参議院 東日本大震災復興特別委員会で質問

5月13日 参議院 東日本大震災復興特別委員会で質問
★2022年5月13日 参議院 東日本大震災復興特別委員会 Youtube録画 https://youtu.be/UrsbnRBYxxk

令和四年五月十三日(金曜日)
参議院震災復興特別委員会(未定稿より)

○石垣のりこ君
立憲・社民の石垣のりこです。どうぞよろしくお願いいたします。さて、今月の11日、今週ですが、私の地元宮城の河北新報の1面に、「宮城 震災の1.2倍浸水」と白抜きの大きな文字がございました。お配りしている資料の1枚目でございます。この想定の根拠となりましたのは、平成23年12月に成立した津波防災地域づくりに関する法律です。11年前に成立した法律の概要を見てみますと、あの大震災を経験したその年に、あのような未曽有の津波被害を少しでも減らしたい、想定外をできるだけなくして、備えることで助けられる命があるはずだという、生かされた者の使命感のような思いも感じます。とはいえ、実際出されたこの数字を見てみますと、あのときの津波よりも大きな被害が想定され得るということで、正直、私自身は、ちょっと気が遠くなるようなというか、目まいがするような気持ちにもなりました。でも、東日本大震災を経験した私たちだからこそその教訓を後世に伝えていかなくてはならないと、そういう気持ちも新たにしております。この想定なんですが、東京都がまだ出されていないんですけれども、それ以外の46道府県は既に提示されています。津波防災地域づくり法、この所管は国交省ということなんですが、46道府県から出された想定、まずどのように受け止めているか、ご回答をお願いいたします。

○政府参考人(高橋謙司君)
お答えいたします。津波防災地域づくり法に基づき、都道府県知事は、最大クラスの津波を想定して、その津波があった場合に想定される浸水の区域及び水深を示す津波浸水想定を設定するものとされております。現在、委員ご指摘のように、39の道府県において設定済みとなっているところでございます。津波浸水想定は、何としても人命を守るという考え方の下、最大クラスの津波が悪条件下において発生し、浸水が生じることを前提に設定されているものでございます。具体的には、設定潮位を最高満潮位とすること、また、海岸堤防、河川堤防等は津波が越流した場合には破壊されることを前提にすることなどを基本としているところでございます。このため、東日本大震災の被害を上回る想定となっている地域もありますけれども、こうした最大クラスの津波に対しても避難体制を確保し、住民の生命を守る、真に津波災害に強い国土、地域づくりを進めることが重要と考えております。以上でございます。

○石垣のりこ君
実際のところをちょっと聞いてみますと、宮城で、東日本大震災では浸水したんだけれども、今回のこの想定では、あれっ、想定範囲に入っていないなというようなところも実際はあるということは聞いたんですが、全体としては、宮城の場合は1.2倍になっているということでございました。深刻な被害想定もさることながら、なぜ今このような想定が出てくるのかという疑問も浮かんだんですが、資料4ご覧いただきますと、法律の施行翌年、2012年の8月に茨城県が設定したのが最初になっていまして、その後、何と、まだ東京都は出ておりませんけれども、10年のうちに自治体が設定してきたということが分かります。議員各位のご地元、どのくらいのタイミングで出されているかご確認いただくと分かると思うんですが、この津波災害予想、東京都のみまだということで、その理由と今の進捗状況どうなっているか、ご回答いただいていいでしょうか。

○政府参考人(高橋謙司君)
お答えいたします。東京都におきましては、津波浸水想定を設定する際に用います最大クラスの津波を引き起こす地震の想定マグニチュードについて、現在最新の知見を踏まえ検討中でございます。ただ、本年夏頃の設定を目標に今作業を進めていると、そういうふうに聞いておるところでございます。

○石垣のりこ君
最新の知見を踏まえてということで、夏頃を想定しているというご回答をいただきました。まあ想定の中でも、東日本大震災で甚大な被害を受けた岩手、宮城、福島、まあ被災3県ですけれども、これどのような想定が出されているか、概要を教えてください。

