参議院 本会議

5月17日 参議院 本会議で登壇
2024年5月17日 参議院 本会議 で登壇しました。ぜひ録画をご視聴ください。 
★Youtube録画 https://www.youtube.com/live/QNOQLlcSbA0?feature=shared&t=257
★ツイキャスアーカイブ https://twitcasting.tv/norikorock2019/movie/793745267
★立憲民主党ニュース記事 https://cdp-japan.jp/news/20240517_7764

令和6年5月17日金曜日 参議院本会議(未定稿より転載)

○石垣のりこ君
立憲民主・社民の 石垣のりこです。会派を代表して、子ども・子育て支援法等改正案について質問いたします。子ども、子育てに関わる法律案の審議に先立ち、まず、国権の最高機関たる国会を構成する一議員としての、また、子どもの手本となるべき大人としての姿勢を問いたいと思います。自民党の派閥の裏金事件を受け、参議院の政治倫理審査会では全会一致で裏金議員32人に対する審査の実施が議決されています。しかし、これまで弁明したのは僅か3人です。残る29人への再度の意思確認に対し、全員が欠席の意向を示していることが明らかになりました。岸田総理は、多くの裏金議員が審査会への出席を拒んでいることについてどのようにお考えでしょうか。議員としての説明責任は果たされていると思われますか。ご見解をお願いいたします。さらに、政治改革の要となる政治資金規正法の改正について伺います。与党内での事前協議が調わず、自民党単独で改正案が提出されるとの報道があります。このことはまさに自民党案が政治と金をめぐる問題を根絶するための抜本的改革につながらないことの証左ではないでしょうか。総理として、自民党総裁として、政治と金について国民の中にある政治不信を払拭し、再発防止につながる実効性のある改革を強く指示すべきではないですか。総理にご見解を伺います。なお、国会の専権事項たる憲法改正について党総裁の立場で踏み込んだ答弁をされている岸田総理におかれましては、本件に関して、国会のことは国会でお決めになることといったご都合主義の答弁は通用しないと申し添えておきます。1989年、平成の始まりの1.57ショックから35年です。本法案は、昨年提出されたこども未来戦略の加速化プランを実施するための法改正と位置付けられ、異次元の少子化対策の中心を担うものです。岸田総理は、昨年の年頭、若年人口が急激に減少する2030年代に入るまでが少子化トレンドを反転できるラストチャンスだ、持てる力を総動員してスピード感をもって取り組むと述べられました。次元が違う、持てる力を総動員してと大言壮語を吐いたにもかかわらず、蓋を開けてみれば、表向き予算規模こそ倍増していますが、内容はこれまでの子育て政策の焼き増し、あるいはわが党が何年も前から要望してきた政策の詰め合わせにすぎず、肩透かしを食らったというのが正直なところです。岸田総理が総理に就任された2021年10月8日の所信表明演説では、いまだに内容がよく分からない新しい資本主義を実現する柱の一つとして、少子化対策に言及しておられます。しかし、この段階では次元が異なるには至っておりません。総理は、いつから次元の異なる少子化対策の必要性を認識されたのでしょうか。また、2030年代に入るまでが少子化トレンドを反転できるラストチャンスとされていますが、これから2030年代に入るまでの5年間のうちに何がどのような状態になることが少子化トレンドが反転した状態と判断するのか、総理、具体的にお答えください。こども未来戦略では、若い世代の所得を増やす、社会全体の構造、意識を変える、全ての子ども、子育て世帯を切れ目なく支援するという3つの基本理念を挙げています。これは、裏を返せば、1994年のエンゼルプランに始まり、今日まで幾多の少子化対策を行ってきたにもかかわらず、解決できていない課題と言い換えることができます。すなわち、若い世代の所得が増えず、社会全体の構造や意識は旧態依然としており、所得制限、縦割り行政や地域格差などによって支援の対象が限定されたり、支援が途切れ途切れで当事者にとって使いづらいものであったということです。