参議院 農林水産委員会
参議院 農林水産委員会で質問に立ちました。録画をぜひご視聴ください。
★Youtube録画 https://www.youtube.com/live/Nph2lJZffBs?feature=share&t=1822
★ツイキャスアーカイブ https://twitcasting.tv/norikorock2019/movie/764335663
令和五年四月十三日(木曜日)
参議院農水委員会(未定稿)
○石垣のりこ君
立憲民主・社民の石垣のりこです。
会派を代表して質問させていただきます。さて、現在、農政の憲法と言われる食料・農業・農村基本計画の見直しが行われております。基本法の検証部会では、毎回テーマごとに多くの資料が配られておりまして、非常に多様な統計データが活用されております。本日は、あらゆる政策を裏付ける資料として非常に重要な統計データの観点から質問をしてまいります。
まず、大臣、この統計に関して、特に農林水産大臣としては農林統計ということになると思いますけれども、この重要性についてどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(野村哲郎君)
石垣委員にお答え申し上げますが、最近、農林水産省の統計の仕方についていろんなことが報道されました。この統計について大変関心を持っていただいたのは有り難いことだったなと、こんなふうに思っておりますが、この統計は、農林水産政策の目標設定とそれから評価、それから農産物の需給安定対策等の発動基準、あるいはまた経営安定対策等の算定根拠等に活用されておりまして、必要不可欠なものだと、こういう認識をいたしております。また、地方自治体等の関係機関、団体の活動や学術研究など、国民の公共財として広く活用される社会の重要な情報基盤というふうに認識をいたしております。
○石垣のりこ君
今、野村大臣からも非常に重要なものであるという認識を示していただいたと思うんですが、でも実際に、じゃ、大事にちゃんと認識されて、それが、統計がしっかりと国家の基本として取られているのかどうかということを具体的な数字から見ていきたいと思います。
農水省本省と地方農政局の統計関係職員の推移について伺います。特に、ここ20年ぐらいの流れ、全部言っていただくと時間がもういくらでもかかってしまいますので、2000年から10年ごとと最新の数字をお願いします。
○政府参考人(山田英也君)
お答え申し上げます。
農林水産省の統計職員につきまして、各年度末の定員の数で捉えさせていただきますと、2000年は、本省371人、地方5527人、2010年は、本省291人、地方2374人、2020年は、本省245人、地方1258人、最新年、2022年は、本省249人、地方1040人となってございます。
○石垣のりこ君
ということで、皆さん、お手元の資料①をご覧いただきますと、一覧がございます。このように、およそ20年で本省では3分の2、地方ではおよそ5分の1ぐらいに、もうぐんとこの統計に関わる職員が減らされているという
現実がございます。
その上で更に伺いますが、2000年以降、特に直近でですね、2000年以降から直近で廃止された農林水産省の一般統計の数、そして、新規統計、新しくできた統計の数をご紹介ください。
○政府参考人(山田英也君)
お答え申し上げます。
農林水産省の一般統計調査におきまして、2000年、平成12年でございますけれども、以降に廃止された調査の数で申しますと26、そして新設された調査の数で申しますと7というふうになってございます。
○石垣のりこ君
中でも、廃止された農林水産省統計のリスト、26リスト、こちらを資料②として皆様のところにお届けしておりますけれども、ここから更に新しくできたもの、2000年以降が7つということでご紹介をいただきました。
もちろん、こちらのリストに載っているもの全てがこれを廃止してはいけなかったということではないと思うんですが、数としては具体的にこれだけ廃止されているということがご覧いただけると思います。で、これ統計の人員削減、これだけ削減されて、統計、農林統計に影響というのは出ていないのかどうか、大臣、いかがお考えでしょうか。
○国務大臣(野村哲郎君)
