参議院 厚生労働委員会で質問

5月12日 参議院 厚生労働委員会で質問
★2022年5月12日 参議院 厚生労働委員会 Youtube録画 https://youtu.be/oHjUPptTL-g

令和四年五月十二日(木曜日)
参議院厚生労働委員会(未定稿より)

○石垣のりこ君
立憲・社民の石垣のりこです。さて、大型連休明け、昨日は全ての都道府県での感染者数が前の週を上回ったと報道されました。沖縄と宮崎では過去最多ということで、全国的に感染者の増大が報告されております。東京でも連続で前の週の同じ曜日を上回っているということで、感染再拡大という言葉が脳裏に浮かぶわけですが、厚生労働省としては、現在の連休明けのこの感染状況をどのように捉えているでしょうか。

○国務大臣(後藤茂之君)
直近の感染状況につきましては、ゴールデンウイークの影響もあることから単純に判断することは難しいものの、直近の1週間では10万人当たり約175人、今週先週比が0.98というふうになっております。今後の感染の状況を注視してまいりたいというふうに思っております。今後の感染状況につきましては、ゴールデンウイークでの人の動きが活発だったことやBA.2系統への置き換わりがおおむね済んでいる、そうしたことの感染の増加要因と、それから一方で、ワクチンの3回目接種が進んでいることや暖かい季節になりまして換気等がしやすくなっていることなどの感染の抑制要因、こうしたことが考えられる中で、引き続き注視してまいりたいと思います。厚生労働省としては、最大限の警戒をしつつ、安全、安心を確保しながら可能な限り日常の生活を取り戻すために必要な対策も講じていくこととしたいと考えております。

○石垣のりこ君
変異株に関しても、まだ日本に入ってきていないものも含めて、より感染性の強い、あるいは中和抗体を低下させる懸念もあるようなものも各地で出てきているということで、やはり警戒を緩める状況ではないなというふうに私自身も感じております。さて、では、緊急承認に関しての質問に移りたいと思いますが、これまで衆参の議論を踏まえまして、論点というのはほぼ指摘されているところかと思います。今回緊急承認を創設するのは、コロナウイルスのような感染症が拡大する緊急の事態において、国内で先行して開発した医薬品等があった場合に、現在ある海外の医薬品等を対象にした特例承認では対応できないというのが主たる理由としてあると思います。この通常承認以外の例外的な承認制度というのは既に3つあるわけです。条件付承認、条件・期限付承認、特例承認とございます。これ基本的なところをまず確認させていただきたいんですが、これまでのこの承認件数、この3つの承認制度の承認件数、また承認の取消しなどが行われた事例があるのか、教えてください。

○政府参考人(鎌田光明君)
ご指摘の3つの制度につきましてでございますが、これまで、令和4年5月12日時点でございますが、条件付承認制度、これはその法制化される以前は通知による運用でされておりますが、そのときも含めまして、これまでに条件付承認制度では5品目承認されております。それから、再生医療等製品に係る条件・期限付承認制度におきましては4品目、そして特例承認制度におきましては10品目の医薬品などが承認されてございます。また、ご指摘のございました承認の取消し事例があったか否かということでございますが、現在までに取消しがなされた品目はございません。

○石垣のりこ君
ありがとうございます。取消しが行われた事例はないということで、特に特例承認に関しては、一気にこのコロナウイルス感染症下で行われたという事例が多いと把握しております。その中で、おとといのニュースにあったんですが、特例承認されたソトロビマブについて伺います。新型コロナウイルス感染症診療の手引き第7.2版で、オミクロン株のBA.2系統に対する有効性が減弱するおそれがあるというとの報告が追記されたということなんですが、この件に関するご説明、いただけますか。

○政府参考人(佐原康之君)
お答えいたします。ソトロビマブのオミクロン株のBA.2系統に対する有効性につきましては、患者から得られた株を用いた試験におきまして、ウイルス量を半減させるために必要となる薬剤の濃度が従来株に比べまして約16倍程度必要であったということなどから、令和4年4月18日に開催されました薬事・食品衛生審議会において、BA.2系統に対して有効性が減弱するおそれがあり、他の治療薬が使用できない場合に投与を検討することとされたところでございます。なお、添付文書上は、BA.2系統については有効性が減弱するおそれがあることから、他の治療薬が使用できない場合に投与を検討することとされておりまして、投与が推奨されないと評価されたものではないと理解しております。引き続き情報収集し、医療現場に情報提供する等、適切に対応してまいりたいと思います。