まずは、若い世代の所得を増やすことができなかった理由について伺います。総務省労働力調査詳細集計によれば、雇用に占める非正規の割合は、1995年から2005年にかけて、正規労働者は404万人の減少、非正規労働者は633万人増加しています。この時期は、1993年から2005年にかけてのいわゆる就職氷河期と重なります。なぜこの時期に非正規雇用が一気に増加したのか、度重なる労働派遣法改正との関連も踏まえて、岸田総理、お答えください。また、総務省の2019年労働力調査では、非正規雇用の75%が年収200万円以下、200万円から300万円未満が15%です。非正規雇用で働かざるを得ない人々にとって結婚や子どもを持つことは、経済的にも、ひいては心理的にもハードルが高くなることは容易に想像できます。雇用に占める非正規の割合は今や4割です。非正規雇用の大幅な拡大は、政府が日本経済再生への戦略とののろしを上げ、経済界とタッグを組んで雇用の流動化を進めてきたことにあり、若い世代の所得が増えなかったどころか減少した主たる理由であり、少子化の理由の主な要因であると考えますが、総理の見解を伺います。2点目として、社会全体の構造、意識を変えることについて伺います。こども未来戦略では、子育てしづらい社会環境や子育てと両立しにくい職場環境があり、今も根強い固定的な性別役割分担意識から脱却することが少子化対策の課題として示されています。固定的な性別役割分担意識が今も根強い理由をどのように分析していますか。また、意識を変えるために何が重要であると考えますか。さらに、ご自分が固定的な性的役割分担意識が強いと感じておられますか。イエスであれば、どのような場面でそう感じるか、岸田総理、加藤大臣、お答えください。結婚して姓を変える人は女性が圧倒的に多く、2022年時点で全体のおよそ95%を占めます。結婚したら妻は夫の姓になるものという意識も固定的な性別役割分担の一つと捉えられると考えますが、岸田総理の見解を伺います。また、社会全体の意識改革や働き方改革を正面に据えた総合的対策として、早々に選択的夫婦別姓制度を導入すべきではありませんか。総理の答弁を求めます。こども未来戦略の基本理念の3点目、全ての子ども、子育て世帯への切れ目ない支援の一つとして、今回、児童手当の支給期間を中学生までから高校生年代までとし、支給要件から所得制限を撤廃したことは評価できます。もっとも、立憲民主党は、親の収入によって支援の対象から外されるということはこどもまんなかに反すると、これまでも再三申し上げてきた次第です。岸田総理、御党自民党は、所得制限なしの児童手当にかたくなに反対されていたのではありませんか。かつての民主党政権下、所得制限なしの子ども手当をばらまきだと批判し、政権復帰後に所得制限がある児童手当を復活させたにもかかわらず、今回、所得制限を撤廃した理由をお聞かせください。共働き、共育ての推進ということで、両親共に育児休業を取得した場合の給付の創設は、所得の減少を理由に育児休業取得をためらう状況を改善するためにも必要であると考えます。一方で、育児休業の取得に関し、代替要員の確保が困難であると回答した事業者が7割を超えるという東京都の調査結果もあります。そもそも圧倒的な人手不足の中、後顧の憂いなく育児休業を取得するようにするための施策について岸田総理に伺います。多くの職場では慢性的な人手不足にあえぎながら、生産性向上の掛け声の下、一層の努力が求められています。努力が報われるだけの賃上げが実現すればまだしも、実質賃金は24か月連続でマイナス、比較可能な1991年以降で過去最長を更新しました。今や結婚や出産は高所得者の特権とまで言われる時代になり、子育て中の親が職場などで配慮を受けていることを特別扱いのように捉え、やゆする意味で「子持ち様」という言葉まで生まれています。また、内閣府が2021年に公表した少子化社会に関する国際意識調査によりますと、子どもを産み育てやすい国だと思うかとの質問に、「そう思わない」と回答した割合は、欧州各国では2%から17%だったのに対し、日本では何と6割にも達しています。岸田総理と加藤大臣は、このような「子持ち様」言説をどのように捉え、どのような対応が必要と考えますか。続いて、子ども・子育て支援金について伺います。