今、石垣委員からご指摘がありまして、またこの表が出ておりますが、農林水産省の統計の職員数につきましては、これは全体に関わる話でありまして、国の行政機関のスリム化の一環として累次の合理化が図られてきたものと認識をいたしております。ただ、頭数がこれでは足らないということもありまして、農水省としては職員による対応と組合せをしまして、1つは、これは統計調査員、これは非常勤の国家公務員でありますが、非常勤のこの統計調査員の活用をして民間委託の推進によります、1つはアウトソーシング、外部化であります。それからもう1つは、やはりこれは、やっぱり今どきのやり方なんですが、人工衛星データの活用による調査技術の高度化、これがあります。それからもう1つは、行政情報の活用による効率化を図ってきたところでありまして、この人数が減っておりますところをいろんな形でカバーしながら統計のその正確性、あるいはまた迅速性について対応しているところでございまして、このような取り組みを今後も進めまして、ニーズに対応した適正な品質が確保された統計を作成するように留意してまいりたいと思っております。
○石垣のりこ君
さまざまな、職員が減った分、様々な対応をされて何とかそこを補おうとされているという努力というのももちろんあるんだと思います。また、時代とともに精査されてなくなる統計というのももちろんあるということは承知しているんですけれども、しかしながら、やはり、あらゆる政策、先ほど冒頭に大臣お答えいただきましたけれども、非常にこの統計のデータ、数字を基にいろんなことが決められて、また政策評価もなされるということで、本来国が責任を持って対応すべき統計に問題が出ていないかというと、これは非常にそうは言い切れないと。むしろ非常に問題を抱えながら対応しているのではないかということを一例をもって伺っていきたいと思います。これ、前国会でも問題になりましたけれども、廃止方針が撤回をされました農林水産省所管の基幹統計、農林業センサスにおける農山村地域調査のうち農業集落調査について伺っていきます。昨年11月1日の参議院農林水産委員会で本委員会の舟山委員からの、廃止が検討されるに至った理由についての質問に対し、農林水産省からは、個人情報保護条例の関係で非常に難しくなった、前回、2020年の農林業センサスにおいて、およそ14万集落のうちおよそ5万集落で調査対象となる集落精通者を把握できなくなったことが主な理由であると答弁されておりますが、この点、間違いないでしょうか。
○政府参考人(山田英也君)
お答え申し上げます。
石垣委員ご指摘のとおりでございます。昨年11月1日の参議院農林水産委員会におきまして、政府参考人の答弁でございますけれども、2020年農林業センサスにおきまして、集落精通者を把握することが個人情報保護条例の関係で非常に難しくなったこと、それから約14万の農業集落のうち約5万集落で集落精通者を把握できなかった旨をお答え申し上げたところでございます。
○石垣のりこ君
農林業センサスの調査というのは5年ごとですけれども、では、2020年以前のセンサスの調査では、先ほどのような状況というか、個人情報保護条例によって非常に把握しづらいというような状況というのはなかったんでし
ょうか。
○政府参考人(山田英也君)
お答え申し上げます。
この農業集落調査でございますけれども、従前から地方公共団体のご協力をいただきまして集落精通者を把握してきたところでございますけれども、委員のご指摘ありましたとおり、個人情報保護意識の高まりなどにより、2020年より前の調査でもこの集落精通者の把握が困難という状況は生じていたところでございます。これまでさまざまな方法でご努力を、ご協力をいただきまして調査の努力をしてまいりましたが、2020年調査では、今お話ありましたとおり、約14万の集落のうち5万集落におきまして精通者を把握できないというような事態となったところでございます。
○石垣のりこ君
14万のうち5万で把握できなくなった、その理由が個人情報保護条例の壁に阻まれたというご答弁なんですけれども、本当にその個人情報保護条例だけなのか。もちろん、皆さんの意識の高まりがあって出しづらくなったということがないとはもちろん申し上げないんですけれども、この理由に関してやはり、冒頭でも申し上げましたように、この職員数の大幅な削減というのが影響しているのではないだろうかというふうに私は考えました。
実際に、これ昨年の7月28日に行われました第1回2025年農林業センサス研究会の議事録にはこのようにあります。委員の竹田委員からの、農業集落調査の廃止に関するご意見に対して、清水センサス統計室長がこのように答えています。やめざるを得なくなった理由が2つございまして、これまで地方農政局の支局というものが各都道府県にあって、そこに統計調査の国の職員がいましたので、そこで調査をやってきたのですが、その職員がいなくなるという調査実施者側の問題が1つと回答されています。もう1つは、個人情報保護の観点から我々には情報を提供してもらえないということがあり、そこが設定しづらいと、この2つの理由を大きく挙げているんです。
