「新型コロナ対策関連法案」の採決に関する声明

コロナ関連法案のように憲法秩序を破壊する異常な立法が安倍政権以降頻発しています。それを打破するためには、根源的な政治情勢の変革が必要です。その手段は政権交代しかなく、そのためには党内結束が不可欠。従って私は同法案採決に「思想で反対。政治で賛成。」の立場から賛成票を投じました。

今回のコロナ関連法案の最大の欠陥であり憲法秩序を根底から否定する問題点は、「罰則の有無」ではありません。刑事罰か行政罰かという議論でもありません。問題点は、「私権制限のある権限を、国会の承認なしに、内閣総理大臣に付与する」という点です。これは断じて許せません。例え、「制限の程度は最小限である」「専門家の意見を聞く」などの担保があったとしても、私権制限の具体的内容が法定されていない以上、恣意的な運用がなされないという保証はありません。法的拘束力のない付帯決議ではなく、あくまで条文で、政府が国権の最高機関たる国会の統制に服するよう規定すべきであることは、明白です。

この点に立脚して、「思想で反対」の立場から、今回の法案の採決に、反対票を投じたかったという思いは強くあります。思想的純粋さは政治家として必要でもあるでしょう。しかし、今の政権の枠組みが残される限り、同じようなことは繰り返されます。その度に造反していては、キリがありません。

今回のコロナ法案、安保法制、特定機密法と、この八年間で日本の憲法秩序はズタズタにされました。今の政権の枠組みが続く限り、不幸は繰り返されるでしょう。であれば、必要なのは、憲法秩序を毀損する現政権を退陣させ、政権交代を実現することです。それが、抜本的な防止策です。

今回、私は、「思想で反対」であるにも関わらず「政治で賛成」します。それは一重に、石にかじりついてでも政権交代を実現させるためです。立憲民主党を中心とした政権を一刻も早く樹立し、この八年間で毀損された憲法秩序を早急に恢復する必要があります。そのためには党内結束が何より重要と考えます。

採決が迫るにつれ、党内外の諸先輩から「今回も造反するのか?」「思いとどまれ」と多数お声をいただきました。圧力などではありません。ありがたいご指導です。そのご指導に報いるため、諸先輩に「今回の不義に加担するならば、政権交代の決意をより高めることが絶対的な条件です」と申し上げます。

今回私は、「政権交代を実現し、抜本的に憲法秩序を恢復する」ため賛成票を投じることで、目前の憲法秩序の破壊行為に加担します。これは苦しい判断です。今回の法案可決は、ある種「国会の自殺」ともいうべきものでしょう。しかし必ず国会は、復活します。民意とともに復活します。それが議会です。

私は、党内外の圧力を恐れはしませんが、後世に憲政の汚点を残すことを恐れます。この賛成票を投じた後は、この責任を引き受け、目前に迫った衆院解散総選挙で我が党並びに野党共闘各党が勝利し政権交代の実を挙げるべく、自分の持ち場で粉骨砕身努力を重ね、後世に顔向けできるよう努める所存です。

2021年2月3日 
参議院議員 石垣のりこ