○石垣のりこ君
16倍の用量が必要になるというような、結構なこれは違いかと思いますし、他の治療薬が使用できない場合に本剤の投与を検討することとされていると修正されたということで、推奨されないわけじゃないけれども、かなり選択としては判断をしっかりしていただかないとこの有効性に関してはちょっと分かりませんよというような判断がなされているということだと思います。ちなみに、このソトロビマブなんですが、承認の際に、国内試験なしの、海外第3相試験データの評価、1057例の評価がなされていて、国内試験なしで承認されているというふうに資料等で確認できるんですが、この理由について簡単に教えていただけますか。

○政府参考人(鎌田光明君)
ご指摘のとおりに、昨年9月に特例承認されたソトロビマブにつきましては、海外第3相試験の成績に基づき審査を行っておりまして、その際には日本人を対象とした臨床試験の結果というものは提出されておりません。その承認審査時の評価でございますが、本剤ソトロビマブは、新型コロナウイルスという外来性因子、ウイルスに対する抗体製剤でありますので、先行承認されておりました類薬のロナプリーブ、やはり中和抗体薬でございますが、その例も踏まえますと、本剤の血中濃度などが日本人と外国人とで大きく異なる可能性は低く、人種差は少ないと考えられることなどから、日本人における有効性、安全性は十分確認できるというふうに判断したものでございます。また、承認申請時ですね、承認時にメーカーにおきまして実施中でございました日本人での血中濃度等を確認する試験結果については、からも、そうした有効性、安全性に問題はなかったというふうに伺っているところでございます。

○石垣のりこ君
ありがとうございます。でも、引き続きこの効能及び安全性に関しては注視していかなければならないというふうに思います。さて、今回の緊急承認制度なんですが、先日10日のこの厚労委員会で、日本、あっ、全国薬害被害者団体連絡協議会代表世話人の花井参考人がこのように指摘されていました。同じ緊急時の承認制度であっても、緊急承認制度は特例承認制度と比べて、海外で承認、流通する以前の国内で開発された新薬等にも適用されることから、医薬品承認における有効性、安全性評価基準の本質的緩和であるというふうに述べられていました。この点に対して、厚労省の見解はいかがでしょうか。

○国務大臣(後藤茂之君)
今般創設いたします緊急承認制度は、緊急時に新たな医薬品等を速やかに薬事承認するために、有効性については推定された段階で承認を可能といたしております。他方で、緊急時であっても、医薬品の安全性を確保することは、これは必要であることから、安全性については現行の承認制度と同水準の確認を行うものでありまして、安全性について緩和が行われるものではないというふうに考えております。緊急承認制度の運用に当たっては、安全性を確認した上で、国民の皆さんにより早く必要な医薬品等をお届けできるようにしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

○石垣のりこ君
安全性も含めて、その安全性は同水準で確認されているというのは、これはずっと厚労省の見解として伺っておるところなんですけれども、実際のところ、この特例承認の治験レベルについてちょっと伺いたいんですけれども、コロナでの特例承認された医薬品、海外での試験というのは第何相まで行われているでしょうか。

○政府参考人(鎌田光明君)
失礼いたしました。新型コロナワクチン、治療薬についてのEUAでの、段階での臨床試験データでございますけれども、それぞれ個別の製剤によって異なるところでございますが、ワクチンの場合、ファイザー社、モデルナ社、それからジョンソン・アンド・ジョンソン社でございますけれども、いずれのワクチンにおきましても大規模な第3相試験の結果を踏まえて判断がなされているところでございます。他方、治療薬につきましては、第2相試験の結果を踏まえたものもございますし、第3相試験の結果で判断されたものなど、その時々の状況等を踏まえて個別の判断がなされていると承知しているところでございます。

