参議院 内閣委員会

5月29日 参議院 内閣委員会
2025年5月29日 参議院 内閣委員会の参考人質議で質問しました。ぜひ録画をご視聴ください。 
★Youtube録画 https://youtu.be/lxh0ZCCCMKI?si=9aqb1Y5KWx9q7tXe&t=2
★ツイキャスアーカイブ https://twitcasting.tv/norikorock2019/movie/817130147

令和7年5月29日 (木曜日)参議院内閣委員会【未定稿より転載】

○石垣のりこ君
立憲民主・社民・無所属会派の石垣のりこでございます。まずは、この委員会での新しい学術会議法案の審議に当たりまして、異議を申し上げなければなりません。どのような法律であっても、その法解釈の変更が生じた際に、その意思決定過程が明らかにされず、法解釈変更の妥当性、正当性が国会で審議できないなどということがあってはならないはずです。憲法の定める議会制民主主義の下、国会の政府への監督権を否定することにほかならず、今、これあってはならないことが起きています。それが、現行の日本学術会議法における総理大臣による会員の任命権に関する法解釈変更の問題です。これは、ここに集っている国会議員皆さんの存在意義にも大きく関わることだと私は考えます。まずは、公文書の基本的な考え方について、公文書管理を担当する内閣府に伺います。公文書等の管理に関する法律の目的、何でしょうか。

○政府参考人(矢作修己君)
公文書管理法におきましては、現在及び将来の国民への説明責任を果たすということが公文書管理法の目的となってございます。

○石垣のりこ君
簡単に今ご説明いただきましたけれども、目的と書かれておりまして、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の財産であるということ、国及び独立行政法人等の有するその諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにすることを目的とすると書かれております。このことを正当な理由なしに妨げてはならないということは皆さんもご承知ではないでしょうか。それでは、2020年、菅(すが)政権下で現行の学術会議法における総理大臣の会員任命権の法解釈変更に関して、日本学術会議事務局と内閣法制局とで行われた検討過程を示す文書、内閣法制局審査資料と申しますが、この黒塗り部分の開示について、この内閣委員会での理事会協議事項になったままでございます。これ、不開示としている理由について、改めてご説明ください。

○政府参考人(相川哲也君)
お答えいたします。お尋ねの文書ですが、日本学術会議事務局において作成をしたものでございます。ご指摘の部分の記載内容でございますが、内閣総理大臣による日本学術会議会員の任命に関する法解釈についての検討の過程で作成をされた文案でございまして、人事に関わる内容、具体的には、内閣総理大臣による会員の任命に関する法解釈につき整理、検討した行政庁間の協議過程における未成熟な記載でございまして、最終版には記載されなかったものでございます。当該部分ですが、情報公開法の不開示事由であります不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれなどに該当すると判断したことから、不開示としておるところでございます。以上です。

○石垣のりこ君
黒塗りのところには、不開示部分ですよね、これは任命拒否できる場合の判断基準、要件などが記載されていると、流れを追っていくと推測されるわけであります。これ、一般論として、法解釈として伺うんですが、行政機関の保有する情報の公開に関する法律、行政機関情報公開における第5条第5号の、今ご説明いただいた不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれというのはどのようなことを想定しているのか。これ、所管の総務省に伺います。

○政府参考人(佐藤紀明君)
お答えいたします。不当にでございますけれども、本号でいいます不当にとは、一般に、審議、検討など途中段階の情報を公にすることの公益性を考慮してもなお予想されるおそれへの支障が看過し得ない程度のものを意味しているものでございます。なお、予想される支障が不当なものかどうかの判断は、当該情報の性質に照らしまして、公にすることによる利益と不開示にすることによる利益とを比較考量した上で判断されるものでございます。具体的には、内閣府において判断されたものでございますので、その内容につきましては総務省としてはコメントを控えさせていただきます。

○石垣のりこ君
今回のこの2020年の話ではなくて、法律の立て付けとしてというか解釈として具体的にどのようなことが想定されているかということで、より、この、今、未成熟な情報が確定的情報と誤解されて国民の間に混乱を生じさせるというようなご説明が先ほどあったんですけれども、こういう事態について、これは具体的な想定というのはこの法律の中でされていますか。総務省、お願いします。(発言する者あり)