○政府参考人(高橋謙司君)
お答えいたします。先ほどの津波浸水想定でございますけれども、宮城県の津波浸水想定は令和4年5月に設定されております。浸水想定区域の面積は約391平方キロメートルでございまして、東日本大震災の浸水面積の約1.2倍というものになっております。また、海岸部における想定最大津波高は、例えば気仙沼市で22メートルというふうなことになっております。また、福島県の津波浸水想定でございますけれども、平成31年3月に設定されております。浸水想定区域の面積は約143平方キロメートル、東日本大震災の浸水面積の約1.3倍となっており、最大津波高、海岸部でございますけれども、例えば相馬市で22.3メートルというふうになってございます。また、岩手県でございますけれども、津波浸水想定、令和4年3月に設定されておりますが、浸水想定区域の合計面積というのは公表されておられませんが、海岸部における最大津波高は宮古市で29.5メートルというふうになっております。

○石垣のりこ君
地域によってちょっと出し方が違うということで、今回の想定のポイントとしては、地域によってその工夫みたいなものもあるんですけれども、基本的には、先ほどご回答いただいたように、悪条件を基に想定されていると。季節による悪条件も加味して発表しているところもあれば、防潮堤が全て壊れるという前提で発表してしまうと、これまでの震災後のまちづくりをどのように皆さんが捉えたらいいか、あるいは更に不安をあおることになりかねないという配慮もあって、例えば岩手県などは防潮堤は壊れないという前提も参考資料として提示されているというようなことも伺っております。この津波想定なんですけれども、東日本大震災を受けて作られた津波防災地域づくり法を基に作られていると、想定自体が、ということは先ほども申し上げたんですけれども、所管こそ国交省なんですが、この震災のときの復興構想7原則の中にも、災害に強い安全、安心のまちづくりの原則が盛り込まれております。復興庁がこうした被害想定を、東日本大震災の教訓も踏まえて、復興まちづくりにこれからどう活用していくかという点は問われると思います。そこで、復興大臣にも伺いたいんですが、今回のこの想定、どのように捉えて今後の復興に生かしていきたいとお考えでしょうか。

○国務大臣(西銘恒三郎君)
被災3県の津波浸水想定は、各県における県内最大クラスの津波レベル2、これ東日本大震災並みの想定に対して、今後、ハード、ソフト併せた総合的な対策を講じるための基礎資料として公表されたものと承知をしております。また、昨年12月に内閣府が日本海溝地震と千島海溝地震についての被害想定を公表しております。最悪のケースで日本海溝地震による死者数が約19万9000人に上るなど、甚大な被害が想定されておりますが、防災対策を徹底することにより人的被害を8割減らすことができるということも併せて示されたところであります。このため、今年3月に公表された中央防災会議のワーキンググループの報告書では、1.人命を救う、2.被害を最小化する、3.回復をできるだけ早くすることを目標とし、防災対策を推進することとされております。また、これも踏まえて、日本海溝・千島海溝特別措置法を改正する議員立法が本日成立したものと承知をしております。復興庁におきましては、東日本大震災からの復興に当たって、比較的発生頻度の高い津波、レベル1が内陸に浸入しないよう、防潮堤等のハード整備を進めてきたところであります。あわせて、ハード対策だけでは防ぎ切れない最大クラスの津波、レベル2に対しては、防潮堤を壊れにくい構造とすることで避難のためのリードタイムを確保するとともに、防災教育、防災訓練等の充実などのソフト対策と一体となった、より安全、安心な地域づくりを推進してきたところであります。引き続き、東日本大震災の教訓が生かされるよう、内閣府を始めとする関係省庁等の防災対策とも連携して取り組んでまいりたいと考えております。

