消費者問題に対する特別委員会で質疑
消費者問題に対する特別委員会で質疑に立ちました。録画をぜひご視聴ください。
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★ツイキャスアーカイブ https://twitcasting.tv/norikorock2019/movie/753435544
令和四年十二月九日(金曜日)
参議院消費者問題特別委員会(未定稿)
○石垣のりこ君
立憲民主・社民の石垣のりこでございます。どうぞよろしくお願いいたします。消費者特では初めて質問をさせていただきます。
まず最初に、私からは、政府・与党に対しまして率直に感謝を申し上げたいと思います。と申しますのも、今回の政府法案なんですが、法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律案、この法案に関しまして、政府と与党自民党さんは、あれ、これ本当に自民党さんなのかなというようなですな、譲歩に譲歩を重ねてくださったということがございます。
今国会の冒頭で、政府は、岸田総理の所信表明にもありましたように、統一教会をはじめとする悪質な法人が引き起こす陰惨な被害に対しまして、消費者契約法の改正だけで対応されて、対応されようとなさっていました。しかし、その後、統一教会の引き起こす極めて凄惨な被害に関する社会的な認知も広まりまして、やはりこの深刻な被害の防止と救済のための法律が必要であると、そのような認識に皆さんがなっていったと。世の機運が高まるにつれて、与党自民党さんも、われわれ野党各党が目指す「悪質献金被害救済法案」に徐々に関心を示してくださるようになったというふうに認識しております。
で、11月の上旬になりまして、わが立憲民主党と日本維新の会が救済新法に関して、マインドコントロール下の寄附の取消し、あと家族など第三者による本人の取消し権の行使、あとは寄附の上限目安の設定ですとか刑事罰の導入などを求める提言書を提出したわけなんですが、その際に、自民党の茂木幹事長は、本来的には、野党には国会審議を通じて議論をし、賛否を決めてもらいたいとしつつも、今回は早急に成立させるべき法案で、事前に野党に示せる内容は示していくと、このような異例の発言をなさったわけです。その後、さまざまなレベルで本件に関する与野党の協議が持たれましたけれども、本当に時間もかけて回数も重ねられたと思います。政府・与党サイドは本当に譲歩に譲歩を重ねていただいたというふうに認識しております。
もちろん、今審議の対象になっていますいわゆる「救済法案」、今回の新法ですね、もう消費者契約法改正案も、われわれ野党が当初から企図していた内容とは程遠く、不十分であると言わざるを得ないわけなんですが、またさらに、この内容、いわゆる宗教2世の方々の深刻な被害を救済することができないという点も本当に今後の課題残していると思います。さらには、寄附行為以外での財産の収奪の被害を防止することもなかなか難しいという、まだまだ限られたこれからの法案だと。そういう意味では、「救済法」という通称を使うこと自体似つかわしくないということも事実であるかと思います。
しかし、政府・与党がここまで大幅にかつ迅速にわれわれ野党側の要求に譲歩されたということは、長年にわたって統一教会とずぶずぶの関係を築き上げていらっしゃった議員を多数抱えておられる自民党さんの状況を考えたときに、よくぞここまで運んできてくださったと感嘆せざるを得ません。与党内に統一教会とがんじがらめの関係にある議員を多数抱える中で、政府においてこの法案の取りまとめに尽力された河野大臣、そして党内において調整にあたられた茂木幹事長の手腕、そして胆力、素直な称賛と感謝の意を述べたいと思います。
その上で、今の段階ではまだまだ不十分な救済法案の内容を更に拡充して、根本的な統一教会による被害の救済の実を上げていくことが必要です。次の総選挙では、ぜひともわが党が議席を伸ばして、自民党さんから政権を奪取することが必要不可欠であるとの決意を申し述べて、具体的な内容に入りたいと思います。
さて、今申し述べましたように、国会の冒頭、政府は旧統一教会問題の対応は既存の法律の改正で可能という判断でした。これが途中からなんでしょうか、新法が必要だと判断を変えられたのはどのような理由からでしょうか。河野大臣、お答えいただけますか。
○国務大臣(河野太郎君)
消費者庁は当初から新法が必要と考えておりました。
○石垣のりこ君
それ、私ども野党が法律を作って10月17日に提出をいたしましたけれども、その1か月、2か月ほど前から準備を進めてきたわけなんですが、ぜひとも法律を作らなければいけないと、既存の法体系の中では、改正の範囲内では対応できない、ぜひとも新法を検討してくれということに対して、実際国会答弁で、岸田総理も所信表明の中で、もう消費者契約法そのほか改正案の中で対応されるというふうにここでご答弁されていらっしゃるわけですね。なので、最初から考えていたというのは、その心の中に思っていたのかもしれませんが、それを昔から考えていましたというふうに言われても、じゃあ、その証拠はどこにあるんだということになるかと思います。