これまでの議論でも、公的医療保険の仕組みを使って支援金を徴収するのは目的外使用であるとして、その制度設計の問題が指摘されています。しかしながら、岸田総理は、子ども・子育て支援金制度を、社会全体の連帯の理念の下に、全世代、全経済主体で支える仕組みと捉え、保険料と合わせて徴収することの正当性を主張しています。この考え方を採用するならば、公的医療保険制度の存立基盤である全世代、全経済主体を守る、存続させるという大義をもって、例えば、安全保障に係る財源を公的医療保険制度を使って徴収することも可能になってしまうのではありませんか。本来の公的医療保険制度をゆがめる禁じ手であると考えますが、総理、明確にお答えください。また、財源確保に当たっては、徹底した歳出改革を掲げています。徹底した歳出改革とは何でしょうか。具体的にお示しください。また、徹底した歳出改革は新たな負担増を生じさせないと言い切れますか。歳出改革と同時に賃上げも示されていますが、賃上げすれば、上げ幅に比例して社会保険料の負担は増えるのではありませんか。徹底した歳出改革による負担減と賃上げによる収入の上乗せ、それによる社会保険料の負担増、さらに、子ども・子育て支援金の負担増をトータルで見たときに、現状よりも負担は増えることも想定されるのではないでしょうか。総理の答弁を求めます。負担が増えるのは、子ども・子育て支援金だけではありません。出産育児一時金は、昨年4月に42万円から50万円に引き上げられました。75歳以上が加入する後期高齢者医療制度から費用の一部を回す仕組みが今年度から導入されており、一時金の7%を後期高齢者医療制度で負担、今年度と来年度は激変緩和措置で負担額は半額となる措置がとられています。この出産育児一時金の引上げ分について、今年度と来年度において後期高齢者の負担額は月幾ら増えているのでしょうか。また、激変緩和措置が終了する2026年度以降は幾らになるのか、武見厚労大臣、具体的にお示しください。保育所における4、5歳児の配置基準が76年ぶりに見直されました。遅きに失したことは否めませんが、改善されたことは一歩前進です。配置基準の増員は必要であるものの、一方で、保育士の確保はこれまで以上に園の死活問題です。その弱みに付け入るように、悪徳な職業紹介事業者が保育士を紹介し、保育所は高額の紹介手数料や成約料を支払って採用してもすぐに退職されてしまうなどの事例が問題になっています。厚労省は職業紹介事業者の認定制度を設けるなどして対応に当たっていますが、根本的な解決策にはなっていません。保育の質を保ち、安定的な人材を確保するためには、ハローワークなどの公的機関が人材を紹介し、保育士の採用に際して保育所に過度な負担をかけるべきではないと考えますが、岸田総理のご所見を伺います。教育費はもちろん、経済的負担が大きい項目として、ランドセルや教材費、制服などの隠れ教育費負担が挙げられます。総理、こうした負担を軽減する施策についても検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。また、岸田総理は、こども未来戦略会議において、学校給食費の無償化に向けて全国の実態を調べた上で具体的方策を検討するとの方針を掲げましたが、検討状況の進捗はどうなっていますか。給食費無償化こそ真っ先に実現すべき子ども・子育て政策であると考えますが、いかがでしょうか。妊娠、出産という極めて私的な事柄は、同時に、国家や社会の成立基盤そのものに関わる公的な課題と交錯しています。政治ができること、すべきことは、結婚も出産も希望する人が希望するときにかなえられるような社会を実現することです。あくまで選択は個人に委ねられています。こども未来戦略における、若い世代の所得を増やす、社会全体の構造、意識を変える、全ての子ども、子育て世代を切れ目なく支援するという3つのポイントに通底するのは、基本的人権を守るという一点にほかなりません。選択的夫婦別姓も同性婚もいつまでたっても認められない、外国人の人権も守れない、大勢の子どもや女性が虐殺されているガザでのジェノサイドに明確な抗議の声を上げることもできない、こうした人権軽視の旧態依然とした政治に私たちは終止符を打ち、閉塞感にさいなまれた社会に風穴を空けるべく全力を尽くすことをお誓い申し上げて、私の質問を終わります。(拍手)

〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(岸田文雄君)
石垣のりこ議員のご質問にお答えいたします。
まず、政治倫理審査会への出席と説明責任についてお尋ねがありました。個々の議員においては、説明責任を果たす観点から、これまでも様々な機会を捉えて説明が行われてきたと承知しておりますが、これは引き続き、それぞれの議員が、自らの置かれた状況をよく省みて、最も適切な方法を判断し、そして国民の疑問に可能な限り丁寧な説明を続けることは重要であると考えております。その上で、政倫審への出席については、国会のルールとして議員の意思が尊重されるものであると承知をしております。政治資金規正法の改正についてお尋ねがありました。自民党においては、政治と金の問題に対する抜本的解決策として、私の指示の下、政治家の責任の強化、外部監査の強化、オンライン化による透明性の向上、政策活動費の透明性向上、政治団体間の資金のやり取りの適正化、政治資金パーティー券の購入者の公開基準の引下げ、また政治資金パーティー券の販売における銀行振り込みの徹底など、幅広い点において改正を提示したところです。こうした方向性については与党間でも合意ができており、制度面で実効性のある再発防止策を提示したものであると考えております。今後、各党と真摯に協議を行い、政治の信頼回復に取り組んでまいります。少子化対策の必要性の認識等についてお尋ねがありました。令和3年の所信表明演説においても少子化対策を進める旨明確に述べており、その上で、令和4年の出生数が80万人を割り込んだことも踏まえて、昨年1月の年頭会見において、こども家庭庁の発足を待つことなく、次元の異なる少子化対策を進める、この旨述べました。また、政府としては、個人の幸福追求を支援することで、結果として少子化のトレンドを反転させることを目標としています。これは、若い世代の結婚、妊娠、出産、子育ての希望と現実の差を埋めていくことにより、希望がかなえられてその差が小さくなり、結果として出生率が向上し、少子化の流れに歯止めを掛けようということであります。少子化と非正規雇用との関係においてお尋ねがありました。ご指摘の1990年代後半から2000年代前半にかけての非正規雇用の増加については、バブル崩壊以降の雇用環境が厳しい時期に非正規雇用で就業する若年層が増加したこと等がその背景にあると考えています。また、近年の非正規雇用労働者数の増加は、高齢者や女性の多様な就労増加が、就労参加が進む中で増加してきた面もあると考えております。そして、労働者派遣制度についてお尋ねがありましたが、労働者派遣制度については、これまで労働者保護を図りながら多様な働き方を選択できるよう必要な制度整備を行ってきたところであり、役員を除く雇用者に占める派遣労働者の割合は、2030年平均で2.7%であることからも、わが国全体の非正規雇用割合の増加の主な原因を派遣労働に求めることは必ずしも適当ではないと考えております。一方、若い世代の雇用や所得などの経済的基盤の問題は少子化の要因の一つであると認識をしており、最重要課題である賃上げを持続的、構造的なものとするための三位一体の労働市場改革に取り組むとともに、同一労働同一賃金の徹底、また希望する非正規雇用労働者の正社員転換に向けた支援、これらの政策を進めてまいります。固定的な性別役割分担意識と選択的夫婦別氏制度についてお尋ねがありました。固定的な性別役割分担意識として指摘されるものには様々なものがあると承知しておりますが、一般論として申し上げれば、こうし右た意識の形成には、教育、親、家族、社会、メディア等から受ける影響など多様な要素が絡んでおり、また、往々にして幼少の頃から長年にわたり形成されることが多いと認識をしております。このため、固定的な役割分担意識の解消に向けては、意識啓発などの取組に加え、そもそも幼少期から性別に基づく固定観念を生じさせないことも重要です。私自身としても、常々、固定的な性別役割分担意識を持たないよう心掛けているところであります。政府としても、意識啓発など粘り強く取り組んでまいります。