さらには、今年2月21日に開催されました、第5回、同じく2025年の農林業センサス研究会で配付の資料、2020年農林業センサスにおける農業集落精通者の把握状況の資料によれば、集落調査が継続困難な理由としまして、地方農政局職員による対応が困難な状況ということで職員の減少数を部分的に示して理由とされていらっしゃいます。これ事実確認として伺いたいんですけれども、これ、職員が減ったことによって調査の継続が困難になったということは、これ大きな理由なんじゃないでしょうか。お答えいただけますか。
○政府参考人(山田英也君)
お答え申し上げます。
職員数の減少ということにつきましても、委員ご指摘ございました農林業センサス研究会についてご説明を申し上げたところでございます。これまでは、そのような職員数、職員の足で稼ぐような形で何とか調査をさせていただいたということはございます。しかしながら、この14万のうち5万というような、この調査の精通者を把握できないというような事態に至ったことを踏まえまして、次回、2025年の調査でございますけれども、より確実に集落精通者を選定できる方法に変更した方がいいんではないかというふうに私ども判断させていただきまして、農林水産省が把握している農林業経営体等の名簿の中から市町村に自治会長等の代表者をご教示いただくと、こういう方法でより確実に把握し調査をするという方法に変更させていただきたい、こういうふうに方針を定めておるところでございます。
○国務大臣(野村哲郎君)
今、石垣委員の方からありましたが、この職員の減少のみで我々はこれを変更しようとしたわけでありまして、実は、その大変個人情報の問題もあるということで、5万件のこの情報がなかなか取りにくいというような実態もありました。したがいまして、じゃ、どうするかということで、ほかの統計、いわゆるこのセンサスで取っているほかの統計で活用できるものは活用しようというようなことを考えて、一応この統計については廃止しようかということでお出ししましたら、いろんな研究者の方々から不平といいますか、評判が悪くなりまして、見直しをいたしました。ですから、今回続けるんですが、ただ、やっぱり、なかなかそれを引き受けてくれる集落のリーダーがいらっしゃらないということがもう1つあります。ですから、これはまた個人情報との関連で人のことをあんまり書けないよというようなこともあったものですから、じゃ、そこは、なっていただける人を、役場の方とも話をしながら、そして適切な人を選定してやり直そうということで、学識経験者の皆さん方からもそれならばよかろうということで理解をいただいて、継続するということになったわけでありますが、当初は人手不足だけでということではありませんで、先ほどおっしゃいました、委員の中でまあ3つぐらい理由があったわけでありますが、そういうことが重なりまして、これはまた。
もう1つは、あまり表に出ておりませんが、利活用の問題。じゃ、この統計でどういう活用をされておるかというのがあるわけですよ。今まで二十幾つ廃止されたというのは、あんまり活用されていないんじゃないかというのがありまして、その利活用との程度の問題もありまして、この集落調査につきましては、じゃ、今回やめようじゃないかということを内部では検討したわけでありまして、まあちょっとこれは勇み足だったなということを私自身も反省いたしております。
○石垣のりこ君
もちろん、個人情報の保護条例の問題もあったと思いますし、集落の状況が変わってリーダーが誰か分からないような状況も出てきていると、もしくはもう人がいなくなっているという状況はもちろんあると思うんです。ただ、大きな理由として、センサス室長がですよ、人がいなくなったことが非常に大きいという、2つの柱のうちの1つとして、その研究会の委員の皆さんにお話をされているわけです。これは非常にやっぱり大きな理由の1つであったと思わざるを得ないわけですよね。実際大きな影響も出ていると思いますし、あとは利活用に関して申し上げると、これはもちろん省庁内でどのように活用されているかという、省庁をまたいだ活用の把握というのはされていると。あとは、政府とつながりの深いようなところではこういうものを使っているという調査は把握しやすいと思うんですけども、やはり民間の大学の研究者の方であるとか、幅広くどのように使われているかということに関しては、廃止を決定した後にようやく話を聞いて、あちらでも使われていた、こちらでも使われていたということが把握されたわけですよ。