参議院 予算委員会公聴会

参議院 予算委員会公聴会で質問に立ちました。録画をぜひご視聴ください。
★Youtube録画 https://www.youtube.com/live/G0bSY7pYarY?feature=share&t=21244
★ツイキャスアーカイブ https://twitcasting.tv/norikorock2019/movie/761334600

令和五年三月九日(木曜日)
参議院予算委員会公聴会(未定稿)

◯石垣のりこ君
立憲民主・社民の石垣のりこです。どうぞよろしくお願いいたします。お二方、今日は貴重なお話、誠にありがとうございました。まず、鈴木公述人に伺います。先ほど、米中対立が「トゥキディデスの罠」に陥っているというお話がありました。その上で、ギャップ理論を用いてその中国の軍事、経済、技術の前進を止めるという考え方があると。この中に日本の今回のこの防衛費の倍増というのも一つ含まれてくると思うんです。こういう考え方も一つあるとは思うんですが、一方で、G7議長国としての日本の役割というところで示されました、グローバルサウスに対して日本はもう既にG7はマイノリティーであると、国際社会において、G7とG20 の橋渡しをしていく、取り込むのでもなく対立するのでもなく寄り添うことでG7を孤立させないという考え方が示されました。そういう点から考えると、日本が抑止力の向上という大義をもってこの防衛費を倍増していくというのが、ある意味、その米中対立、トゥキディデスの罠に対して火に油を注ぐようなことになり得るということも考えられると思うんですが、その辺、いかがでしょうか。

○公述人(鈴木一人君)
ご質問ありがとうございます。果たして日本のこの新しい安全保障戦略、それから防衛費の増額というのがどの程度この米中対立に影響があるのかということに関しては、何というんですか、数値的に測ることは難しいとは思うんですけれども、全体で見ますと、やはり米国の防衛費、それから中国の軍事費を全体から見ますと、日本は、日本のその防衛費の増額が果たしてどのくらいの大きなものになるのか。つまり、米中対立の中で、米中はもちろん、アメリカだけではなくて、日本も韓国も台湾ももちろん、トータルの構造の中でこのアメリカの拡大抑止というのが成立していますので、そういう意味では、中国から見ると、日本だけが防衛費を増やしているだけではなくて、アメリカの国防費の増額ですとか、アメリカの、何というんですかね、攻撃的なというか、中国に対して非常にいろんな形の圧力をかけていく方がより大きな問題であって、恐らく、全体で見ますと、日本のその防衛費の増額が、火に油を注ぐとはいってもですね、それほどの大きな効果があるのかと言われると、むしろ今までが少なかったものが増えた、中国からすれば、中国の水準にもまだ満たっていないというレベルの増え方なんだなというふうに見えるのではないかというふうに考えます。

○石垣のりこ君
ありがとうございます。どのくらい影響を与えるのかは確かに未知数なところはあるんですけれども、今回、今国会では、防衛費倍増、あとは安全保障政策の大転換について今国会で議論されておりますけれども、その議論をする前提におきまして、政府からは、GDP比の2%、5年で43兆円という予算規模が示されております。そのほか、これは予算に関してでありますが、その議論をする前提として、やっぱりこの情報の開示、議論をする前提に必要な情報の開示が非常に不足していると。まあ野党側から言わせていただくと、必要な情報が開示されないがゆえにこの予算の内容が適切であるか否かというのが審議されない、もう前提条件が崩れてしまっているというふうに私自身は認識しております。
その上で、両参考人に伺います。
予算審議に必要な情報開示のラインについて、鈴木参考人に関しましてはセキュリティークリアランスの有識者会議の委員であるとも認識しておりますけれども、これはあくまでももう少し個別の詳細におけるセキュリティー問題であると思いますけれども、そのような観点からもお話しいただきたいと思いますし、先ほど半田公述人に関しては国民の理解と協力を得られるかという点でお話しいただきましたので、両公述人から、その点から、どこまでその情報を開示できるかという点のある種基準であるとか物差しがありましたら、ぜひ教えていただきたいと思います。

○委員長(末松信介君)
鈴木先生から。

○公述人(鈴木一人君)
ありがとうございます。 情報の開示は、もちろん国会の中で審議する上で重要なことだと思います。ただ、同時に、防衛費、防衛に関するものは特定情報、機密情報にもなりますので、そうした意味でのこの開示がどこまでできるかというのは、それぞれの、例えば具体的な技術ですとか、その納入先、まあどこから買うかといったことも含めて、公開できるものとできないものというのがあるということは承知しているつもりです。 ただ、一般論として情報は開示すべきですけれども、可能な、提示できる情報の中で議論をする、その中で、特にやはり予算審議の場合は、大枠、何にお金をかけるべきなのか、どの程度かけるべきなのかということを定めていくことが非常に重要なことだと思いますので、そういう意味では、現在出されている情報が十分かどうかということは私は判断する立場にありませんけれども、しかし、今出ている情報でも十分議論はできるのかなというふうに私は理解しております。