○石垣のりこ君
ありがとうございます。資料の3見ていただくと、我が国の地震防災に関する法律体系が図になっております。非常に、それぞれの想定される地震に応じて一応対策なり法律なりはなされているんですが、複雑でございます。まさに今日、今大臣からも御発言いただきました日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案、これ成立しましたけれども、こことの関わりで、今回の想定、多分重複しているところも結構あるし、違うところもあるんだと思うんですけれども。最初、私も新聞の見出しを見たときに、これ何の根拠のあるところからの想定なんだろうというか、どういう要請から受けた想定なんだろうということを非常に疑問に思いまして、この法律体系を見て、複雑だなと、もっとこれから整理をして、しっかりと関係省庁が連携を取るべきところは取り、重複するところはしっかりとその部分は省き、こういう整備が必要になってくるのではないかというふうに思いました。これは今後の課題として、以降の質問に譲っていきたいと思います。じゃ、その上で、今回この想定が出されたというところを主軸に伺ってまいりますが、今回の津波想定被害に、あっ、津波被害想定によっていろいろなものが見直しされていかなければならないというふうに思うんですが、地元の例ばかりで恐縮ですけれども、東日本大震災の1.2倍の浸水という想定が出た宮城、6市3町で庁舎が浸水域になっているということで、これ、浸水域になっているからといって現実的に移転がすぐ可能かというともちろんそんな簡単な話でないことは重々承知しておりますけれども、例えば、今回の浸水被害の想定を受けて自治体が庁舎移転などを希望する場合に使える国の補助制度などはあるんでしょうか。

○政府参考人(小宮大一郎君)
お答えいたします。総務省消防庁では、災害対応拠点となる自治体の庁舎を津波浸水想定区域内から区域外に移転する場合に、用地取得費や施設整備費について、充当率100%、交付税措置率70%の緊急防災・減災事業債の対象としております。

○石垣のりこ君
ちなみに、これが使われたところがあるかもご回答いただいてよろしいですか。

○政府参考人(小宮大一郎君)
お答えいたします。宮崎県の門川町におきまして活用されております。

○石垣のりこ君
ありがとうございます。庁舎は災害対応の拠点となるところですから、絶対安全ということはないにせよ、どこに建てたとしてもしっかりと防災対策をしておかなければならない建物であると思いますので、今回の想定を受けて、それこそ中長期的な町づくりの計画の中で津波被害を想定した庁舎移転ということも検討され得るのだというふうに推測いたします。今回の津波被害想定によりまして、自治体のハザードマップの見直しなども迫られると思うんですが、その点はいかがでしょうか。

○政府参考人(高橋謙司君)
お答えいたします。津波浸水想定区域の指定見直しが都道府県によって行われた場合、市町村は、住民の避難体制を確保するため、津波ハザードマップを作成、改定することになります。国土交通省では、市町村がハザードマップの整備を円滑に行えますよう、相談窓口の設置や、簡易に作成できるツールの提供といった技術面での支援を行うとともに、防災・安全交付金により財政面で支援をしております。また、災害に応じて避難先の選定が容易になるポータルサイトを開設するとともに、ホームページやメディアを通じた広報等によりハザードマップの周知に努めてまいります。

○石垣のりこ君
ハザードマップの見直しとともに、新たな防災計画の策定ないしは見直しということもあると思いますが、その点はいかがでしょうか。

○政府参考人(小宮大一郎君)
お答えいたします。消防庁では、消防庁の防災業務計画におきまして市町村が地域防災計画の作成する際の基準を定めておりまして、その中では、津波浸水想定を踏まえ、津波災害警戒区域の指定のあった場合に市町村が地域防災計画に定めるべき事項を記載をしております。今後、市町村が地域防災計画の見直しを行うに当たって、都道府県あるいは直接市町村から消防庁に助言が求められた場合には、こうした基準も参考にしながら適切に助言を行ってまいります。

○石垣のりこ君
今回の想定によって、いろいろ変えなければならない、対応しなければならないところもあるということで。先ほど、ハザードマップに関しては、社会資本整備総合交付金、津波・高潮危機管理対策緊急事業ということで、今年度、令和4年度に改正されておりまして、ハザードマップの作成については総事業費のおおむね2割の上限というのが本来あったんですけれども、今回のこの法律に関わって想定が変わった場合、作り直しなどをしなければならない場合はその上限が撤廃されているということで、非常に使いやすくなっているというお声もいただいておりました、自治体の方からは。そして、今回の津波被害想定の算出にも関わってくると思うんですけれども、東日本大震災後、この地震観測に関してどのような整備が進められてきたか、お話しいただいていいでしょうか。