○委員長(和田政宗君)
挙手の上、お願いします。

○政府参考人(佐藤紀明君)
お答えいたします。あくまで一般論でございますが、例えば、特定の物資が将来不足することが見込まれることから政府として取引の規制が検討されているような段階で、その検討情報を公にすれば買占め、売惜しみなどが起こるおそれがあるといったような場合に国民の間に不当な混乱が生じる可能性があると考えられます。そういったものを、例えばということで、一般論として想定したものはございます。以上です。

○石垣のりこ君
今ご説明いただいた件は、内閣法制局における行政機関の保有する情報の公開に関する法律に基づく処分に係る審査基準、内閣法制局訓令第7号の5、審議、検討等情報についての条項の中にも書かれている内容かと思います。これ、任命拒否できる場合の判断基準や要件を公にすることが不当に国民の間に混乱を生じさせるという事態を引き起こすおそれがあるというのは、今ご紹介いただいたような、特定の物資が将来不足することが見込まれ、買占めとか売惜しみなどが起こるおそれがある場合という想定とどうしても結び付かないと私は思います。これ、一体どんな基準や要件なのか、むしろ隠されることの方がよっぽど国民の間に混乱を生じさせる事態になるのではないかと、逆に恐れを抱きます。この点に関して、大臣、いかがですか。

○委員長(和田政宗君)
まず、相川日本学術会議事務局長。

○政府参考人(相川哲也君)
ご説明申し上げます。本件は、まず、裁判で現在係争中の事案でございまして、その主張の詳細を申し上げるということはできかねるところではございます。ただ、ご説明申し上げますと、今回のこの不開示部分でございますが、会員の人事に関わる内容に関する記述でございますので、例えば、それが日本学術会議において内閣法制局の最終的な了解を得た考え方に係る確定的情報であると誤解をされましたら、不開示部分が令和2年10月の会員任命など個別の任命にも適用された考え方であるとの誤解につながり得るほか、今後の会員の任命についても、あたかも任命権者である内閣総理大臣の個別の判断が当該考え方に即して行われるかのような誤解を招き、不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれがあると考えております。

○石垣のりこ君
ちょっと、不当にというところについてちょっと詳しく伺いたいと思うんですけれども、この内閣法制局における行政機関の保有する情報の公開に関する法律に基づく処分に係る審査基準によりますと、この不当にというのは、審査、検討等途中の段階の情報を公にすることの公益性を考慮してもなお、適正な意思決定の確保等への支障が看過し得ない程度のものを意味するとあります。これ間違いないでしょうか。内閣法制局ですかね、これは。

○政府参考人(佐藤則夫君)
ただいまご質問いただきました基準でしょうか。申し訳ございません、昨日質問通告いただいておりませんでしたので、今、私、手元にございません。したがいまして、ちょっとお答えはできかねるということでございます。

○石垣のりこ君
文書に書いてあるので確認していただければ、そのとおりに書いてあります。これ、また、意思決定する前に公開されると、適正な意思決定への確保等への支障が看過し得ない程度だと困るというのは、意思決定過程の前だったらまあ百歩譲って分からなくはないわけです。じゃ、これ意思決定がされた後ならどうかということなんですね。これ、審査基準の(ウ)というところ、これちょっと皆さんにご提示できなくて恐縮なんですけれども、これ、意思決定が行われた後であっても、審議、検討等に関する情報が公になることによって、不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれがある場合、将来予定されている同種の審議、検討等に係る意思決定に不当な影響を与えるおそれがある場合は、今し方ご紹介をしましたこの不開示理由、行政情報公開法の不開示理由、第5条の5号に該当するというこの判断基準が示されているわけであります。ということは、これ今裁判の間なので具体的にお答えはされないということですけれども、2020年に既にもう決定されていて、過去の情報で、過去の、もう意思決定がされたことであるにもかかわらず、今黒塗りで開示することができないということは、今公開しても今後の同様の審議、検討等に係る意思決定に不当な影響を与えるおそれがあるというふうに判断されているということで、さっきちょっと重なるとご答弁あったと思うんですけど、この点は合致するでしょうか。

