参議院国民生活・経済に関する調査会

 2021年2月10日(水)、国民生活・経済に関する調査会が開かれました。
 「子どもをめぐる課題について」をテーマに、障害児のインクルーシブについて山中ともえ参考人(東京都調布市立飛田給小学校長)、子どもの性教育について染矢明日香参考人(特定非営利活動法人ピルコン理事長)が、それぞれ意見陳述をしました。そののち、石垣のりこは下記のような質問をしました。

★2021年2月10日(水)参議院国民生活・経済に関する調査会 Youtubeリンク https://youtu.be/xkRPZg25hlQ?t=4508

《山中参考人への質問》
Q 石垣)インクルーシブ教育を推進する上での教員らの研修の機会はどうなっているか。
A 山中参考人)発達障害の児童らへの指導法の研修の機会はかなり設けられている。しかし教員がこれ以上、身につけるのは大変。特別支援学級、通常学級でインクルーシブ教育に関わる教師は少数派。自治体によっては研修を受ける時間を設定しているところもあるがまだまだ不十分。

Q 担当教員だけでなく学校全体として理解を深める必要がある。教員のほか、教育支援員、介助員、通級指導担当教員、少人数指導担当教員、巡回相談員、スクールカウンセラー、ボランティアなど多様な人が関わるが、個々の関係性はどうなっているか。各担当者を調整していくことが重要。
A その通り。30年前よりも今の学校は、いろいろな人が学校に入ってきている。学校管理職のマネジメントとして、関係する人をどうつなげるかが非常に大事。管理職だけでは難しい。ほぼ100%の学校に「特別支援教育コーディネーター」がいるが、教員の時間軽減や専任化につながっていない。イギリスは管理職に近い形で、調整をする「スペシャル・エデュケーショナル・コーディネーター」がいる。そのような人が配置されて、関係機関との連携、学校のリソース活用を進められるようにならないと難しい。

《染矢参考人への質問》
Q石垣)「(子どもへの性教育は)寝た子を起こす神話から、科学や人権に基づく包括的な性教育を」という染矢参考人の指摘に共感する。日本で国際水準の性教育が阻まれている原因、壁になっているものは何か。
A染矢参考人)日本の学校における性に関する指導は、「発達段階を踏まえること」「学校、保護者理解を得ること」などが重視され、集団教育と個別教育を分けて実施すること―などがある。日本で国際セクシャリティ教育ガイダンスが取り入れられていない理由は、日本独特の文化があるから、と聞いたことがある。しかし、性的発達に関わらず、たくさんの子どもたちは性情報にさらされている。自分が関心を持たずとも、性的な対象として他者からみなされることもある。何が危険で何が安全かをカリキュラムとして、幼い年齢から伝えることが急務である。

Q SNSは玉石混交、メディアリテラシー必要な情報源。先輩や友人からの情報が若い世代では中心になる。染谷参考人の講演などで子どもたちが、「もっと早くこれを知っていれば良かった」というようなことを含め、子どもたちのどのような反応、感想があるか。

A「科学に基づく情報を知ることができて良かった。安心した」「検索しても必要な情報が得られない」「今すぐ性行為をするわけではないが、将来必ず必要になる知識なので今聞けて良かった」という声が多い。私自身も、妊娠当事者になって初めて、妊娠検査薬があることや、中絶できる期間が決まっていることを知った。性的リスクに面した時に知識を得るのではなく、リスクに遭う前に何が危険か、どのような行動を取ればリスクを減らせるのかをあらかじめ広く知っておくことでリスクを減らす。それは今後の女性の活躍推進にも役立つのではないか。

《両参考人へ》
Qインクルーシブ教育の上での性教育の重要性、障害を持つ方への性教育について、それぞれ伺う。
A山中参考人)インクルーシブ、障害のある子は、学校で一概に教えられることが理解できず、うまく捉えられない子どももいる。発達段階を理解・配慮し、性教育をすることが大事。
A染矢参考人)障害がある子どもは、性的な被害者にも、加害者にもなりやすい。全ての人に対する「性教育を受ける権利」を保証していくことが重要。どのように伝えていけば効果的かということも、調査を進めたい。