○石垣のりこ君
では、審査を行うPMDAについての試験について伺いたいんですが、このPMDAの第3相で確認される安全性というのはどのようなものか、またその意義について、教えてください。

○政府参考人(鎌田光明君)
まず、一般的に第3相試験は、主として医薬品の有効性を確認、検証する目的で実施されるものでございます。通常の承認審査におきましても、一定期間を超える長期的な副作用の発現状況や、極めてまれに発生する副作用などにつきましては、承認までの間に確認することは困難でございますので、承認後も情報を収集していくことで安全対策を行っているところでございますが、第3相試験において得られた、おいても、安全性に関する情報等ございますが、そうした情報につきましては、今申し上げたような、承認後に得られた情報と同等、同様に、医薬品の安全対策においては活用しているところでございます。第3相試験を実施する場合としない場合とにおいてでございますが、安全性につきまして、情報量に違いはございますが、一定期間内に生じる副作用の種類、頻度といった安全性に関し、承認までに確認しなければならない情報に違いはないものと考えているところでございます。

○石垣のりこ君
まあ最低限承認に必要な分は担保されているということであろうとは思います。ただ、情報量の違いによってより安全性が高まったり、有効性が高まったり、まあその逆もあるとは思うので、これは、やっぱり質の違いというのはこれ否めないと思います。PMDAによる臨床試験の一般指針というのがございますが、臨床開発における相の解説について、第3相については、最も代表的な試験、検証試験というふうに書かれてあります。第3相に実施される試験は、意図した適応及び対象患者群においてその治療薬が安全で有効であるという第2相で蓄積された予備的な証拠を検証するためにデザインされるというふうに記されております。第2相で得られた結果というのは、これ予備的な証拠であると、で、第3相ではそれを検証するのだというように書かれているわけですよね。なので、第2相の段階では予備的、検証前であると、このように記載されております。それを受けた上で、今回の薬機法改正案の緊急承認第14条2の2、これが記載、今回の改正法で追加されるわけなんですけれども、資料の、条文お持ちでしたらそちら見ていただいてもいいんですが、資料の2に改正薬機法条文、比較してあるのが、上の方がこれは通常承認の文言で変わらないところです。今回改正でこの緊急承認の部分で追記される文というのがこちらです、下の方になっております。読んでいきますと、薬機法の第14条の通常承認の文言及び改正薬機法案、まあこれ同じですけれども、14条の2の2で今回創設される緊急承認についての文言から、有効性、安全性に関する部分、黄色が有効性、赤がこれが安全性を示している文というふうに示してございますが、通常承認の有効性の部分は14条の2の3のイです。申請に係る医薬品又は医薬部外、医療部外品がその申請に係る効能又は効能を有すると認められないときという表現になっております。安全性の部分は、ロの申請に係る医薬品又は医薬部外品が、その効能又は効果に比して著しく有害な作用を有することにより、医薬品又は医薬部外品として使用価値がないと認められるときという、これ否定を除外するような形で書かれているわけですね。一方、改正案の緊急承認、今回追加される方はどうなっているかというと、有効性の文は14条の2の2号です。申請に係る効能又は効果を有すると推定されるものであること、ここに推定という言葉が出てきます。安全性は次の3号の部分で、申請に係る効能又は効果に比して著しく有害な作用を有することにより医薬品として使用価値がないと推定されるものでないこと。皆さんの頭の中ですっとこれがご理解いただけた方がどのぐらいいらっしゃるでしょうか。非常に混乱します。大臣、これどう読んだらいいか、解説していただいていいですか。

○国務大臣(後藤茂之君)
今般創設する緊急承認制度は、安全性の確認を前提に有効性が推定された段階で条件及び期限を付して迅速に薬事承認を与える仕組みでありまして、再生医療等の製品の条件及び期限付承認の規定の条文構成に倣って規定したものでございます。具体的には、14条の2の2第1項第2号において、申請に係る効能又は効果を有すると推定されるものであることを有効性に関する承認の要件とし、また同項第3号において、申請に係る効能又は効果に比して著しく有害な作用を有することにより医薬品として使用価値がないと推定されるものではないことを安全性に関する承認の要件といたしております。このように、再生医療等製品の条件及び条件付承認の規定に倣って規定した結果、通常承認の規定である14条第2項第3号と異なる規定ぶりとなったものでございます。