○政府参考人(相川哲也君)
お答え申し上げます。先ほど不開示部分についての具体的なおそれについてご説明申し上げましたが、現時点においても該当するというふうに考えております。

○石垣のりこ君
ということは、2020年のこの菅政権下で現行の学術会議法における総理大臣の会員任命権の法解釈変更に関して日本学術会議事務局と内閣法制局とで行われた検討過程を示す文書の黒塗り部分は今の要件に当てはまるということになるかと思います。これ、そういう解釈で問題ないですか。

○政府参考人(相川哲也君)
お答え申し上げます。これが内閣法制局の最終的な了解を得た考え方に係る確定的な情報であると誤解をされますれば、先ほど申し上げたような不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれがあるということでございます。

○石垣のりこ君
おっしゃっているのは、じゃ、この判断基準であろう黒塗りの部分は、今回出されている新しい学術会議の法律の中の、監事の指名であるとかそういう判断基準とは直接関係がないという認識でよろしいでしょうか。

○政府参考人(相川哲也君)
まず、今回の文書でございますが、先ほどから法解釈の変更に関わる文書というようなご説明もございましたけれども、事務局、日本学術会議事務局で承知しておりますのは、こちらの文書は当時、事務局において会長や会員の方々から問合せがあった場合に回答する目的で、従来からの推薦と任命の関係の法的整理を再度確認するために作成したというふうに承知をしております。

○石垣のりこ君
すみません、それ、法解釈、任命の、形式的任命では元々なかった、法解釈は行われていないという今のご答弁ですか。

○政府参考人(相川哲也君)
法解釈の変更を行うために内閣法制局と調整をし作成したものではなく、従来からの整理を再度確認するために作成をしているものということでございます。

○石垣のりこ君
じゃ、従来の解釈そのままだったら、何で隠すんですか。

○政府参考人(相川哲也君)
今回の不開示の部分については、それを作成する過程で最終的には入れられなかった、最終的には記載されなかった部分でございまして、それについて、それが開示されれば、国民の誤解を生んだ場合に不当に混乱を生じさせるおそれがあるということで不開示とさせていただいているということです。

○石垣のりこ君
だんだん迷路に入っていくわけですよね。不開示になっていること自体が、そしてまた、あれですよ、学術会議におけるこの任命に関してですよ、開示すると国民に混乱を生じさせるおそれって一体何なんだということですよね。かつ、しかも、これからの判断に影響を及ぼすだけではなくて、今後の判断にも誤解をされて影響を及ぼす可能性があると言っているわけですから、それが本当に誤解だろうが、なかろうが、今回の法律に関してやっぱり関係してくる判断基準だというふうに言えるんじゃないですか。

○政府参考人(相川哲也君)
お答え申し上げます。繰り返しになりますが、今回のこの作成文書は、現在の現行法の日本学術会議の内閣総理大臣の会員の任命に関する解釈を確認するために作成をしたものであって、法解釈の変更のために行ったものではないと。かつ、今回不開示の部分というのは、その作成過程で、内閣府と行政庁間で協議を行う過程において変更、修正が加えられて、最終的には記載されなかった部分でございますので、その内容について確定的でないものについて、それが開示された場合に不開示事由に該当する混乱が生じるおそれがあるかどうかというのを判断したと、こういうことでございます。

○石垣のりこ君
検討過程も大事なんですよ。というか、むしろ検討過程が大事なんですよ。だって、ここで今やっていることは法案の審議の検討過程ですよね。この過程はいいから、最終的に、じゃ、採決を行いますって手挙げたところだけ出せばいいんですか。何のためにこの議会はやっているんですか。法案の審議やっているんですか。おかしいですよね。何かご意見あれば。

○政府参考人(相川哲也君)
検討過程と申し上げました。今回のこの文書でございますが、法解釈の変更を意図したものではないということは先ほどから申し上げております。従来からの解釈を確認するために行われたものでありまして、そのために担当者の試案に相当する部分が当初から、のものから入っておるわけでございます。(発言する者あり)試しの案ですね。したがって、これは、必ずしもその協議の段階で行政庁としてこれを意思決定をした文書のやり取りをしているとは認識をしておりません。したがって、これが検討過程の情報として開示をされた場合に不当に国民の間に混乱を生じるおそれがあるという判断をしておるということでございます。