それはいいとして、既存の法律で対応可能という、具体的に、本当に、10月3日始まった今国会の冒頭から当初はなかったというふうに私は認識しております。立憲はじめ野党から法案を提示したことが議論のたたき台として新法成立の具体的な動きを後押ししていったということも大きいのではないかと自負はしておりますけれども、さらには、やはり被害者の方々が勇気を持って声を上げて、さまざまな立場の支援者各位が最大限の後押しをして、メディアで報道されることで多くの方が知ることになって、統一教会の悪行をこれ以上野放しにしてはならないと、被害者を救わなくてはならないという、その世論となって、救済法案への機運を醸成していったということは言をまちません。
さて、新法案の寄附の勧誘行為に係る規制対象について、河野大臣が12月6日の衆議院本会議でこのように述べていらっしゃいます。寄附の勧誘をしている者が個人であっても法人等の行為と評価される場合には新法の規制対象になりますと、このようにお答えになっているわけですね。その上で、具体的には法人等の代表者、役員又は使用人等が行った勧誘行為は法人等が行ったものと認められることになります、また、宗教団体と委任や雇用関係がない信者が、宗教団体と該当信者間の明示または黙示の契約の有無など使用人と同等で、あっ、同程度の法人との関係性がある場合には、法人等の行為と、行為をって書いていますが、行為を評価することができ、新法の規制の対象になると考えていますと、このように具体的に答弁されていらっしゃいます。
ここで伺いますが、使用人と同程度の法人との関係性というのは、これ具体的にはどのような関係性が想定されるのか、宗教法人の中で特段の役職にないような一信者は使用人と同程度と認め得るのか、お答えいただけますか。
○政府参考人(植田広信君)
同程度と認め得ると考えております。
○石垣のりこ君
一信者は同程度と認めるということですけれども、これは、じゃあ、もう誰しもその信仰を持っているということであれば、役職問わずこれはもうその法人との関係が認められるということでよろしいですか。
○政府参考人(植田広信君)
おっしゃったことの繰り返しになるかもしれないですけれども、寄附の勧誘している者が個人であっても信者であっても法人等の行為と評価される場合には対象になるということでございます。そこは、具体の事例でそう判断できない場合もあるかもしれないですけれども、そう判断できる場合には対象になるということでございます。
○石垣のりこ君
いや、何かその使用人と同程度ということの内容がイメージしづらいわけですよね。一個人、どうしてこういう質問をするかといいますと、統一教会の被害の場合は該当の、当該の個人がいるであろうことはもちろん推測できるんですけれども、基本的に個人の責任にして、組織としての責任を追及されないようにいわゆる責任を押し付けてしまうということが生じているわけです。
一信者が勝手にやっているとか、もしくはその支部の単位でやっているとか、あとは関係の法人だったり団体がやっているということで、そうやって責任を転嫁するのが悪質な手口としてありますので、法人との関係性をどこまで認定し得るのかというのが被害救済を図る上で非常に重要なポイントだと思いますので、これは、ちょっともう改めてもう1回ちょっと答弁求めたいと思いますけれども、特に役職とかもなくごくごく普通の一般の信者でも、その信仰を持って寄附の行為をしていれば、それはもう信者として、あっ、信者、組織としての関係は認められるということでいいんですか。
○政府参考人(植田広信君)
そこは現実にどうなっているかということでして、今おっしゃったように、実はやらせているのにやらせてませんって言っているのは嘘ですので、そこは調べていけばきっちりと事実が認定できるはずだということです。
一方、本当に何の関係もない場合には関係ございませんので、そこは関係ないという当たり前の話かと思います。
○石垣のりこ君
いや、あなたがやったんでしょうっていって、ある意味、法人側としては、あなたの責任ですよね、私たちは言っていませんみたいなことで、その役割を与えられた一個人の信者さんは、自分が責任を負うことが今ここでの私のこの教団の中の役割なんだと思って、責任をあえて自ら引き受けようとされたりすることもあるわけですね。
そういう場合に、本人が例えば否定して、いや、私の個人のことですと言った場合には、それはこの団体というのか法人との関係というのは、これは認められないんですか、否定された場合には。すみません。
○政府参考人(黒田岳士君)
そういう実態を把握するために報告徴収ができるようになっているものと認識しております。
○石垣のりこ君
それ報告徴収までいけばいいんですけども、なかなかそこまでいかないという実態があったので、これがどの程度また使われるかということになってくるんだと思いますが、とりあえず、一個人でも、まあこれもケース・バイ・