で、1200人を超える研究者の方の署名が集まって、今回このような異例の廃止方針の撤回ということに至ったということですので、もう少し、やっぱりちゃんと現場へどのようにこの調査が活用されているか、ましてや、これは60年を超える歴史のある調査であるということも皆様ご承知のことだと思います。なお、この農業集落調査に関して、法政大学の平田英明教授、統計の専門でもいらっしゃいますけども、今後も負担やコスト削減の点から調査の簡略化が検討される中で、統計の量と質が保てるかが課題であるとした上で、統計を従来のように作っていくのが難しくなっているからこそ、作る側の行政と、研究者ら使う側が議論する場がこれまで以上に重要になるというふうに指摘をされています。どうしても、どの業界も人が少なくなっていて、スリム化しなきゃいけないということはあると思うんですが、やはりこれ、安易に物事を決め過ぎたのではないだろうかということは指摘せざるを得ないと私は考えております。その上、個人情報保護条例に阻まれてという話がありましたが、今日、内閣府の個人情報保護委員会の方にお越しいただいております。
本年度、今月です、4月1日から、各自治体の個人情報保護条例は個人情報保護法の対象になったということで変わっております。ここで、農水省が自ら行う調査、特にこれ基幹統計です、調査に関して、個人情報保護法上の個人情報の取扱いの対象の整理、ぜひともこういう調査に関してはご協力をいただくというような、そういう整理ですよね、ついて、内閣府としては何らかの助言というのを行うことは可能なのか、ご答弁いただけますでしょうか。
○政府参考人(山澄克君)
お答え申し上げます。
一般論といたしましてですが、個人情報保護法におきましては、行政機関の長が保有個人情報を第三者に提供する際には、原則として利用目的の範囲内で行うということになっておるんですけれども、法令上の別途の根拠がある場合ですとか、提供先の行政機関において法令の定める事務又は業務の遂行に必要な限度で当該情報を利用し、かつ、当該利用について相当の理由があるというような場合などは、その例外ということで提供することができるというのが一般論としての法律でございます。また、個人情報等を取り扱うに当たりましては、政策目的に照らしまして個人情報等の取扱いが必要最小限の範囲であるのか、安全管理が必要かつ適切になされているかといった点も重要な観点でございます。
いずれにいたしましても、この本日議論になっております調査に関しまして農林水産省から個人情報保護法上の整理に関してご相談ありました場合には、私どもといたしまして、今申し上げましたような観点を中心に必要な検討を共に進めてまいりたいと考えてございます。
○石垣のりこ君
今、必要な検討を共に進めてまいりたいということで、ぜひともこういうのも働きかけが、お互いのちゃんと理解を深めていく必要があると思いますので、ぜひともこの辺の整理をしていただいて、個人情報をしっかりと守っていくということをもちろん大前提にした上で、より協力をしていただける体制づくりをしていくべきではないかと。その上で、情報の取扱いの安全性、確実性ということの話がありましたが、やはり地域にお互いの顔が見える、分かる関係の職員が一定数いるということがその信頼の醸成にもつながると思います。そういう意味で、ここまで20年で5分の1以上地域の統計に関わる職員の方たちが少なくなっているというのは、やはりこれ、やっぱりこういう調査を進めていく上でも、信頼関係の中でお話しいただけることというのも多分あると思うんですね。こういうところにやっぱり影響をしているのではないかと。これは農水省だけの問題ではなくて、国としての統計をどういうふうに考えるかという大きな話の中でもありますので、野村大臣お一人で決めることではないとは思うんですが、非常に、この統計の部分が揺らいでしまいますと、ありとあらゆる政策の立案で問題がやっぱり出てくると私は思いますので、ぜひとも、この個人情報保護条例に関しても、各自治体がご協力いただけるような体制をつくるために、今後、前向きに取り組んでいただくことはできますでしょうか。
○国務大臣(野村哲郎君)