○石垣のりこ君
だって、法解釈は変更していないのに、何で試案入ってくるんですか。だって、何の法解釈も変更していないんでしょう。その試しの案って何で入ってくるんですか。

○政府参考人(相川哲也君)
現在の法解釈を整理する上で、協議を行う場合に、まずは担当者間でたたき台というものを作るということはあろうかと思います。そういう意味で、試案を重ねて最終的な結論に至るということは一般的には起こり得ることかなというふうに思います。

○石垣のりこ君
いや、法解釈変更していないんだったら何にも隠す必要ないですよ、今までやっていたことなんだから、何の関係も。逆に、隠されることあるということは、何か変更が生じていたり、それなりに、もしかしたら、じゃ、むしろ今までの解釈自体に問題があった可能性だってあるわけじゃないですか。隠されること自体が、やはり、この法案の今の解釈の整理であったというそのご意見であったとしても、ご主張であったとしてもですよ、隠されること自体は、やはり、この行政に対する国会のこのチェック機能、監督機能ということに関して、やはりこれ侵害することですよね。きちんとこれ開示すべきなんじゃないでしょうか。もし、これを開示することによって、おっしゃるとおりに国民の間に混乱が生じるということなのであれば、この委員会で、秘密会にしてこの中で確認できるようにしたらいいと思いますけれども、いかがですか。これは大臣に伺います。

○国務大臣(坂井学君)
すみません、申し訳ありません。もう一度ご質問いただいてよろしいでしょうか。申し訳ありません。

○石垣のりこ君
今、この理事会協議事項になったまま塩漬けになっている黒塗り部分の開示をしてくださいということを私たちは申し上げております。でも、開示できないという理由をおっしゃっています。なぜならば、それを開示することによって不当な、国民の間に不安が生じるということを理由として挙げていらっしゃいます。じゃ、国民の皆さんに広く、過去にもう意思決定がされたものであっても、それを出すことによって混乱が生じるというのであれば、本当にその法の整理なのか、私たちは法解釈の変更だと思いますけれども、妥当なものであるのか、正当なものであるのか、国会の場において、この唯一の国権の最高機関たる国会の場において行政監視をする上で、知らないことには、そこの黒塗りが分からないことには判断ができないということをずっと申し上げているんです。広く伝えることが駄目だったら、この中で本当に妥当性があるのかどうかきちんと明らかにすべきだと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(坂井学君)
今の立場は、事務局長の方から縷々ご説明があったところでございます。そしてまた、まさしくその部分に関して今裁判が行われているということも認識をしております。私が申し上げたいのは、今ここでご審議をいただいている学術会議の法人化の法案というのは、国が設置する法人として必要な規定を整備するものでありまして、今の国の機関である学術会議について規定する現行法の解釈等とは関係がないということを承知しているということでございます。

○石垣のりこ君
関係がないとおっしゃるのはそちらの理屈であって、どう考えたって、今これを出すことによって混乱が生じるから、もう既に意思決定されたものだって出せないって言っているわけですから、関係してくるんですよ、いやが応でも。だからこそ、このクローズされている場で、公にするのが難しいのであれば、きちんと私は、ここの内閣委員会の場で、秘密会でも結構ですので、ちゃんと提示すべきだということをこれは理事会協議としてお諮りいただきたいと思います。