また、選択的夫婦別氏制度の導入については、様々な意見を真摯に受け止めながら、国会において議論を進めていただき、その中で具体的な制度のあり方を含め、建設的な議論をしていただくことが重要であると認識をしております。児童手当の所得制限についてお尋ねがありました。現在の所得制限は、平成23年の民主党、自民党、公明党の三党合意に基づき、限られた財源の中で支援を重点化するなどの観点から設けられたものと承知をしております。三党合意から10年以上が経過し、この間、様々な少子化対策を実施してきましたが、少子化傾向には歯止めがかかっておりません。危機的状況にある少子化傾向を反転させるため、こども未来戦略において、全ての子ども、子育て世帯をライフステージに応じて切れ目なく支援することを基本理念とした上で、児童手当について、次代を担う全ての子どもの育ちを支える基本的な経済支援として位置付けることを明確化し、所得制限を撤廃するなどの抜本的拡充を行うことといたしました。そして、人手不足の中で育児休業を取得できるようにするための施策についてお尋ねがありました。ご指摘のとおり、周囲に気兼ねなく育児休業を取得できるようにするためには、育児休業中の業務を代替する体制整備への支援が重要となります。このため、育児休業中の業務を職場内でカバーすることができるよう、令和6年1月から両立支援等助成金に新たなコースを新設し、育児休業中の労働者の業務を代替する周囲の労働者に対して中小企業事業主が手当を支給する場合などの助成措置、これを大幅に強化をいたしました。そして、これと併せて、人手不足に対しては、省力化投資の支援、年収の壁・支援強化パッケージなど、必要な政策を講じてまいります。こうした取組を進めることによって、育児休業を取得しやすい職場づくりに向け、企業や周囲の労働者の支援に取り組んでまいります。そして、子ども、子育てを取り巻く環境についてお尋ねがありました。わが国の社会全体の意識、雰囲気が子どもを産み育てることをためらわせる状況にあり、子育てしづらい社会環境や子育てと両立しにくい職場環境を改善していく必要があります。このため、加速化プランにより、3.6兆円規模という前例のない規模で政策を強化することと併せて、制度や施策を充実するだけではなく、それが社会や職場で活用されるよう、社会全体で子ども、子育て世帯を応援する機運を高めていく取組が重要であると考えており、この社会の構造、意識の改革を車の両輪として進めてまいります。子ども・子育て支援金制度や徹底した歳出改革等についてお尋ねがありました。社会保険料は、各社会保険制度の目的を超えて、何にでも充てられるというものではありません。支援金については、急速な少子化、人口減少に歯止めを掛けることが医療保険制度の持続可能性を高め、その存立基盤として重要な受益となることから、社会保険料と整理をし、医療保険と合わせて拠出いただくこととしたものですが、こうした関連性がない安全保障等の財源に社会保険料を充てられるものではないと考えております。また、徹底した歳出改革の具体的な内容については、昨年末閣議決定した改革工程において、窓口負担の見直し、医療提供体制の効率化、介護分野におけるICTの活用など、幅広いメニューが列挙されておりますが、これらは一義的には社会保障の持続可能性を高める観点から記載されたものであり、これらのメニューの中から実際に取組を検討、実施するに当たっては、必要な保障が欠けることがないよう、見直しによって生じる影響を考慮しながら丁寧に検討を進めてまいります。これまでは、歳出改革としては主に公費節減の効果に着目をし、保険料負担の軽減効果には具体的なメルクマールを設定しておりませんでしたが、今回は、社会保障負担率という具体的なメルクマールを設け、歳出改革によって社会保障負担率の軽減効果を生じさせ、その範囲内で支援金制度を構築することを基本とすることとし、支援金の導入によっても社会保障負担率は上がらないことを国民に新たな負担を求めないことのあかしとしてお約束したいと考えております。その上で、賃上げによって雇用者報酬の伸びが高まれば、社会保障負担率の一層の軽減につながり、支援金の導入のために社会保障負担率が上昇しないことを確実にすることから、政府として賃上げに総力を挙げて取り組んでいくこととしている次第であります。