ケースということにはなるんでしょうけども、一応法人との関係は認められるというふうにご答弁いただいたというふうに私としては受け止めますが、その上で、新法案の寄附の勧誘行為に係る規制対象についての話を今伺ったわけなんですが、この禁止の対象についてちょっと伺いたいと思います。
今回の法案では、禁止の対象を寄附に限定しています。売買契約やサービス提携契約が除外されていると。政府からは、無価値なものの売買契約は事実上寄附と認定できる旨の答弁がなされておりますが、この宗教的な物品やサービス提供というのは、これ、いわゆる無価値というふうに判断され得るんでしょうか。
○政府参考人(植田広信君)
そこは一般論で申しているわけではございませんで、例えば、それは信仰されている方にとってはその紙一枚でも貴重なものであると、価値があるものというのは当然だと思いますけれども、答弁で申し上げたのは、その物品の原価でありますとか販売の経費でありますとかと比べて販売価格が釣り合ってないというような場合に、その信者、信じてない方から見ればそんなに価値のあるものなのだろうかというようなことということでございます。
信じている間にはもちろんそれで構わないわけですけれども、これが、マインドコントロールが覚めて、それはだまされていたということであれば、そのときにその方にとっても無価値なものになるということではないかというふうに思っております。
○石垣のりこ君
例えば、寄附と認定できるのか、まあ宗教的なサービス提供と言ってもいいのかもしれませんが、「祈祷」を例に挙げると、祈祷というのはこれ消費者契約法の対象になるんですか。
○政府参考人(植田広信君)
はい、対象になります。
○石垣のりこ君
これで祈祷が対象になるんだったら、消費者契約法では、言ってみると適切な役務提供と霊感商法としての役務提供との区別ができるということでよろしいですか。
○政府参考人(植田広信君)
ちょっともう一度ご質問いただけますか。
○石垣のりこ君
祈祷が消費者契約の対象になるという場合に、まあなるというふうにお話があったんですけども、その場合、適切な、いわゆる祈祷の中でも適切な役務であり得るのかそうでないのか、もしくは祈祷以外のほかのものもあり得るかもしれませんけれども、霊感商法としての役務提供であるのかということの区別ができて消費者契約法の対象として扱っているということでよろしいですか。
○政府参考人(黒田岳士君)
サービスの内容が適当か適当でないかということでこの消費者契約法の後の取消し権について議論されるのではなくて、その祈祷のサービスを提供するにあたっての勧誘の仕方が不適切な勧誘の仕方になって、さらにそれが、その困惑を受けて、それを、本来そんな祈祷サービスなんか受けたくもなかったのに何か受けてしまったというのを後から取り消せるといった考え方がこの消費者契約法の考え方でございますので、その実際の祈祷サービスがどういうものかとか、その価値が幾らとか、そういうことが一義的に関係するわけではございません。
○石垣のりこ君
それは、でも、消費者契約法の対象になって、その霊感商法であり得るのか、それとも適切なサービスであるのかということが判断され得るということだと思うんですが、そうではないんですか。
○政府参考人(黒田岳士君)
そもそも、別にその消費者契約法は「霊感商法イコール悪」という位置付けでやっているわけではございません。別に霊感商法一般に、その呼び方としては、この霊感商法とひと括りしていいのかどうか分かりませんけども、そういった、例えば「この招き猫を置いておけば商売繁盛につながる」とか、広げ始めれば入り得る、例えば「この数珠を売ると運勢が良くなる」とか、そういうのも含めた概念でありますので、別に霊感商法イコール悪いものとして位置付けてその取消し権の対象にしているというわけではなくて、そういった霊感というふうに呼んでいますけども、そういった、なかなか科学的な説明できないようなことを言うことによってさらに不安をあおったりとか、それに乗じるという、その勧誘の仕方が問題ということで、そういった、逆に言うと、その霊感商法を悪用する、宗教などを皆さんがいろいろ信じているのを悪用して不当に勧誘するということについては、意思表示に瑕疵をもたらすので後で取消しができるというふうにしているというのが消費者契約法の考え方でございます。
○石垣のりこ君
消費者契約法の中で、個別の具体的な例というか、ある程度その条件というのはあると思うんですけども、判断できるということであれば、新法案の4条6項の禁止行為において、政府は、「必要不可欠」であると、必要性と切迫性の両条件を課す理由としてこう挙げていらっしゃるわけです。「必要不可欠」を単に「必要」とすると、厄払いなど一般的に許容されている宗教活動等にまで対象が広がってしまいかねず、真に取消しに値する程度に不当な勧誘行為を適切に捉えることが困難になると考えられるというふうに答弁はあると思うんですけども、これ、消費者契約法で適切であるか、それとも霊感商法であるのかということが判断できるならば新法案でも区別し得るので、必要不可欠にする必要がないということにはならないですか。