○委員長(和田政宗君)
ただいまの件については、後刻理事会で協議いたします。

○石垣のりこ君
これ、行政機関情報開示法の第5条5号に、第5号に関して逐条解説を見ると、この不開示規定該当性について行政機関の長に広範な裁量が認められているわけではないというふうにも書かれております。これ、第5条第6号の柱書き、支障をきたすおそれということもこの開示をしないことの理由に過去の答弁でも挙げていらっしゃいますけれども、これ、あくまでもこの支障をきたすおそれについても、抽象的な可能性では足りず、法的保護に値する程度の蓋然性というのが要求されると書いてあるわけですね。これ、法的保護に値する程度の蓋然性が要求される任命拒否の判断基準って一体何なんですかと。公開しない方が重大な問題が生じるということを改めて申し上げたいと思います。5月16日に東京地裁が、首相の任命権を考えるに当たって有用な文書で公益性は極めて大きいという判断をしている。現在の法解釈の正当性を考えるには検討過程の情報も重要で、それが公開されても混乱が生じるおそれもないと。これは今後争うということでありますけれども、これ地裁で、この司法の場での、地裁ですけど、まだ最終結論じゃないですよ、でもこういう判決も出て、開示命令が出されているわけです。そもそも、黒塗り部分の開示なしには新しい学術会議法の審議などあり得ないということを申し上げたいと思います。その上で、この法案の作成過程についても疑義を申し上げたいんですね。学術会議の真の独立性、自律性を担保するために、学術会議法の当事者である日本学術会議の意向を丁寧に聞いて十分に尊重すべきであるということは言うまでもございません。5月9日の衆議院内閣委員会で笹川政府参考人は、学術会議の懸念、意見も受け止めて、そういった必要な配慮、修正を行った結果が今回の新しい学術会議法案であるとしています。大臣、そのとおり、間違いないですか。

○国務大臣(坂井学君)
はい。

○石垣のりこ君
端的にお答えいただいたのは有り難いですが、何か若干心もとないですよね。では、本日お越しいただいております日本学術会議の光石会長に伺います。政府は今のように、学術会議の懸念、意見も受け止めて、そういった必要な配慮、修正を行った結果、今回の法案が出されたという認識のようですけれども、新しい学術会議法について日本学術会議は機関決定として修正を求めておられますが、イエスかノーかでお答えいただければと思います。

○参考人(光石衛君)
修正を求める決議を総会に提出しております。

○石垣のりこ君
総会で修正を求める決議をされているという答弁いただきました。ここ食い違っていますよね。これ、十分ではない、懸念が払拭されていないので修正を求めるということで学術会議からの声明が出ておりますけれども、大臣、これ、この食い違いをどう受け止めていらっしゃるでしょうか。なぜこのような食い違いが生じたとお考えになりますか。

○国務大臣(坂井学君)
既にそのコミュニケーションの中で様々変えられるものだったり変更を反映させられるものも反映をさせてきたということでございまして、会員の選考方法、評価、監事の仕組みなどに学術会議の皆さんのご意見を反映をさせてきたということでございまして、だからこそ法人化や法案の提出自身には学術会議も反対ではないというところまでご理解いただいているということだろうと思います。その先に、つまり法人化することによって、法人化までは反対はされていないということでありますから、法人化を前提に議論を考えたときに、法人化をすれば当然国の今までの組織とは違ったところが出てまいります。その組織、法人が適切な運営をしているかということをチェックする役割も必要になってまいりますし、法人そのものを運営をしていくということも、経営、運営をしていくという面も出てくるわけでございます。また、当然のことながら、計画をしっかり立てて、それによってこの通常の財政的なプロセスの中で毎年の予算を取っていくということも、中期的な、中期的なというか、計画なども作る中でそれはやっていかなければならない。つまり、今までとは違った様々な要素であったり作業であったりということが生まれてくる。しかし、その生まれてくる中において、私どもは、法律を作成をするときにできる限り負担にならないように、そしてまた政治的な様々な力が掛からないようにということを配慮しながら、通常の独法と比べても決して強い力ではない、もしくはそれを限定を、いろいろな形で監事の役割なども限定をしながら、しかしそれは、法人化をするためには、今までと違うわけですから、それは必要だということで作ってきたわけで、ご説明させていただいているわけでありますが、私どもはまだそこのご説明が十分ではないのではないかということで、この法案の審議も通してしっかりご説明をさせていただきたいということを申し上げているところでございます。

○石垣のりこ君
いや、結論として十分ではない、懸念が払拭されていないので修正を求めるという結論が出ているんですよ。さっきから審議過程よりも結論が大事だ大事だと言っているのに、結論がこう出ているんだから真摯に受け止められたらいいんじゃないでしょうかね。有識者懇談会、組織・制度、会員選考等ワーキング・グループの構成員名簿を見ると、一番下に米印書いて、日本学術会議会長に毎回参加を要請することとすると一番下に米印で補足的に書かれているんです。政府に伺いますね。日本学術会議の会長はどのような立場で参加をしていたのか、発言したいタイミングで自由に発言することはできたんでしょうか。