そして、安定的な保育人材の確保についてお尋ねがありました。保育人材の確保に当たっては、ハローワークや各都道府県等に設置されている保育士・保育所支援センターといった公的機関の役割、非常に重要であると考えています。ハローワークにおいては、全国の主要なハローワークに医療、介護、保険分野等の専門コーナーを設け、求人充足に向けた助言や指導、また職場見学会等を通じた求職者の確保、こうした取組を進めております。また、保育士・保育所支援センターにおいては、令和6年度予算において、保育所等への見学同行など、伴走支援の拡充を行ったところです。引き続き、こうした公的機関の強みを生かして保育人材確保の取組を進めてまいります。教育費の負担軽減についてお尋ねがありました。今回の加速化プランにおいては、児童手当の抜本的拡充や高等教育の負担軽減、児童扶養手当の拡充など、長年指摘されながら実現することができなかった子育て世帯への経済的支援の強化に取り組むこととしています。その上で、ランドセルを含む学用品費や教材費、制服代、学校教育費等については、家庭の経済状況が厳しい児童生徒への支援として、生活保護による教育扶助や就学援助を通じて実施しており、引き続き保護者の教育費負担を軽減してまいります。また、学校給食費の無償化については、現在、全国ベースの実態調査を実施し、取りまとめ中であり、その結果の公表を6月までに行った上で、制度面等も含め課題を整理し、結論を出してまいります。残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)

〔国務大臣加藤鮎子君登壇、拍手〕
○国務大臣(加藤鮎子君)
石垣のりこ議員のご質問にお答えいたします。
固定的な性別役割分担意識についてお尋ねがありました。固定的な性別役割分担意識が今も根強い理由については、教育から受ける影響、親、家族から受ける影響、社会やメディア等から受ける影響など、様々な要素が絡んでいると考えられ、一概に理由を明らかにすることは困難であると考えておりま
す。固定的な性別役割分担意識は、往々にして幼少の頃から長年にわたり形成されがちであることから、幼少期から性別に基づく固定観念を生じさせないことが重要です。そのため、政府としては、固定観念や無意識の思い込み、アンコンシャスバイアスを生じさせない取組に関する情報収集を行うとともに、啓発手法等を検討し、情報発信を行ってきたところです。私としては、常々、固定的な性別役割分担意識を持たないよう心掛けています。引き続き、固定的な性別役割分担意識の解消に向けて、粘り強く取り組んでまいります。子ども、子育てを取り巻く環境についてお尋ねがありました。子育て中の方々からも、社会全体が子育て世帯に冷たい印象、子連れだと肩身が狭いなどの声が上がっており、わが国の社会全体の意識、雰囲気が、子どもを産み育てることをためらわせる状況にあると認識をしています。このため、こどもまんなか宣言の趣旨に賛同する企業、個人、地方自治体などにこどもまんなか応援サポーターとなっていただき、取り組んだ内容を自らSNSなどで発信していただくこどもまんなか応援プロジェクトや、子ども、子育てを応援する地域や企業の好事例の共有、横展開に取り組むなど、加速化プランによる政策強化と併せて、社会全体で子ども、子育て世帯を応援する機運を高めていく取組を進めてまいります。(拍手)

〔国務大臣武見敬三君登壇、拍手〕
○国務大臣(武見敬三君)
石垣のりこ議員のご質問にお答えいたします。 出産育児一時金への支援に伴う後期高齢者の負担額の増加についてお尋ねがありました。出産育児一時金に係る費用の一部を後期高齢者医療制度が支援する仕組みについては、後期高齢者の保険料負担の激変緩和の観点から、令和6、7年度には、令和6年、7年度は、対象となる費用の2分の1のみに支援を行うこととしており、令和6、7年度の後期高齢者一人当たりの新たな保険料負担額は、法改正時の機械的な試算において月額50円程度と推計しておりました。令和8年度以降の後期高齢者が負担する額については、被保険者数や出生数の変動により大きく影響を受けることから、現時点で具体的にお答えすることは困難であります。(拍手)