○政府参考人(黒田岳士君)
そこの、その困惑、その不適切な勧誘をどういったもので類型化するという部分の考え方については、消費者契約法も今回提出させていただいている新法もそこの部分は基本的には同じでございます。
先ほどから申し上げていますように、霊感商法だから駄目だということではなくて、そういったものを悪用して不当に勧誘をした上で、今回の事例でいいますと、とても考えられないような多額な寄附を募っていることについて禁止していこうとか、そういったことをやろうとしているのが新法でございますので、その霊感、何度も繰り返しになりますが、霊感商法そのものを悪者として扱っているわけではございません。
○石垣のりこ君
なので、祈祷も入ってしまう場合もあるかもしれませんけど、入らない場合もあって、それは、判断基準が消費者契約法の中で判断できるのであれば、その新法の中で祈祷が入るからそこに必要不可欠としなきゃいけないんだということが成り立たないのではないだろうかというふうに思ったわけなんですけども、必要不可欠とまで書く必要がないのではないかということを申し上げたいなというふうに、私はこういうふうにちょっと解釈をして今質問させていただきました。
続いて、配慮義務について伺います。
この寄附の勧誘を行うに当たってなんですが、これ、いわゆる配慮義務というふうに今回付されました第3条ですけれども、この配慮義務に違反する行為っていうのは、これ具体的にどんな行為が挙げられるんでしょう。
○政府参考人(植田広信君)
配慮義務につきましては、今、3条の書き方でございますけれども、例えば、第1号では適切な判断をすることが困難な状態であるとか、第2号では生活の維持を困難にすることがないようにすることといったように、勧誘によってもたらされた結果の個人の状態を規定しているということでございます。
これは、いかなる行為によったものであったとしても、寄附勧誘の際にはそのような結果をもたらさないようにすべきという規範を示しているものでございますので、だから、何をやったかっていう、にかかわらず、こういう状況に陥らせないようにというような規定でございます。
なので、ここに、こういうことに陥るような勧誘の行為というのはさまざまございますけれども、例えばということでいいますと、1のその適切な判断をすることが困難な状態に陥ることがないようにすることというのは、例えば統一教会がやっているような洗脳の方法であるとか、それから、生活の維持を困難にすることがないようにすることということであれば、通常の年収に比べて巨額の寄附を要求するとか、そういったさまざまな行為が入り得るということで、ここはもう限定して列挙するのはちょっと困難かなというふうに考えております。
○石垣のりこ君
結構抽象的なお話もあったと思うんですけども、その配慮義務で今ちょっと挙げていただいたようなものの中に、いわゆる4条、5条の「禁止行為」に該当するようなものというのはないんですか。
○政府参考人(植田広信君)
それは当然ございます。
○石垣のりこ君
ということは、物に、具体的な物によって、今、配慮義務にカテゴライズされるようなものも4条、5条の禁止行為といわゆるかぶっているところがあり得るっていうことなんですね。
○政府参考人(植田広信君)
おっしゃるとおりでございます。
○石垣のりこ君
その場合は、配慮義務が優先されるのか禁止行為が優先されるのかっていったら、禁止行為の方なんですか。
○政府参考人(植田広信君)
そこは主張の仕方と思いますけれども、一番主張したいことを実現するためのものが優先されるということとなると思います。
取消しがされ、取消しを、契約ないし寄附の意思表示の取消しをされたいのであれば4条で主張すべきですし、不法行為で要求するということであれば3条ということもありますし、5条ということもあるということだと思います。併せてやるということも当然あるということでございます。
○石垣のりこ君
何か非常に漠然としていて、禁止行為でもあり得て配慮義務でもあり得るという場合に、結局はその主体が何を求めるのかによってどちらかを取り得るという、主張し得るということになるということで、どう判断したらいいのかちょっと私も今悩ましいところなんですけども。
私もその配慮義務の中でも、やはり、もちろん全部これ基本的には禁止行為として格上げというか、規定すべき内容であるということは、もう私以外にも今までもいろんな方がご主張されていることですけれども。どうしてかというと、これも皆さんある程度共通の認識があるかと思いますが、統一教会の被害実態を考えたときに、この第4条における禁止行為ありますが、これ、この禁止行為が起こる前段として自由な意思の抑圧であったり、例えば3条の3項に該当するのではないかと思われる正体隠しの勧誘みたいなものがこの被害実態の中で多くを占めているわけですね。