○石垣のりこ君
解説はしていただきまして、ありがとうございます。でも、これ普通に読んで、二重否定なんで、二重否定イコール肯定というのを何か習ったことがどこかの頭の片隅にあるかもしれませんが、法案で使用される言葉の厳密な使われ方の意味合いというのは置いておくとして、二重否定、肯定というふうに置き換えて考えると、医薬品として使用価値がないと推定されるものでないことという、この文言は、医薬品として使用価値があると推定されるものというふうにシンプルに読み替えることも可能なわけですよ。とすると、安全性も推定の範囲に懸かってくるというふうにも解釈し得るのではないかと。普通に二重否定イコール肯定という変換をした場合ということになりますけれども、やはり安全性の部分にも推定というのは関わらずを得ない、有効性の推定というのが相対的に関わらずを得ないという表現になっているというふうに私自身は捉えております。リスクとベネフィットのバランスで決まるという点では、通常承認においてもリスクは否定できませんし、薬というのは、本来、医薬品というのはそういうものであろうということも理解いたします。むしろ、通常承認の有効性、安全性の書きぶりを改めて読んでみると、積極的安全性の確認というよりかは、明らかに有害だと分かる場合以外は安全と考えるというような印象も受けますので、この有効性もしかりなんですけれども、医薬品の有効性と安全性が何で決められるのか、それはリスクとベネフィットのバランスという考え方を土台にするとしても、PMDAの指針にあるように、1相、2相、3相といった試験の相の段階で得られる時間軸の影響ですとか、対象となる治験者の数の違いなどの情報量の違いから、まあこの試験から得られる医薬品等の有効性、安全性の信憑性にその情報量というのがつながってくるわけなので、有効性が推定の2相で確認できる安全性も相対的には一般的に低くならざるを得ないと。もちろん、最終的に同じような評価を下される場合はあるかもしれませんけど、百を試験してみて得られたものと、千を試験して得られたものというのは、仮に同じ結果が出たとしても、それだけの幅広い試験が行われたというその部分の信憑性、信頼性というのは増すわけですよね。この部分で、やはりこの緊急承認における安全性を通常承認の安全性と同じ言葉で確認としてしまうことの、これちょっと問題点というのをここで改めて指摘しておきたいと思います。かといって、安全性が推定の段階で承認するわけにもいかないと思いますし、例えば条件付確認というような新たな基準が設けられたとして、そうすると今度はやっぱり補償の程度をどうするのかというような別な問題も派生してくるゆえに、安全性は幅広く見積もって確認とせざるを得ないのではないかというようなところまで推察をします。その上で、緊急承認のその後には有効性の確認のためにリアルワールドデータの活用というのが指摘されております。昨年12月の緊急承認に関する厚生科学審議会医薬品医薬機器制度部会、あと国会質疑でもリアルワールドデータの活用について言及されているんですけれども、逆にこのリアルワールドデータを活用することの限界、注意点について厚労省はどのような見解を持っていますか。

○政府参考人(鎌田光明君)
リアルワールドデータの利活用、評価の在り方につきましては、これまでガイドラインという形でお示ししております。それを踏まえまして、実際にリアルワールドデータを踏まえた承認というか、リアルワールド、承認、活用した事例があるというのはございます。ご指摘のその注意事項というか、課題といいますか、考えなきゃいけないことにつきましても、このリアルワールドデータのガイドラインに示しております。具体的には、リアルワールドデータの利活用に際し、適切に設計された臨床試験に比べ、例えば医療機関や患者ごとに取得されているデータ、データ項目が統一されていない場合や、医薬品を投与した患者と投与していない患者で年齢や基礎疾患が異なる場合など、データに様々な特性、特徴があることに注意が必要であるということでございます。いずれにいたしましても、こうしたデータの特徴、そして最新の科学的知見を踏まえまして、医薬品の評価への更なる活用というものに取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

