参議院 本会議で登壇
12月20日の参議院 本会議で登壇しました
★【参院本会議】「公文書の改ざん、統計の不正は『民主主義の危機』」石垣議員 補正予算への反対討論 https://cdp-japan.jp/news/20211220_2762
立憲民主・社民を代表して、令和3年度補正予算二案に対し、反対の立場から討論を行います。
まず、新型コロナウイルス感染症で亡くなられた方々にお悔やみを申し上げますとともに、治療中の方々、後遺症に苦しんでいらっしゃる方々にお見舞いを申し上げます。新型コロナウイルス感染症が世界各地で猛威を振るい始めてからおよそ2年、これまで国民の、この国で生活する人々の命と暮らしを守るためにそれぞれの分野で御尽力されている皆様に、改めて敬意と感謝を申し上げます。
立憲民主党は、既に半年以上前の通常国会の会期中に、33兆円規模の補正予算の編成を提案しておりました。そして、唯一の立法機関として国会の役割を果たすべきであると、臨時国会の召集を何度も繰り返し求めてきましたが、拒否し続けてきたのは、ほかならぬ政府・与党、自公連立政権です。明らかな憲法違反であり、国会の軽視であります。デルタ株による第五波の被害を拡大させ、人々の命と暮らしをないがしろにした、あるまじき失策であると強く批判せねばなりません。
そして、予算審議をする以上避けられないのが、今国会中に明るみに出た国土交通省による統計の問題です。書換え、二重計上された建設工事受注動態統計は、GDPの算出根拠にも使われ、予算編成にも関わる国の基幹統計の一つです。書き換えられたのは公用文書であり、第二次安倍政権の時期に二重計上され、数値が水増しされた事実は看過できません。このことがGDPに影響を与えたとすれば、国会議論の前提が崩れる非常に深刻な事態です。
統計や公文書は、民主主義の根幹を支える国民の公共財です。政府は第三者委員会に調査を丸投げするようですが、第一に、国民の代表機関である国会の場でこそ説明責任を果たすべきです。くしくも、国土交通省の統計問題が最初に報道された先週十五日、国有地の不当廉売をめぐり公文書の改ざんを余儀なくされ自死された近畿財務局の元職員、赤木俊夫さんをめぐる裁判が、急転直下で政府認諾の幕切れとなりました。しかし、なぜ国有地が不当に安く払い下げられ、公文書を偽造するに至ったのか、森友問題の真相は今をもって明らかにされていないのです。
岸田総理は、今や我が国は民主主義の危機にあると強い危機感を感じ、我が身を顧みず、誰よりも早く総裁選に立候補を表明したと志を述べられました。公文書の改ざん、統計の不正は、まさに民主主義の危機そのものです。2018年には毎月勤労統計調査の改ざんが判明し、各方面に深刻な影響を及ぼしました。その後行われた統計の点検でも、今回の国交省の統計書換え、二重計上問題は見逃されたことになります。真摯に反省をし、再発防止を誓うのであれば、徹底的に真相を究明するのが道理ではありませんか。
このように、予算審議のための前提に疑義が生じている状態で本補正予算の賛否を述べるのは本意ではありませんが、民主主義の危機を憂う岸田総理の下で、たとえ不都合な真実であっても適切な情報開示がなされることを信じて、以下、本予算に反対の理由を述べます。まず第一に、必要な予算が計上されていないことが挙げられます。 優先すべきは、新型コロナウイルス感染症から、命と暮らし、そして事業を守ることであります。本補正予算には、我々が必要と訴えてきた医療機関や介護施設などへの抜本的な経済的支援が盛り込まれていません。また、観光関連産業を始め文化芸術、地域公共交通といった、新型コロナウイルス感染症の蔓延で経済的打撃を受けた様々な業種への支援が全く足りていません。さらに、ワクチンだけでは解決し得ない感染対策の要として、PCR検査拡充の予算が盛り込まれていないことも問題です。岸田総理は、オミクロン株に対してG7の中でも最も厳しい水際対策をと胸を張っておられますが、空港検疫で使われているのはPCR検査より精度の劣る抗原定量検査です。