○政府参考人(原克彦君)
お答えいたします。文部科学省におきましては、東日本大震災を踏まえまして、東北地方太平洋沖においては日本海溝海底地震津波観測網、S-netと呼んでおりますけれども、これを整備し、津波等の観測データを各大学等における津波研究、あるいは気象庁における津波警報等に活用してきたところでございます。また、現在、南海トラフ地震の想定震源域である高知県沖から日向灘の海域には観測網の空白域があるということから、新たに南海トラフ海底地震津波観測網、こちらはN-netというふうに申しておりますけれども、それの整備を進めているところでございます。文部科学省といたしましては、今後も地震、津波による被害の軽減に資するよう、海底地震津波観測網を適切に整備、運用してまいりたいというふうに考えてございます。

○石垣のりこ君
今日は資料でご用意しませんでしたけれども、大分その観測地点の整備は進められてきているということで、ただ、まだ空白地帯は、令和5年度をめどに整備が一応完了する予定だという話を聞いておりますけれども、空白地帯もあるということで、この辺の整備も今後更に進めていかなければならないと思います。災害は忘れた頃にやってくるというような標語がございますけれども、忘れたどころか、近年は地震、震度6クラスの地震、毎年のように起きていますし、地震だけではなくて、やっぱり台風とか豪雨災害も頻発しております。これまで想定されていなかった地域で、また1時間当たりの雨量などもこれまでに経験したことのないというふうに警戒を促されるような、想定を超えたものが本当に多発しております。先ほども申し上げましたが、特に津波対策に関してもあれだけの法律があって様々な想定があってということで、もちろん備えておくのは大事なんですけれども、ちょっとあそこまで複雑になってしまうと、これやっぱり縦割り行政の弊害みたいなところもあると思うんですが、この辺の整備、これは災害救助法に関する法律の整備も含めて本当に今後大きな課題になっていくと思いますので、本当にそれは、さらに私自身も私自身の1つの課題として今後取り組んでいきたいと思います。今回の想定に関わる質問は以上でございます。 続いては、ALPS処理水について伺います。資料の5を御覧ください。「ALPS処理水について知ってほしい3つのこと」ということで、これ全国、全国のでしたっけね、各学校に送られたということでいっとき問題にもなりましたが、これをご覧になりながらでもいいんですけれども、まずは福島原発の事故に関して、汚染水対策、今、海洋放出が前提にしたものが進められておりますが、大臣が所信で、決して風評被害を生じさせないというふうにおっしゃっておりました。ALPS処理水を海外放出することで生じる風評被害というのを、大臣、どのように考えていらっしゃるか、まずはそこについて伺います。

○国務大臣(西銘恒三郎君)
東日本大震災に伴う原子力災害によって、放射線に関する誤った理解や安全性に対する不安などから、被災地の農林水産品に対する買い控え、被災地への観光客の減少といった風評被害が発生してきたものと認識をしております。ALPS処理水の処分に当たっても、地元などからは同様の風評被害が新たに発生することを懸念する声が上がっております。こうした風評被害を生じさせないため、政府一丸となって科学的根拠に基づく正確な情報の発信などに全力で取り組んでまいりたいと考えております。

○石垣のりこ君
風評被害を生じさせないための対策、もうちょっとより詳しくお話をいただければなと思いますが、もう少し説明していただいてもよろしいですか。

○国務大臣(西銘恒三郎君)
ALPS処理水の取扱いは先送りできない重要な課題であります。全国の方々の理解と協力が極めて重要だと認識をしております。復興庁としましても、関係省庁による風評対策タスクフォースにおきまして、ALPS処理水の処分に関する正確な情報の国内外への発信や、地域の方々と一体となった地域の魅力発信などを盛り込んだ情報発信等の施策パッケージを取りまとめたところであります。これらを踏まえまして、政府一丸となって情報の発信、決して風評影響を生じさせないという強い決意の下、徹底した情報発信などを風評対策で全力に取り組んでいるところであります。例えばYouTubeなどを使って、影響力のある方々を使って発信をしてみたり、そういう発信は、おさかなクンであったりあるいはお笑いの方であったり、様々発信をしておりますが、報告を受けているところですと、730万回ぐらいの何かヒットがあったということを報告を受けております。