個人情報との関連で申し上げますと、農水省のもちろんこの業務に携わっている人たちが直接行きますけれど、その人を選定してもらうのは役場の人たちにお願いをしておりました。その役場の人たちが、個人情報の問題だから我々は選定できませんと、こういう話だったんですよ。だから、我々がこの廃止をしていこうという、ほかのものに変えていこうとしたのは、個人情報の話をしたわけでありますけれども、その個人情報というのは、さっきお話がありましたように、実際にその役場の人たちが、集落の誰に頼めばこのことはよく分かっているからという、その話をしに行ったところが、なかなかこれは個人情報だからできませんということで、役場のところでこれはストップしてしまったと。これ以上はもうできませんというのが言わば農水省側の言い方だったんですが。しかし、そこはみんなで知恵を出せばいいじゃないかということで、先生たちにも集まっていただきまして研究会を設置して、そしてどの方法がいいのかと。それは、もう選定については集落精通者の選定方法を見直せばいいじゃないかということで、今現在それで進んでいるわけでありますから、ようやくそういった形で今後継続できると。今までは、もう大体決めて、あの人に、例えば集落の区長さんに頼めばいいじゃないかということなんかが、充て職みたいな形で頼んでいたのが難しくなってきたと。それで、今回からこの選定を変えようということで今話が付いたところでございます。
○石垣のりこ君
現場で自治体の担当の方としっかりとコミュニケーションを取っていただいて、ちゃんと理解をしていただくというのももちろん重要なことだということは申し上げましたけれども、いや、そこの個人情報保護条例を盾に、役所
の方が、いや、情報は出せないということを、ご本人に確認もすることがあったかもしれないし、なかったかもしれない、その辺分かりません、を盾に、単純にもうしゃくし定規に駄目だというようなことがないように、今回、4月1日から自治体もその対象に、個人情報保護法の中に自治体、行政も入っていますので、何らかの形でいい方向に協力いただけるような調整をしていただくことの方が今後調査を進めていく上で非常にいい後押しができるのではないだろうかということを申し上げたので、ぜひとも内閣府の個人情報保護委員会の皆さんと話をしていただきたいんですけどどうですかということを野村大臣に伺ったんです、私は。
ちょっと時間がなくなるので、ぜひともご検討を、前向きにご検討をいただきたいなということを申し上げて、次の質問に行きたいと思います。
このように、先ほどからこの職員の数というのを、全て数がということではないですが、明らかにやっぱり減り過ぎだなというのがこの数字を見て皆さんが抱く印象ではないかと思います。この統計の情報の正確さということに関してなんですが、農業統計から農業を支える人々についてお尋ねしたいと思います。
総務省の労働力調査によれば、農業労働力は、2000年には297万人、10年後の2010年には237万人、2021年には195万人と減少傾向にございます。また、労働力、農業労働、ああ、基幹的農業従事者の数、これは資料の③にございますが、2010年で205万人、2015年で176万人、2020年には136万人と減少して、高齢化が顕著になっているということなんですけれども、大臣、これ、将来にわたって農業生産を維持するために、人材の確保についてどのようにお考えか、ご見解をお願いいたします。
○国務大臣(野村哲郎君)
大変重要な問題でございまして、農業者が減少している、あるいは高齢化が進んでいる、こういう中にあって、将来、食料なりあるいはまた農業を安定的に営んでいくためには、生産を支える担い手がしっかりとやっぱり育成、確保していかなければなりません。
このために、令和5年度予算においては、就農に向けた研修資金あるいは経営開始資金、雇用就農促進のための資金の交付、あるいはまた経営発展のための機械、施設等の導入、それから3つ目に、研修農場の整備あるいは先輩農業者による技術指導など地域におけるサポート体制の充実、それから4つ目が、農業大学校あるいは農業高校に対する農業教育の高度化の取り組みを引き続き支援することといたしておるところでございます。また、これに加えまして、幅広い世代の農業人材を地域に呼び込むための社会人向け農業研修等の取り組みについて新たに支援することといたしております。これらの総合的な取り組みによりまして、農業を担う人材の育成確保を一層推進してまいりたいと思っております。
○石垣のりこ君
もちろん人の確保のために様々な施策が打たれているということはご承知のことかと、皆様もご承知のことかと思いますし、私もさまざまなその施策を見ておりますけれども、じゃ、どのぐらい成果が上がっているかというところで、地域の活力創造プランにおける、2023年、40代以下の農業従事者を40万人に拡大するという目標が立てられておりますけれども、最新の状況、およそ5年間の推移についてご紹介いただけますでしょうか。
○政府参考人(村井正親君)
お答えいたします。