4条に挙げられているような行為はもちろん禁止すべきなんですが、4条に示されている禁止行為を成立させる要件の一つとして、その前段に勧誘、勧誘における配慮義務違反的な行為があった上で4条が成立しているということで、前段が配慮で後段が禁止ということになると非常につじつまが合わないというか、この成立要件の前段をちゃんと否定してあげないと後段の意味が薄れてしまうのではないかという懸念がございます。
寄附が必要不可欠であるとの働きかけがなくても寄附をするということが起こりやすくなるということで、信仰からの使命感とか責任感を利用することによって教団への寄附がなされるというケースが多いからこそやはり問題で、そういう状況が生じるのは何かというと、その第3条に掲げられている配慮義務が前段にあって、そこが入口となって禁止行為というふうにこの法律の立て付け上は掲げられている行為が生じてしまっている、そこに陥りやすくなっているという、そういう被害実態を鑑みると、やはり「配慮義務」は「禁止規定」にすべきものであるというふうに申し上げたいと思います。
特に、正体隠しの勧誘というのがこれ非常に罪深くて、正体を隠していいことをしてくれる足長おじさんみたいなんだったらいいんですけど、真逆なことをするわけですよ。そう考えると、やっぱり正体隠しというのは、これは司法の場でもこれ違法性は指摘されているわけですから、この部分はしっかりこの新法の規制の対象として禁止行為とすべきであるというふうに申し上げたいと思います。ぜひ、今後、前向きに検討していただきたいと思っております。
さて、では、ちょっと修正部分について1点伺いたいと思います。
6条の、配慮義務の遵守に係る勧告等が加えられました。この1項には、勧告の条件として、第3条の規定を遵守していない当該法人から寄附の勧誘を受ける個人の権利の保護に著しい支障が生じていると明らかに認められる場合において、支障が生ずるおそれが著しいと認めるときはというふうにあります。
これ、法人が規定を遵守していないと把握し、著しい支障が明らかに認められると判断する基準というのはあるんでしょうか。何を指標とするのかとか、かつ、どのようなプロセスで把握されて判断されるんでしょうか。
○衆議院議員(山井和則君)
ご質問ありがとうございます。
今、石垣委員からお話ございましたように、6条に定めておられる要件、すなわち寄附の勧誘を受ける個人の権利の保護に著しい支障が生じていると、それが明らかに認められる場合、さらに同様の支障が生ずるおそれが著しいと認められる場合には、当該法人等に対して勧告が行われます。
それで、ついては、今ありました具体的なことでありますけれど、勧告の個別の要件についてもお尋ねいただきましたが、最終的には個別事案に応じての判断になりますけれど、例えば、個人の権利の保護に著しい支障が生じていると明らかとは、例えば、寄附の勧誘を受ける個人の権利が侵害されたことを認定した判決があるなど、著しい支障が生じていることが客観的に明らかになっている場合等を念頭に置いております。
また、さらに、同様の支障が生ずるおそれが著しいとは、例えば、今述べたような寄附の勧誘が部組織的、計画的に行われ、現に多くの被害が生じているなどの事情から、将来的にも被害が繰り返されると容易に予見される場合などが該当するのではないかと考えております。
政府においては、行政措置の要件について判断基準の策定を行うことなどにより、適時適切な判断を行うことができるよう体制を整備していただきたいと考えております。
○石垣のりこ君
今かなり高いハードルが示されたと私は受け止めたんですけれども、以上で修正案の提出者の方は退室していただいて結構です。ありがとうございます。
お計らいいただいてよろしいでしょうか。
○委員長(松沢成文君)
修正案の提出者の皆さんはここでご退室いただいて結構でございます。
○石垣のりこ君
今のご答弁をいただいた上で、この配慮義務の実効性が高められたということでこの6条の項目が付加されたわけなんですけれども、一方で、「著しい」とか「明らかに」と程度が甚だしいという点で、配慮義務違反に対する行政措置のハードルが高くなるのではもしかしたらないだろうかというの、今のちょっと回答からちょっと若干懸念を感じております。
その上で、ちょっと、7条の禁止行為に係る報告、勧告等についてとちょっと比較して伺いたいんですが、この禁止行為に係る報告、勧告等の措置基準、意思決定プロセスについて、これ6条との違いというのはあるんでしょうか。
○政府参考人(黒田岳士君)
基本的に、その6条に書いてある部分の、例えば、引き続き当該行為をするおそれが著しいと認めるということについては同じ文章が書いてありますので、基本的にその同じ部分については同じような考え方が適用されるということでございます。
○石垣のりこ君