○石垣のりこ君
おとといの参考人の質疑において、薬害オンブズパースン会議の隈本参考人がそのような指摘もされています。望ましい結果が得られるまで複数回にわたり試験デザインの要素を変えて計画や解析を行うことが可能であると、このような注意事項も指摘されているところですので、その辺はしっかりと承認後の検証に関しても行っていただきたいと思います。さて、緊急承認ではないんですけれども、今般のコロナ禍において、様々な新型コロナウイルス感染症の体外診断用医薬品が優先的に審査されて承認されていると認識しておりますが、新型コロナウイルス感染症の体外診断用医薬品、検査キットの承認に関して伺います。これまで承認された数、種類別に教えてください。

○政府参考人(鎌田光明君)
ご指摘の点でございますが、本日、5月12日までに、新型コロナウイルス感染症に係る体外診断用医薬品として、核酸増幅法、PCR検査などでございますが、核酸増幅法は42品目、それから抗原定量検査は7品目、抗原定性検査は9品目、そして抗原簡易検査は32品目が承認されているところでございます。

○石垣のりこ君
結構承認されております。で、承認された抗原定性検査の一例を資料として添付しております。資料の6です。これ、審査の内容と結論がありまして、最後に承認条件、黄色でマーカーしておりますが、承認条件が付されております。この例の場合は、承認時の以下のデータが極めて限られる、限られていることから、製造販売後に臨床性能を評価可能な適切な試験を実施することとして、SARS-CoV-2の抗原検出に係るデータとかインフルエンザウイルスに関しても示されているんですが、承認時に極めてデータが限られていると指摘されて、臨床性能を評価可能な試験を実施するというふうに書かれている、この期限というのは設けられているでしょうか。

○政府参考人(鎌田光明君)
まず、承認条件につきまして、これ通常承認でございまして、承認条件を付すことができる場合がありまして、それを踏まえて承認条件を付しているわけでございますが、特段期限というものは付してございません。一方で、我々の方で、企業の方も理解しておりまして、それに応じてきちんと対応をしていただいていると理解しておりますし、我々の方からもそうしたことを求めているところでございます。

○石垣のりこ君
期限がないということなんですよね。多少足りない程度だったらあれなんですけど、極めて限られているデータで行われているというのは、実際の数字を見ていても、数十から数百のデータでこの性能の検査が行われているという点で、辛うじて今は緊急時ということも多分鑑みてのことだと思うんですけれども、こういう抗原定性検査キット、ほかの体外診断薬が承認されていると。一応ただし書は付いているけれども、それに関して期限も設けられていないという状況というのは、これは性能評価に関して、今後の、変異株も出ている上で、非常に心配されるところだと私自身は感じております。これ、提出義務がないということだと思うんですけれども、資料として提示した抗原定性検査は偽陰性も偽陽性も出ております。これ、ちゃんと半年以内とか期限を区切って臨床試験の結果を出していただくべきようなものなのではないかと思うんですが、その辺いかがでしょうか。

○国務大臣(後藤茂之君)
新型コロナの体外診断用の医薬品につきましては、新型コロナの流行を踏まえまして迅速に検査薬を承認する必要があったことから、性能及び有効期間に関する限られた試験成績に基づき承認をし、承認条件として、今委員からご指摘があったように、市販後に臨床性能や安定性のデータを求めている品目がございます。本年3月までに承認した品目のうち、臨床性能試験に関する承認条件が72品目に付与されまして、13品目で条件が解除されております。また、安定性試験に関する条件承認が82品目に付与されまして、28品目で条件が解除されています。先ほども議論になりましたけれども、この承認条件に対する期限は付していないわけではありますけれども、承認条件に係る試験が実施中である製造販売業者に対して、承認条件に係る試験の速やかな実施及び完了を求めておりまして、引き続き、厚生労働省としては迅速な対応、承認条件のクリアを求めてまいりたいと思います。