○石垣のりこ君
ありがとうございます。福島原発事故に関することで、ちょっと風評被害という言葉が、本当にこれが適切であるかどうかと私はかなり割り切れない気持ちになるんですが、例えば大辞林によると、風評被害というのは、根拠のないうわさや臆測などで発生する経済的被害というふうに説明がなされております。果たして、原発事故に関して根拠のないうわさですとか臆測と言い切れることがどれだけあるだろうかと私自身も考えます。日本司法支援センター、法テラスのウエブページには、中間指針では、いわゆる風評被害という表現は、放射性物質等による危険が全くないのに消費者や取引先が危険性を心配して商品やサービスの購入、取引を回避する不安心理に起因する損害という意味で使われることもあると。しかしながら、少なくとも本件事故のような原子力事故に関して言えば、むしろ必ずしも科学的に明確でない放射性物質による汚染の危険を回避するための市場の拒絶反応によるものと考えるべきであり、したがって、このような回避行動が合理的と言える場合には、原子力損害として賠償の対象になると。このような理解をするならば、そもそも風評被害という表現自体を避けることが本来望ましいが、現時点でこれに代わる適切な表現は裁判実務上もいまだ示されていないと、このような見解が示されております。さらに、先ほど風評被害対策としてやっぱり安全性を理解していただくというような趣旨のご回答ございましたけども、復興庁のALPS処理水の安全性を理解してもらうために作ったチラシというのが冒頭で見てくださいと申し上げたものでございます。これ、全国の学校に送付して問題になった。このチラシを見て、私は、安全性を感じるよりも逆に不安を覚えました。なぜかというと、これチラシのタイトル、「ALPS処理水について知ってほしい3つのこと」と書かれています。その下には、3つのポイントについて、イラストで見てぱっとイメージできるように作られていると思います。本来であれば、これALPS処理水について書かれているんですけれども、1番、2番はトリチウムの説明ですよね。ALPS処理水とトリチウムとは何ぞやというその関係性が明らかになった上で説明がなされているのであればまだ分かるんですが、ALPS処理水とトリチウム、もしくはトリチウム水の関係性がどこに書かれているかというと、印刷が不鮮明で多分読めないと思います。皆さんの視力の問題ではなく、読めないと思いますので、次のページに大きく示しております。 ALPS処理水とは、トリチウム以外の放射性物質が安全に関する規制基準値を確実に下回るまで多核種除去施設等で浄化処理された水のことですって、こんなところにちっちゃくALPS処理水とトリチウムの関係性が書かれているわけなんですよ。ALPS処理水ってどういうものなのか。トリチウム、身の回りにたくさんありますって書かれています。トリチウムの健康への影響は心配ありませんと書かれております。で、飲んでいます、人が。イルカも口に入れて、循環をしているというふうに書かれていますけれども、ここに書かれているトリチウム及びトリチウム水は、ALPS処理水イコールではないですよね。これを見ると、もういかに飲んでも大丈夫なような印象を与えてしまうと。これどうですか。ALPS処理水とトリチウム水、どう違うか、私も言いましたけれども、はい、改めてご紹介というか、ご説明ください。

○政府参考人(由良英雄君)
お答え申し上げます。このご指摘をいただきましたチラシでは、水道水にも通常トリチウムが含まれており、そのトリチウムを含む水道水を飲んでも健康への影響が生じる心配がないことをイラストを用いて説明をいたしております。水道水とALPS処理水の違いに関して申し上げますと、WHO(世界保健機関)の飲料水基準は、1万ベクレル/リットルとされているところ、ALPS処理水はその基準の7分の1程度にまで薄めて放出する予定としております。また、トリチウム以外の放射性核種がALPS処理水の場合には含まれておりますけれども、これは、ALPS処理水は基準を、規制基準を十分に満たすまで浄化処理が行われておりますので、放出によって環境や人体への影響は考えられないというふうに考えてございます。以上でございます。