同じプロセスで、ある程度その流れは同じということなんですけれども、先ほどの配慮義務違反の遵守に係る勧告等が、その違法の判決例であるとか組織的に大きく関わってというようなことが同等にあって、通常であれば、配慮義務の方が間口が広くて、より初期の段階で行政の介入ができる、その後、もし禁止行為に至るようなことがあれば、これは、その流れはその時々によって変わるかもしれませんけれども、7条の禁止行為に至るというのが段階としては自然なのかなと思いますが、この6条の配慮義務の遵守に係る勧告の方のハードルがあまりにも高くなってしまうのは、ちょっとこれは今後実際に運用していく中で要検討していただきたいなというふうに思います。
禁止行為に関してなんですが、7条の4項において行政措置を行ったことを公表することが定められています。
公表することによってどんな効果が期待されているのかということを考えますと、行政処分された法人名が公開されることによって、この法人に対して、あるいは法人の行った行為と同等の手口に関して注意喚起をする、被害が広がらないように周知するといった効果が期待できると思うんですが、しかし、問題となっている今回の法案につながったこの統一教会の被害実態というのは、何度も申し上げていますように、いわゆる正体隠しをして信仰に誘うということが多いわけですよね、あるいは関連団体を名乗って誘うということで。
とすると、正体隠しの勧誘行為が配慮義務であると、事業所名を公表することの抑止効果というのは、これ、どうしても乏しくなってしまう、低減してしまうのではないかと考えますが、いかがですか。
○政府参考人(黒田岳士君)
仮に事業者名の変更があったとしても、変更前後の名称を公表するなど、事業者名を特定するために必要な情報はしっかり公表する必要があると認識しております。
○石垣のりこ君
公表された事業名が皆さんに伝わっていなかったら、その分の抑止効果であったり注意喚起の力が弱まってしまうということで、やっぱりこの部分はしっかりと、配慮ではなくて禁止行為にすべきだということの理由の一つにもなるのではないかというふうに考えます。
続いて、今回の新法案なんですけれども、法人等による寄附の不当な勧誘の防止に関する法律案ということで、法人等による寄附が対象になっております。
これ、新法案と、宗教法人法、公益財団法人法、こういうこと、まあ法律が関わってくるというふうに考えますが、禁止規定に違反する行為というのは、宗教法人法の81条の「解散命令」におけるこの「法令に違反し」という文言がありますが、これに当てはまるのかと、また配慮義務の第3条の違反には当てはまるのか、お答えください。
○政府参考人(小林万里子君)
お答え申し上げます。
新法案の4条、5条の禁止行為に違反した場合はもとより、3条の配慮義務違反の行為があった場合も、宗教法人法81条1項1号の「法令に違反し」に該当し得ることとなります。
○石垣のりこ君
含まれるのであれば、新法案によって違法行為が認められた場合も解散命令の要件に積み重なっていくということになりますよね。今国会では、当初、刑法等の「等」に民法の違法行為が含まれないという話でしたけども、答弁修正なされまして「民法も含まれる」ということで、今回の法案がこういう形では生きていくということになるんだと思います。
その上で、より実効性をこの法律が発揮していくためにちょっと運用の面で考えていただきたいことがあるんですが、宗教法人法と公益法人法との兼ね合いについて、やっぱりこれ、よりその関係省庁、主管省庁と連携を深めていくということが必要になると思うんですが、他省庁との情報共有というのをした方がよいのではないかというものがあります。
これ、宗教法人法の収支計算書なんですけれども、まず確認したいのが、宗教法人のこの収支計算書、まあ会計帳簿のようなものですが、この閲覧について現行の運用状況をまず確認したいんですが、ちょっと12月8日の文芸春秋にこんな記事が掲載されていまして、ちょっと内容の確認をさせていただきたいと思います。
95年の宗教法人法改正によって、宗教法人は、毎年、収支計算書を文科省の外局である文化庁に提出することが義務付けられました。これは、オウム真理教事件を機に最低限の実態把握が必要だという問題意識によるものでしたが、各宗教団体は信教の自由に触れると猛反発。そのため、当時の文科省は、公開された書類は一切外に出さないと約束し何とか了承を得たと、これが文科省の関係者の言です。
その、さらに、97年、宗教法人を所管、管轄する文化庁文化部宗務課長に就いた前川喜平元文科事務次官がこんなことをお話しされています。「宗務課では、書類の提出を受けた担当の係長が収支計算書や財産目録の体裁が整っているかという最低限の確認をするだけ。それ以降は、誰も見られないように宗務課の金庫で保管していました。それは課長の私ですら見ていないのですから、部長や大臣も見ることは一切ない」というふうに、このようにお話をされていらっしゃいます。
その上で、現行、これ、95年に宗教法人法が改正されて、97年の当時のお話ということで語られていますけども、当時、実際どうであったのか、また、現在の宗教法人のこの収支計算書の運用状況どうなっているか、この2点、お願いします。
○政府参考人(小林万里子君)
お答え申し上げます。