○石垣のりこ君
これがほとんど流通していない検査キットとかであれば、まあまだそれは多少目をつぶるみたいなこともあり得るのかもしれませんが、いや、でも、ちゃんと承認して出されているものですから性能というのは確認されなきゃいけないわけですよね。今、検査の中でも、先ほど承認された種類別に数をお答えいただきましたが、大規模に推奨されているのがこの抗原定性検査なんです。イベント会場で使われることも多いですし、抗原定性検査は確かにその場ですぐに結果が出ますので便利です。もう早くできるということで便利ではあるんですけれども、PCR検査に比較して、特に無症状者に対しては感度が劣ることが指摘されております。厚生労働省としては、無症状者に対する抗原定性検査についてどのような見解をお持ちでしょうか。

○政府参考人(佐原康之君)
お答えいたします。抗原定性検査キットにつきましては、PCR検査などに比べまして簡易かつ迅速に結果を得ることが可能であること、また、一定以上のウイルス量を有する方への検査として有効であることなどの特性があることを踏まえて、状況に応じその活用を進めているところでございます。例えば、感染拡大地域の医療機関や高齢者施設などにおける活用については、PCR検査等の頻回な実施が困難な場合に、より頻回に実施することは有効と考えております。一方で、無症状者に対する抗原定性検査キットを用いた検査はPCR検査と比較しまして感度が低下する可能性があるため、確定診断として用いる場合はPCR検査等を推奨しているところでございます。また、家庭等で体調が気になる場合などに抗原定性検査キットでセルフチェックができるよう、昨年9月に薬局での販売を可能とし、販売に当たっては、薬剤師が検査の実施方法や陽性になった場合の医療機関の受診の必要性、それから偽陰性の可能性があることも踏まえた対応等に関する説明を求めているところであります。引き続き、抗原定性検査キットの特性を踏まえつつその活用を進めていく必要があると考えております。

○石垣のりこ君
濃厚接触者に関しても待機期間短縮の際に用いられる検査が抗原定性検査というふうに書かれています。これは資料の5に事務連絡を添付いたしました。タイトルが長いので読みませんが、発生場所ごとの濃厚接触者の特定及び行動制限、積極的疫学調査についてということの1枚目なんですけれども。これ、エッセンシャルワーカーか否かにかかわらず、4、5日目の抗原定性検査キットで陰性確認後5日目から解除を可能とするというようなことで、こういう場面でも、確定診断とは違いますけれども、使われているわけなんですよね。これ、4、5日たって自宅待機しているということは症状もない方であろうというふうに推測されるわけなんですけれども、解除を短くするのに、偽陰性、偽陽性が先ほど出ているデータお示ししましたけれども、こういうことがあり得る。かつ、承認時に極めて少ないデータ量で承認が出され、臨床性能試してくれと言われて、まだ先ほどの数字だと72品目掛かっているうちの13品目、これは抗原定性検査だけではありませんけれども、全てが出されているわけじゃないという状況においてこれだけ定性検査キット推しなんですよ。しかも、下の方見ていただきますと、これ、抗原定性検査キットについては事業者の判断で感染拡大期への計画的な備えとして一定量を事前に確保しておくことが有効と考えられるところであり、こうした点も含め、各省庁、各府省庁におかれましては、別添にて所管団体及び独立行政法人等への周知をお願いしますということで、問合せできる医薬品卸売販売業者のリストが掲載されていると。皆さん、ここで抗原定性検査キットを必要な分問合せしてみてくださいということの案内までされているわけです。これ再通知されているわけです。だから、抗原定性検査キット推しなわけですよ、この積極的疫学調査においても。で、ちゃんとその辺で使い方の確認をしてください等のもちろん指針は示されているわけなんですけれども、片や、承認の段階で期限はない臨床試験の条件だけが付されていて、これだけ濃厚接触者の待機期間短縮にも使われ、イベントでも使われ、これ抗原定性検査キットの使い方としてはやっぱり問題が生じるんじゃないでしょうか。便利なのは分かるんですけれども、ウイルス量が少ないと反応しないわけですから、あくまで抗原定性検査は検査の中では臨時的な役割、取りあえずPCR検査をすることができない、そういう場合に使う。私もそういう経験はあります。濃厚接触者の濃厚接触者の方に接触したことがあって、念のためすぐにPCR検査でも翌日以降になっちゃうから、抗原定性検査を使ってまずは取りあえずの確認をしてみる。その後に、取りあえず大丈夫だということであれば、どこかの病院というか、一般のPCR検査をやっているようなところに移動して検査を受けるとか、そういう臨時的な役割として結局、抗原定性検査キットは役に立つんですけれども、やっぱり基本はPCR検査というのを軸にこの抗原定性検査を使っていくということをしないと、デルタのような強力な毒性のあるウイルスが入ってきたときに、抗原定性検査を基本にしてしまうことによってかえって感染拡大を助長してしまうようなことにもなりかねないと思います。研究用から薬事承認したから品質が担保されていると言えないような今ずさんな管理が行われているというふうにもちょっと捉えられるんですけれども、首をかしげていらっしゃいますけれども、その辺いかがでしょうか。