○政府参考人(笹川武君)
光石会長をはじめ役員の方々おいでいただきました。そもそも、おっしゃっている有識者懇談会は、学術会議に求められる機能、ふさわしい組織のあり方について検討するということで、そのメンバーには、アカデミアに属する方、経済界の方はじめ、学術に関する広い経験、高い識見をお持ちの方々にバランスよく入っていただいた、当時の後藤大臣から委嘱しました。その上で、学術会議の会長ですけれども、学術会議の会長は当事者ということでもございます。そして、ワーキング、もっと言うと、懇談会は、座長自らのご意向ですけれども、学術会議と政府の意向を、両方意見をよく聞いて広い視点で判断したいということでございました。そういったこともあり、懇談会の正式な構成員ということにはお願いしなかったということでございますけれども、基本的に発言の時間は、厳密に計ったわけでございませんけれども、特に制限するということをしたつもりはございません。実際、何回目か忘れましたけど、3回目か4回目ぐらいの懇談会の中では、学術会議と政府のやり取りが多くて自分たちが話せないというようなクレームというかご意見もございましたので、そこは学術会議にも可能な限り十分お話しいただいているつもりでございます。以上です。

○石垣のりこ君
自由に話し合われている内容において、私から発言をしたいということで手を挙げて発言をすることができたのかどうかだけイエスかノーでお答えいただけますか。

○政府参考人(笹川武君)
基本的には発言していただいております。ただ、たくさんの方が手を挙げたりされていますので、そのタイミングということではございませんが、少なくとも、まだお話ししたいというときに打ち切るというようなことはしておりませんので、我々としては発言したいときに発言していただいているというふうに認識しております。

○石垣のりこ君
では、光石会長に伺いますが、今の政府のご説明で内容は合っていますでしょうか。

○参考人(光石衛君)
お答えいたします。合っていないということではありませんが、例の任命拒否問題があった状況の下で、さらに陪席者という状況の下であったということには変わりはありません。ただ、自由に発言はできたという状況であります。

○石垣のりこ君
広く話を聞くということですけれども、あくまでも陪席者であった。そういう意味では、当事者で、一番お話を丁寧に聞き、丁寧に物事を、コミュニケーションを取らなければならないにもかかわらず、あくまでもサブ、オブザーバー的な立場で参加をなさっていたということで、結果的にどうなったかというと、先ほどもお話にありましたけれども、十分ではない、懸念が払拭されていないので修正を求めるという結論に達することになる一つのこの形だったのではないでしょうか。これ、会議の持ち方からもそれが推測できます。政府から離れて法人化、それも特殊法人化することで、あたかも独立性が自動的に担保されるかのような発言を先ほどから繰り返されているんですけれども、組織として行政機関から離れても、それが学術会議において担保されるべき独立性を保障するわけではないと私は思います。この特殊法人というのは今年4月1日現在で35法人ありますけれども、これらは特殊法人であることで自明の理として独立性が担保されているのか、ちょっと考えていただきたいんですよね。総務省の特殊法人の説明を読んでみますと、政府が必要な事業を行おうとする際、その業務の性質が企業的経営になじむものであり、これを通常の行政機関に担当させても、各種の制度上の制約から能率的な経営を期待できないとき等においてと、特殊法人にするということが書かれております。そもそも、学術は企業的経営になじむものなんでしょうか。そして、能率的な経営が求められるものなんでしょうか。私はむしろ真逆だと思いますけれども、大臣、いかがですか。

○国務大臣(坂井学君)
衆議院でもそのご質問をいただきましたけれども、それはあくまでも一つの例として書かれたものでございまして、それが全てというものではありません。学術会議のあり方に関しては、様々、公益法人も検討したということでございますが、この特別にこの学術会議の特別性に配慮して、言わば法律が作れる、組織が考えられるということでこの特殊法人という形を選んだということを聞いております。