ご指摘の平成7年の宗教法人法改正によりまして、財産目録や役員名簿などの事務所備付け書類の写しの所轄庁への提出が義務付けられたところでございます。
これらのうち、事務所備付け書類の写しの提出を認める、あっ、求める趣旨は、当時、所轄庁が設立後の宗教法人の実態について把握できるのは、規則変更、合併、任意解散の認証の場合等、一定の登記事項の届出の場合のみに限られていたため、所轄庁が権限を適正に行使できるようにするためには宗教法人の管理運営に関する実態の把握を継部続的に可能にする制度を設ける必要があったからと承知しております。
なお、ご紹介ございました記事につきまして、私も拝見いたしましたけれども、その記事の中で例えばございました、公開された書類は一切外に出さないとお約束したとか、そういった詳細の事実関係については承知しておりません。
○石垣のりこ君
その上で、現在の運用状況ってどうなっていますか。
○政府参考人(小林万里子君)
失礼いたしました。
現在は、文化庁におきまして、宗教法人から毎年度提出されます財産目録及び収支計算書等の写しの確認を担当者がいたしまして、当該法人からの相談の機会などを通じまして宗教法人として実際に活動しているかなどの実態を継続的に確認させていただいております。
○石垣のりこ君
その閲覧に関して、宗教法人が信者そのほかの利害関係者に不当な目的でなければ閲覧させなければならないというような運用の規定ってありますか。
○政府参考人(小林万里子君)
宗教法人法25条にございます。
○石垣のりこ君
その25条のそのほかの利害関係者に消費者庁というのは入り得るんでしょうか。
○政府参考人(小林万里子君)
今回の先生ご指摘の点は、おそらくそういった情報の共有、文化庁と消費者庁での情報の共有ということだと思います。
宗教法人法25条といいますよりは、今回もしお認めいただけます新法の第13条の方で、まず、内閣総理大臣が新たに関係行政機関の長に対して資料の提供、説明その他必要な協力を求めることができるということになるかと存じます。
ただ一方で、新法の12条におきましても、信教の自由に十分配慮しなければならないとされていますのと、先生も今ご紹介ございましたような宗教法人法上も、所轄庁が宗教法人から提出された書類を取り扱う場合に、宗教法人の宗教上の特性及び慣習を尊重し、信教の自由を妨げることがないように留意しなければいけない、これご紹介ございました点でございますが、そういったことに鑑みますと、宗教法人の書類の取扱いは具体的には個別具体に判断させていただくことになるとは思います。
○石垣のりこ君
収支報告書、収支計算書について、やみくもに別に公開してくれともちろん言っているわけではなくて、もちろんその信教の自由もろもろさまざまな諸事情もあり、それを何か今誰にも見せろということではなく、あくまでも新法案の実効性を高めていく上で、関連する省庁との情報共有をしていく中のその情報の一つとして有益、有効であるのではないだろうかという考え方の下に伺っておりますので、その点は重ねて申し上げておきたいと思います。あくまでもその省庁間の中で有用な情報として共有していただくということもあるのではないかというご質問でございました。ありがとうございます。
今の件に関して、河野大臣、すみません、ようやく質問させていただきますけれども、この情報共有という点で、宗務課が入手した宗教法人のこの財務状況の情報ですね、これを消費者庁側に伝えてもらう、その有効性であったり必要性についてはどのようにお考えですか。
○国務大臣(河野太郎君)
新法の13条ですか、内閣総理大臣は関係行政機関の長に対して、資料の提供、説明その他必要な協力を求めることができる、そう規定をしております。
文化庁をはじめ関係省庁に資料の提供等は依頼をするということに当然なるだろうと思いますし、また文化庁から必要な協力を得ながら連携して必
要な法の執行にあたっていきたいと思います。
○石垣のりこ君
ありがとうございます。
あくまでも統一教会のような被害を今後生まないために必要な情報を連携して得ていくという、その実効性を高めていくというために有効な手段の一つであると思いますし、今前向きのご答弁いただいたというふうに考えます。ありがとうございます。
続いてなんですが、「債権者代位権」について伺います。
これ、債権者代位権の行使についてなんですが、今回の法改正の特例規定がなくても、もし適切な行政の支援があれば、現在までの扶養請求権、この扶養請求権に基づいてこれ救済ができるのではないかというふうに考えますが、消費者庁ではこれどのぐらい救済ができるというふうに、見通しというか、何かこういうケースが救われるというような、そういうご見解はございますか。
○政府参考人(植田広信君)
現行の制度につきましては、今回、個人の扶養義務等に係る定期金債権を対象としておりますけれども、そのうち現行の制度でいいますと、確定期限が到来している部分だけが対象になるということでございます。なので、毎月仮に10万円支払えと、月末に払えといったものが、これまで支払期限が来ているものは対象になりますけれども、将来の部分については対象ではないという制度でございますので、現行でも確定しているものについては代位で取り返すことができるということに限られるということでございます。