さらに、総理は、大量の検査を迅速に行わなければいけない空港検疫では抗原検査が最も適している旨の答弁をされていますが、命に関わる感染症対策で最も優先されるべきは、検査効率以上に、ウイルスの見逃しをより防ぐことのできる検査精度なのではありませんか。空港検疫は一刻も早くPCR検査に戻すべきです。 そして、米価の大幅な下落への対策です。直接的支援は、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金や一般財源を元に自治体ごとに支援がなされていますが、例えば、私の地元である宮城県では、十アール当たり4000円を中心にゼロから1万円と格差が生じています。本補正予算には、農業を国の基幹産業として支えるために緊急に必要な予算が不足していると言わざるを得ません。 このように、コロナ対策を最優先として必要な予算が盛り込まれていない一方で、不必要な経費が計上されていることが本予算に反対する第二の理由です。子育て世帯への10万円給付に必要な事務経費は、 1247億円に上ります。そのうち、およそ八割に当たる967億円の事務経費は、給付金の半分の五万円をクーポンにしたことによって生じる余分な経費です。紆余曲折の末、政府が全額現金給付も可能としたことは評価するとしても、実務を担う自治体では混乱が生じ、要らぬ事務負担も発生しています。既にクーポンである必然性はないのですから、クーポン発行に必要な事務経費は現金給付に充てて、根拠が不明確な所得制限を設けることなく、より幅広い子育て世帯を対象にする方がよほど有意義な予算の使い方です。 さらに、政策目的や効果が明確ではないマイナポイント第二弾に1兆8000億円が計上されています。安易にポイントを上乗せする前に、マイナンバーカードが普及しない理由を根本から考える必要があるのではないでしょうか。コロナ対策一つ取っても、接触アプリCOCOAの相次ぐ不具合、HER―SYS、G―MIS、NESIDと乱立する情報システムが招く現場の混乱、各省庁からの情報流出など、政府の推し進めるデジタル化への不信が拭えないことも原因の一つであり、ポイントアップでマイナンバーカードの普及拡大をしようというのは邪道ではないですか。
不要な経費といえば、辺野古基地の建設費用も同様です。予算の前提として必要な軟弱地盤の調査すらまともにできないのですから、800億円の工事費など到底賛成できるはずがありません。
本予算に反対する第三の理由は、緊要性に疑義のある予算が盛り込まれている点です。経済対策の策定と合わせ、ここぞとばかりに大型の基金も造成、拡充されます。基金は、憲法や財政法を根拠とした予算の単年度主義の例外に当たる上、監視が難しく、非効率的な支出につながりやすいことが指摘されています。本予算では、基金の造成を想定した先端半導体の国内生産拠点の確保に6000億円、また、大学ファンドの積み増しにも6000億円が計上されています。
こうした経済安全保障の強化や科学技術立国の実現といった中長期的な課題に関する予算は、本来、当初予算に組み込むべきであり、財政法の趣旨に逸脱するとの批判は免れません。また、防衛装備品の購入などに8000億円が計上され、当初予算と合わせて初めて6兆円を超えました。平成30年度以降、防衛関係費は毎年補正予算で4000億円程度の積み増しが常態化しています。我々は、その都度、緊要性の要件に合致しているのか問いただしてきましたが、納得できる答弁がいまだ得られておりません。
昨年度は、3回にわたる大規模な補正予算の編成により、予算の繰越額が30兆円を超えました。これは、必要性を十分に精査していない予算を過大に計上していた左証であります。政府は、前年度の補正予算と当初予算を一体に編成するとの考えを示していますが、多額の繰越しが発生する状況で、果たして健全な財政運営ができていると言えるでしょうか。以上、本補正予算に反対の理由を述べました。