室井ちあし君)
お答え申し上げます。気象庁では、令和4年度より、線状降水帯による大雨の可能性が高いことが予想された場合、半日程度前からの呼びかけを行っております。この呼びかけについて、令和5年の実績でございますけれども、線状降水帯の呼びかけをして実際に発生した事例、いわゆる適中でございますけれども、22回中9回、約41%でございました。線状降水帯が一たび発生すると、大規模な災害の危険性が急速に高まることから、国民に対して線状降水帯の発生に関する呼びかけを行うことで災害に対する事前の備えや速やかな災害対応に資すると考えております。また、お尋ねの避難行動への寄与についてでございますけれども、気象庁が実施をいたしました地方公共団体へのアンケートによりますと、線状降水帯の発生をお知らせする情報の発表が地方公共団体における防災体制の強化の判断や避難情報の発令の判断に活用されておりまして、当該発表が地方公共団体における情報発信を通じて国民の具体的な避難行動に寄与しているものと考えております。なお、気象庁では、これまで東北地方といった地方単位で行ってきたこの半日程度前からの呼びかけにつきまして、今月28日からは府県単位での情報提供を開始をいたします。引き続き、線状降水帯の情報の改善に取り組んでまいります。

○石垣のりこ君
ありがとうございます。雨と放射性物質では物が違うというのはもちろん分かるんですけれどもね、予測の活用として一方は否定されて一方は肯定されると、さらに精度を上げての予測もしようとしていると。これ、片方は使えて片方は使えない、これ何が違うんでしょうか。

○政府参考人(児嶋洋平君)
お答えいたします。まず、原子力災害では、今先生からもございましたが、放射性物質又は放射線の放出という特殊な事情が生じます。これは、原子力災害の対策の実施に当たって特殊性があるということでございます。例えば、原子力災害が発生した場合に、被曝や汚染で復旧復興作業が極めて困難となる。そのためには、災害そのものの発生拡大の防止が極めて重要である、つまり予防措置が非常に大切ということでございます。また、放射線被曝の影響はすぐに分かりません。五感で感じることができません。にもかかわらず、被曝から長時間経過した後に現れる可能性があり、住民等に対して事故発生時から継続的に健康管理等を実施する必要もございます。このようなもろもろのことを考えますと、情報も連絡も、住民等の屋内退避、避難、その後の被災者の生活に対する支援、このような原子力災害対策というものをもろもろトータルで考えて国としては実施する必要がございます。そのような中で、もちろん線状降水帯の予測というのは極めて重要ですし、活用されていることも理解はしておりますが、一概に同じ形で予測を、放射線という特質が、特殊性のある原子力災害に関しまして予測情報を活用するということはなかなか難しいものがあると考えております。

○石垣のりこ君
いや、だからこそ逆に、いろんなその重大な問題が発生するからこそ、より精度を上げるために一つの情報として使ってくださいということを何度も申し上げているわけで、そのSPEEDIの予測を全てそのまま出してくださいというふうに申し上げているわけではないわけですよ。だから、いろんな情報が、いろんなデータがあった方がそれを専門的にちゃんと分析してより的確な情報、適切な情報を出すということにお使いになったらいいんじゃないですかということを再三申し上げているわけですが、ご納得いただけないので次に行きたいと思うんですけれども。予測と関連してなんですけれども、原子力災害対策指針では、原発で重大な事故が起きた際に、半径5キロ圏内の住民の方は即時避難ですよね。で、5キロから30キロ圏内の住民の方は自宅などで屋内退避と。で、放射線量が一定の値を超えた場合には避難するというふうにされております。また、事故の際に高齢者らが一次避難する21の放射線防護施設、これは能登半島の場合ですけれども、この地震では6施設に損傷、異常が起きていると。うち2つの施設は使えずに閉鎖してしまった。病院など別の2つの施設は患者らを移していると。21の施設のうち21も断水も起きています。そもそも原子炉などの原子力発電所の重要な設備というのは耐震設計上最も高いSクラスというふうになっておりますけれども、そこが壊れて事故が起きるぐらいですから、周辺の建物の多くというのは本当に重大な事故が原子炉で発生したときには倒壊していることも十二分に想定される、むしろその方が当然ではないかというか、当たり前にそういうことが起きているのではないかと考えられるわけなんです。全国の原子力発電所周辺にあるおよそ300の放射性防護施設の耐震性というのはどのくらいなんでしょうか。

○政府参考人(松下整君)
お答えいたします。放射線防護施設の耐震性についてでございますけれども、放射線防護施設につきましては、国からの補助によって整備を行っているところでありますが、その補助をする際の要件といたしまして、その施設の耐震性として、昭和56年6月1日以降に建築基準法に定める基準に適合して建築されていること、又は耐震診断により当該基準と同等以上の耐震性能が認められていることを定めております。したがいまして、国が補助を行って整備しております全国の放射線防護施設、現在約300とご紹介がございましたけれども、その施設については、建築基準法に定める現行の耐震基準と同等以上の耐震性能が備えられているものでございます。