確定期限、今で申し上げた例でいいますと、毎月毎月期限が到来しますので、それを毎月毎月請求していくのかということはあまり現実的じゃありませんので、将来に生じる分も含めて対象としてそれについては保全をするというようなやり方が今回の仕組みということでございますので、おっしゃるとおり確定しているものについては現在でもできると、期限が未到来のものについてを今回対象にしたということでございます。
○石垣のりこ君
使いづらい、あまりこの扶養請求権使われないというようなことも聞いております。なので、逆に言うと、この扶養請求権を使いやすくし得るということももしかしたら可能だったのではないだろうかと。既存の法律という点では、ちゃんと行政の支援が行き届いていればこういうことも一つの対処、対応の選択肢の一つとして使えたのではないかというふうに考えますけれども、河野大臣、この件に関してはどのように総括されますでしょうか。
○国務大臣(河野太郎君)
今ご説明申し上げましたように、これまで確定したものについてはこれできるわけですけども、おそらく将来にわたってこの特例を使って権利を行使するというのが大事なんだと思います。ひと月ごとにやるわけにもいきませんし、今日までの分をまとめてやったにしろ、またどっかの段階で過去の分をやらなければいけないというのは、これはあまり現実的ではないと思います。
今回の特例によって、将来のある程度のところまできちんと供託をさせるということでその分を確保することができるようになったわけでございますので、やっぱりこの意義というのは非常に大きいものがあるというふうに思っております。
○石垣のりこ君
新法では債権者代位権ということでこれが適用し得るということではあるんですが、条件として、親が無資産(無資力)であるという、こういう非常に高いハードルが設けられております。
この無資産であることの妥当性について伺います。
○政府参考人(植田広信君)
無資産が要件といいますのは、現行の制度、民法上そうなっておるということでございまして、今回そこには特例を設けていないということでございます。
無資産、無資力の、無資力が要件に、失礼いたしました。債務者が無資力である場合に限って認められるというのが現在の民法上の仕組みでございます。これを外すということはその民法自体の考え方をまた整理する必要がありますので、大きな変更になるということで、今回は対応、対処、そこの特例については設けていないということでございます。
仮に、債務者、この事例でいいますと、親が無資力でない場合については親にまずは請求することができるという点からも、そこまでここの要件外すということについて今の時点では必要であるということには判断をしなかったということかと思います。
○石垣のりこ君
未成年で、親が信仰を持っていて、その扶養されているいう立場にあって親を何らかの形で、こういう形でこの要求をするということ自体が非常にハードル、それこそハードルが高いことでありますので、これ本当に大きな課題だというふうに考えます。
現状のその民法に沿ってということなんですが、現状、だから、現状で対応できないものがたくさん、多いからこそ新法を作っているわけですから、それを当てはめたということだとあまり進歩がなさ過ぎると思うんですね。なかなか検討する時間がなさ過ぎたということはもちろん重々承知の上ですけれども、ちょっとあまりにもこの無資力であるという、そのまま用いるということ自体は非常に安易なのかなというふうに、今後の課題としてこの点もしっかりと検討していただきたいと思います。
そろそろ時間ですのでまとめたいと思いますが、冒頭でも述べましたように、半世紀にもわたろうという統一教会による深刻な被害実態というのがこのおよそ半年にわたってた本当に明らかになってまいりました。その中で、半世紀にわたる被害実態というのが本当にここの数か月の間にこう一気に噴き出して、もちろんそれまでもいろいろ指摘はされてきたわけですけれども、そのときには分からなかったことも含めて、さまざま噴出してきたわけでございます。そんな中で、冒頭にも申し上げましたように、今回のこの新法ができたというのは非常に画期的であるというふうには考えます。だからこそ、今回の法律が施行されたときに、真に被害者の救済となるような実のあるものでなければならないということを改めて申し上げたいと思います。
この法案、まだまだ苗木の状態だと思いますので、今申し上げたようないわゆる宗教2世の問題が今回のこの法案ではなかなか救い難い、救済し難いという大きな課題もございます。その課題、もう深刻で本当に深遠、深い課題を私たちがやっぱり政治の責任としてしっかりと引き受けて、これを解決に向けて取り組んでいく、そのことが私たち本当に求められていると。私も議員の一人としてしっかりと取り組んでいくことを申し上げて、質問を終わります。
ありがとうございました。