○政府参考人(鎌田光明君)
すみません、ちょっと首が痛かったものですからですけど。まず、その条件に期限がないではないかということでございますけれども、これ、確かに緊急時に承認したものでございますけれども、いわゆる通常承認でございまして、きちんと、何というか、必要性、有効性については確認しているということでございまして、通常その承認条件は、更に確からしさを高めるという観点から性能の確認をするということで付けている考えでございまして、その考え方は今回も同じでございまして、通常承認の場合は特段その期限は付さないということで、それはそういった扱いにしたというところでございます。ただ一方で、実は、先ほど大臣からもご答弁申し上げまして、私も少し触れましたが、先生がご指摘のような状況でもありますので、きちんとそこは実施中の試験などには確認してほしいという要請がございました。それは、この承認を行いました薬事・食品衛生審議会においてもきちんと確認するようにというご指摘ございますので、我々の方から、4月には、口頭などで個別に企業にお願いする一方で、4月には改めて事務連絡など出して、きちんとその試験は進めるようにということを言っております。その結果、先ほど大臣からご答弁したような承認条件の開示状況などを常に把握しているというところでございます。

○石垣のりこ君
何か、一般の方にとってはPCR検査というのはここ2年ぐらいに一気に皆さんの頭の中にも入ったと思いますけれども、抗原定量検査と定性検査があって、それぞれの性質、漠然としか分からなかったりするわけですよね。で、取りあえずこの検査をやるということ自体は否定はしないんですけれども、検査の特性をしっかりと把握した上で、かつその検査の精度が担保された状態ではないと本当にこれ誤った検査での安心というのを与えかねないと思いますので、その点本当にしっかりと、抗原定性検査の使うべきポイントということも含めてこれ考えていただきたいと思います。やっぱり抗原定性検査キット推しなんですよ。異常に簡単で分かるから、使いやすいからというのは分かるんですが、ここに基軸を置いてしまうことの問題点、今後の変異株対応も含めて非常に懸念しております。ちなみに、これまで様々な変異株が出ておりますが、この変異株への対応というのはちゃんとなされていますでしょうか。

○政府参考人(鎌田光明君)
まず、当然でございますけれども、承認時というんでしょうか、承認時にはそのときのはやった、はやっている株、変異の状況も踏まえてデータを出してくれということをお願いしておりますが、その後、製造販売後におきましても、薬事承認されている全ての体外診断用医薬品については、薬機法の省令に基づきまして、変異に対して承認を受けた使用目的を有しないことを示す研究報告がある場合には、製造販売業者に報告を求めております。そして、現時点において変異による性能への影響があるという報告は受けておりませんので、基本的には性能は確保されているものというふうに考えているところでございます。加えまして、変異株への対応といたしまして、本年1月にオミクロン株の流行状況を踏まえまして、製造販売業者に対してオミクロン株が性能に与える影響の検証を求めました。そして、全ての企業からその影響はないという回答を得ているところでございまして、ご指摘の変異株の対応ですとか、またあるいはきちんとその後のフォローできるかということにつきましては、こうしたことを通じまして対応しているところでございます。

○石垣のりこ君
対応はしていただいているということなんですけれども、そもそものデータ量の不足、臨床試験の不足が言われていて、そのデータは出さないけどオミクロン株対応しています、大丈夫ですと言われてもやっぱり信憑性に欠けるものになってしまうと思いますので、やっぱり基本的な確認を今後ともしっかりと行っていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。