○石垣のりこ君
だから、震度5強クラスまでに耐えられるということで、完全な状態で壊れないということを想定されていないというのがこの放射線防護施設の耐震基準であると。実際に、資料②ご覧いただければ、実際には使用、活用不可というような施設がたくさんあるわけで、更に大きな被害というのも想定され得るわけです。資料②ご覧いただいてもまさしくそのとおりで、やはり、この能登半島地震で、屋内退避を前提にUPZ内の避難を考えるということが、これかなり問題として挙げられているのではないかということを私はちょっと申し上げたいと思うんですけれども、屋内退避、まあ必ずしもこれができないということではないと思いますけど、屋内退避ができない事態も想定した避難計画ということに基本計画を見直すべきではないかと思いますけれども、この点いかがでしょうか。

○政府参考人(松下整君)
申し上げます。今屋内退避ができない場合ということでお尋ねがございましたけれども、屋内退避は自宅等で屋内退避をするというのが原則なわけでありますけれども、家屋の倒壊等によりまして自宅での屋内退避が困難な場合には、近隣の避難所等、屋内退避が可能な施設に移動して屋内退避をしていただくということとしております。また、それも無理で、近隣にそういった屋内退避可能な建物がないというようなケースであれば、30キロ圏外に避難をいただくというようなことで、現在の計画はそのようになっておるというところでございます。

○石垣のりこ君
今のお話を伺うと、避難するときに結局は被曝することも否定できないという避難計画の前提があるということでよろしいですか。

○政府参考人(松下整君)
原子力災害に備えました避難計画につきましては、これ原子力災害対策指針の考え方、すなわち、住民等の被曝線量を合理的に達成できる限り低くすると同時に、被曝を直接の要因としない健康等への影響も抑えることが必要という考え方に基づいて避難計画を作っておりますし、万一の際にはその考えを取った対応を取るということとしておるところでございます。

○石垣のりこ君
何か分かるようで分からないようなご回答だったんですけれども、伊藤大臣にもお越しいただいております。宮城、地元の女川原発もあるということで、実際に私回っておりまして、いや、やはり能登半島地震を受けて、屋内退避と言われても屋内が壊れちゃったらどうしよう、そして道も寸断されたらどうしようというようなお声というのが各地から複数お寄せいただきました。伊藤大臣、やっぱりこの点しっかりと、やっぱりこの屋内退避前提のところから、本当に何かあったときにどういうふうにしたらいいのかということをしっかりともう一回見直しが必要なのだと思うんですけれども、その点いかがでしょうか。

○国務大臣(伊藤太郎君)
少し重なったご答弁になりますけれども、自然災害と原子力災害の複合災害が発生した場合には、この原子力災害対策指針及び防災基本計画に基づいて県や市町村が策定する地域防災計画、避難計画に基づいた対応が行われます。そして、少し重なった答弁で恐縮ですけれども、まずは、その自然災害からの安全を確保した上で、原発からおおむね5キロ圏内の住民は避難し、原発からおおむね5キロから30キロ圏内の住民は屋内退避をしていただくことになります。そして、道路寸断が生じて予定していた避難経路が使用できない場合には、使用可能な道路を確保し、代替経路とします。それが難しい場合には、海路、また空路での避難を行うこととしており、これらの避難に当たっては、必要に応じて、警察や消防、自衛隊の実動組織が支援を行うこととしております。また、家屋倒壊等によって屋内避難が困難な場合には、近隣の避難所等にて屋内退避をしていただくこととしており、さらに、それも困難な場合には、近隣の避難所での屋内退避が困難な状況であれば、30キロ圏外の広域にあらかじめ定めている避難先に速やかに避難していただくこととしております。今回の能登半島地震等を通じて得られた知見、気づきを生かしながら、自治体の声をしっかりお聞きして、原子力災害対応の更なる実効性の向上に取り組んでまいりたいと思います。

○委員長(野田国義君)
時間も来ておるようなので、よろしく。
○石垣のりこ君
被曝が避けられない避難計画ということを本当にどう考えるかということだと思いますけれども、やはり、原子力政策というのは根本的にやっぱり今後見直していかなければならないというふうに思いますし、原発がなければこういうことというのは別に想定されるわけではありませんので、その点もしっかりと心に留めていただきまして、しっかりと声を、3分で止めることもなく、マイクをオフにすることもなく、しっかりと受け止めていただいて、今後もご対応いただきたいと思います。土屋大臣にもちょっとお話伺おうと思いましたけど、時間が来ましたので、申し訳ございません。以上で終わります。