○公述人(半田滋君)
情報開示については、まず運用面における情報開示というのもある程度必要であろうというふうに思います。それは、まさにこの通常国会において、例えば反撃能力の行使というのは着手で可能だという政府見解がありますが、「何が着手か」ということについて全く一切触れられていないと。さらに、反撃対象というのは敵基地だけなのか、それとも指揮統制機能等を含むのか、ここも全く示されていないわけですね。 例えば、平和安全法制ができる以前の安倍内閣のときでも必ずしも情報開示が十分だったとは思いませんけれども、安保法制懇の報告書を受けて、例えば集団的自衛権の行使の事例として、アメリカ軍の輸送艦に乗せられて日本に帰ってくる母子の絵を示して、こういった人たちを守ることができない、これでよいのかということを安倍首相は問いかけましたし、さらに、平和安全法制の議案が審議されているさなかには、その絵は出てこなくなりましたけれども、例えばペルシャ湾の機雷除去、これが集団的自衛権の唯一の事例だというようなことで、そういった運用面における例示というのもされてきたわけですね。それが今国会においては全くないと。3文書に書かれていない以上、この国会の場で開示を求める以外に国民が理解と協力を得る方法はないわけですけれども、そこに触れられていないというのは、これは極めて残念と言うほかないと。また、もう一つは費用対効果についてですね。先ほど公述いたしましたけれども、国産の3種類の新型ミサイルを開発を今進めるということです。これは3文書に書かれております。また同時に、ほぼ似た機能であるアメリカ製の巡航ミサイル、トマホークというのも購入するということが出てきていますね。そうすると、なぜ3種類の国産ミサイルやアメリカ製のトマホークが必要なのかと。どのような状況でどういうことが生起されると考えるからこういったミサイルが必要なんですという、そこの説明がないわけですよね。そうすると、その今回の3文書に書かれたこと、そして、今、国会で議論されている来年度予算における防衛費6兆8000億円というのは、本年度予算と比べると実に1兆4000億円も増えるわけです。こういった増額の理由というものが見えない。したがって、国民の協力と理解を得るというような機会を政府は残念ながら自ら放棄していると言わざるを得ないということだと思います。

○石垣のりこ君
ありがとうございます。午前中の公述人であります片岡剛士氏のお話の中に、富国強兵の富国なしの防衛費拡大は亡国への道であるというお話がありました。日本国憲法を頂くわが国において、強兵自体をどういうふうに考えていくかという議論はあると思いますけれども、日本は二十年来、経済成長率、G7でも最低ですし、ほぼ横ばいという経済状況の中で、この防衛費の倍増、5年で43兆円というこの防衛政策に関してどのように捉えるべきかというところで、お二人から一言ずついただきたいと思います。

○公述人(鈴木一人君)
ありがとうございます。富国なくしてというか、もう既に日本は経済成長を1970年代までに大きく成し遂げ、そして豊かな国の一部になったわけで、であるからこそ、今、G7というこのいわゆる先進国クラブの中に入っているわけですから、そういう意味では、これから延々と経済成長が続くということも期待できないと思いますし、おっしゃるとおり、過去20年経済成長がなかなか上がっていかないという点では問題というか、問題視されるべきであろうとは思いますが、それと多分、今我々が直面しているこの安全保障環境の変化ということとはまた別の問題なのではないかというふうに思っております。日本が経済成長していようがしまいが、今世界が先ほど私が説明したように大きく変わっている中で、何をしなければならないかということを判断すると、やはり今、これまでのような防衛のあり方で十分な防衛が可能なのか、特に中国、北朝鮮、ロシアという戦略的なライバルに囲まれた中でこうした安全保障に対する備えをどうやって進めていくのかということの中で、今こうした防衛費の増額というのが議論されているものだと理解しております。

○委員長(末松信介君)
半田公述人、時間が迫っておりますので、できましたら簡潔にお願い申し上げます。

○公述人(半田滋君)
はい。確かに、ロシアへのウクライナ侵攻という大国による侵略行為があったのは事実です。これにより国民の不安な気持ちが高まったということも事実だと思いますが、直接わが国の周辺でいえば、例えば北朝鮮、例えば中国、これらの国々が果たして脅威というふうに断言できるんだろうかというふうに私は考えます。脅威というのは意思と能力の掛け算ですね。両国がこれを両方併せ持っているのかということもちゃんと緻密に考えた上で、そしてやはり防衛費というのは積み上げ方式によらなければいけないと。つかみ金のような枠を与えるから好きにしなさいというものでは到底国民の理解と協力は得られない、そんなふうに思います。

○委員長(末松信介君)
ご協力ありがとうございました。

○石垣のりこ君
ありがとうございました。