○石垣のりこ君
そうやって仮に口頭で説明して、いや、違うんですって言わないとですね、このALPS処理水について知ってほしい3つのことで、1番と2番のトリチウムに関して書かれていることがイコール、ALPS処理水にもイコールなんだというふうな認識の錯誤を招くような表現をなされていると、私自身はこれ非常に思います。だって、ALPS処理水そのものは、こうやって子供が飲むようなものでもないですよね、基本的に。海に放出されればイルカは口にするかもしれませんけれども、これ、男の子が飲んで推奨されるものでは決してないと思います。事故を起こして炉心溶融を起こした原発から排出される汚染水を専用の薬剤と装置でろ過して出てきたトリチウム水と、自然界に存在する、飲んでも問題のないようなトリチウム水、別物です。基準値以下の核種を度外視してトリチウムだけ見ても、濃度が全く違う、これも安全に水道水以下になっているというふうに書いてありますけれども、でも、これ、ALPS処理水は水道水じゃなくて海水ですよね。ALPS処理水は飲めるような、私たちの体にも存在するトリチウム水と同じであるという、これは非常に誤解を招くようなチラシなのではないでしょうか。学校に送る安全、安心どころか、このような広報活動を展開する政府に対して不信、不安が生じても、これ不思議ではないと私自身は思います。これ、トリチウムに対する不安以上に、やっぱり、残る多核種、これは不安がないとは言えません。これも本当に分からないところがたくさんありますので、幾ら基準値以下といっても本当に影響がないものなのかどうか、未知のところも多いと思います。それ以上に一番不安になるのが、ALPS処理水について知ってほしい3つのことで、学校にこういう資料を送ってしまう、間違った認識を誘導しかねないような資料を送ってしまう、私、政府の在り方、もうこれ復興庁の名前で出されていますから復興庁の責任大きいと思うんですけれども、復興庁の在り方にこそ、やっぱり風評被害と言うのであれば、それを誘導する、誘発する原因があるんじゃないんでしょうか。復興大臣、お答えください。

○国務大臣(西銘恒三郎君)
風評被害を生じさせないためには、科学的根拠に基づく正確な情報を分かりやすく丁寧に届けることが重要だと考えております。このため、ALPS処理水という専門性が高いテーマについて、安全性等に関する正しい情報を分かりやすく、できるだけ多くの方々に伝えられるようにという思いでこのチラシを作成したところであります。チラシには、ALPS処理水の安全性を正しく理解する上で必要な情報が盛り込まれているものと考えております。この2番目の図の子供が飲んでいるコップの水は飲料水の水ではあるんですけれども、ALPS処理水を飲んでいるというふうに誤解を与えないようにしないと、先生のお話を聞いていて、ここにこれは飲料水の水ですと書いた方が良かったなという思いは持ちました。このチラシを読むことで、広く誤った理解が生じるというふうには考えておりません。また、チラシだけでは説明し切れない更なる疑問などについても、ウエブサイトあるいは動画の配信等を通じて情報を提供しております。 引き続き、理解の醸成に向けて丁寧な説明に取り組んでまいりたいと考えております。

○石垣のりこ君
非常に残念なお答えですけれども、もちろん受取方によって違うと言ってそれぞれ個々の受取方に集約されてしまったらそんなお答えもあり得るかもしれませんけれども、やっぱりこれ、科学的根拠と実際どういうものであるかというのをイラストによって私は認識の誤りを導くものであるというふうに思います。やっぱりALPS処理水に関する丁寧な偽りのない情報開示も含めて、一定のリスクを引き受けざるを得ない現実というのがもしあるのであれば、ちゃんとそれを示した上で、福島原発の汚染水対策についてしっかり議論すべきであるということを申し上げて、私の質問を終わります。 ありがとうございました。