○石垣のりこ君
とはいえ、やっぱり特殊法人のこのあり方として、やはり自主自律の方ばかりが求められていて、この自主自律に関しても、法律を検索すると、地方自治法のその地方分権におけるところにしかこの自主自律というか、自主性及び自律性ということが法案の中で出てくるの、そこのところなんですね。あえてこの独立性というところを落として、この独立行政法人、あっ、独立じゃない、特殊法人にすることで政府の行政機関から切り離すことによってこの独立性が自動的に担保されるというのは、私は余りにも安易なのではないかと思います。これ、現行法の第3条に独立して、独立してとあることで、行政機関である日本学術会議が政府、各省、各府省庁の制肘を受けないために置かれた規定であるということでここにわざわざ書かれているというご説明なんですが、政府のご説明なんですが、これ、現在も本来はこの制肘を受けない状態であらねばならないはずですし、あるというふうに考えるんですけれども、この強引な、理由も開示できない、私たちからすると法解釈の変更で総理大臣の任命権を形式的なものから任命拒否ができるようにすること以外は、これ、独立性に関しては逆に現行、問題があるというふうにお考えになるんですか。

○国務大臣(坂井学君)
その独立の話に関しましては、今の学術会議が政府の中にあるということから、同じような様々なほかの役所と横並びということではないということを明確にするために独立性、独立してという、職務を行うという規定が置かれているというふうに認識をしておりまして、もちろん、今後法人化しても、いろんな国の役所だったりとか国の機関から制肘を受けることはあってはならない話でありますが、しかし、それはもう独立をしたということでありますから、見た目ほかと横並びではないということが明らかでありますので、その独立してという記述はなくとも独立しているということだと認識をしております。

○石垣のりこ君
いや、書いたっていいと思うんですよ。何の問題もないわけですから、ちゃんと明確にしておくにこしたことはないわけで、その自明であるかどうかというのは、それこそ組織のあり方とか政府の関与の仕方によって変わってくるわけですよね。だからこそ、あえて独立性ということをきちんと明示すべきだと思いますけれども、この点、改めてご答弁をお願いいたします。

○政府参考人(笹川武君)
お答え申し上げます。大臣から申し上げていますとおり、独立性というのは、通常ほかの役所との関係とか上司との関係において必ずしもその意思が100%通らない、あるいは通らない可能性があるというような場合にそうならないように置いておくという規定でございます。現在、学術会議について、学術会議法に置かれているのも内閣府の枠組みの一つの行政機関でございますから、内閣府の内部あるいは各省庁との調整の結果、調整の過程で自由な意思表出ができないかもしれないといったこともあってこういうような独立して職務を行うという規定を置いたというふうに承知しております。したがって、大臣が申し上げていますのは、独立、違う、特殊法人となって国の外に出たときにそういう関係ではなくなりますので、その独立性を保障するような規定というのは必要がない、必要がないと法律的には置けないと、そういうことを申し上げたんだと思っております。

○石垣のりこ君
光石会長に伺いますけれども、これまでの学術会議の中で、そのような学術会議が政府各府省の制肘を受けるような状況というのは、今回のその解釈、任命権に関する法解釈の、私たちから言うと変更以外の部分でそういうことはあったんですか。

○参考人(光石衛君)
これまで特にはございませんでした。特に法人化したからといって独立性が高まるわけではなくて、そこにおける組織を、懸念で示していますように、いかに組み立てるかによって独立性が、自主性が高くなるかどうかということは変わってくるかと思います。

○石垣のりこ君
そういう意味では、ナショナルアカデミーとしての学術的会議の理想的なその5要件すら満たされていないということで、やはり法案の修正が求められております。冒頭で申し上げましたように、やはり今回の本法案の審議自体あり得ないということを再度申し上げたいと思います。法制局審議資料の黒塗りを即時取り払って、まずは開示していただきたいということ、公にすることによって国民に混乱が生じるのであれば、この委員会のみでも結構ですので、それをやっていただきたいということは先ほど理事会協議事項として申し上げました。国会議員に対しては、その国政調査権、行政監視の観点からも黒塗りを外した全面開示の文書を提出することを求めて、私の質問を終わります。