今委員からご指摘ございましたように、地域の活力創造プランにおいて40代以下の農業従事者の拡大目標を掲げております。直近、令和3年の数字で申しますと、22万6000人ということでございます。5年間の推移ということで申しますと、平成、これですね、今から申し上げます数字、実はそれぞれベースとなっている統計なり、その統計を基にした推計というような数字が混在をしますので、若干、ちょっと比較というところで申しますと非常に数字、見づらい数字になってしまいますけれども、まず平成29年から31年の数字、これは平成27年のセンサスをベースにして推計した数値ということになりますけれども、その数値で申しますと、29年32万6000人、平成29年で32万6000人、平成30年で33万4000人、平成31年で33万9000人という数字になります。で、令和2年で申しますと、この令和2年のセンサスがございます。このセンサスで少しちょっと数字がかなり下がったというような形になっておるんですけれども、令和2年が22万7000人、令和3年は、これは今ご紹介をした数字、令和3年の農業構造動態調査の数字になりますけれども、この数字で22万6000人ということになっております。
○石垣のりこ君
こういう目標を掲げて、じゃ、今どういう状況にあるのかという、把握する数字がこれだけの結構大ざっぱなものというのか、推計で5年の間に10万人ぐらい差が出てしまうという物すごい数字なわけですね。少なくとも、40万人達成する、40代以下、40万人達成するという目標を2023年に掲げていて、最新の数字が、2021年、令和3年の22.6万人ということですから、目標にはまだまだ程遠い状況だということは辛うじて分かったかと思います。
すみません、時間の関係上、少し飛ばさせていただいて、こちら、資料、皆様のお手元ですと資料の⑥になりますが、さらに、今後より力を入れていかなければならない農業就業者のうち、雇用者、雇用者の動向についてもちょっと分からない点があるんですね。農水省が食料・農業・農村政策審議会の基本法検証部会で配付している資料でも、また、農業経営をめぐる情勢についての資料としても、まあいろんな資料に使われているものなんですけど、この資料⑥、農業分野における雇用者数の推移においてと、推移というデータがございます。農業就業者のうち雇用者の動向と農業就業者全体の動向というのが示されているわけなんですけれども、これ総務省の労働力調査でございますが、農業就業者のうち、この上の方の図です、雇用者の動向についてまずは簡単にご説明いただいていいでしょうか。
○政府参考人(村井正親君)
お答え申し上げます。
まずは労働力調査の関係ということでよろしいですね。総務省の労働力調査におきます常雇いの雇用者につきましては、平成12年22万人であったところ、令和2年には37万人となっております。なお、直近5年の動向で申し上げますと、横ばい傾向で推移をしているところでございます。
○石垣のりこ君
常雇いは横ばいになっているんですけれども、この全体のグラフ自体は一応増加傾向にあると、近年は常雇いに関しては横ばいであるという数字が出ているわけなんですけれども。一方、この資料の⑦にございます、この農林業
センサスにおける平成27年、2015年と令和2年、2020年のセンサスにおける常雇いの数字についてご紹介いただいていいですか、動向について。
○政府参考人(村井正親君)
お答え申し上げます。
平成27年、それから令和2年の農林業センサスにおける常雇い数につきましては、平成27年には22万人であったところ、令和2年には15万7000人となっております。
○石垣のりこ君
資料を見ていただけると分かるんですけど、常雇いの方も減っているんですよね。これ総務省の資料ですと横ばいになっているんですけれども、これ常雇いの方はセンサスを見ると6万3000人減っていると。これ、傾向が分かれているということなんですけど、この乖離をどのように解したらいいのか、ご説明お願いします。
○政府参考人(村井正親君)
お答え申し上げます。
農業経営体の常雇いの数につきましては、今ご指摘ございましたように、総務省の労働力調査と農林水産省の農林業センサスでは調査手法あるいはその調査の対象が異なることから、調査結果が異なって出てきているというふうに考えておるところでございます。
具体的には、労働力調査は毎年把握される標本調査である一方、農林業センサスは5年に一度把握される悉皆調査であるということ、それから、労働力調査の対象は、常雇いの中に役員や有給の世帯員を含み、かつ1年を超える期間で雇われている者を対象としている一方、農林業センサスは、役員や世帯員を含まず、かつ7か月以上の期間で雇われている者を対象としているなどの違いがあるということでございます。
ただ、いずれにいたしましても、どちらの調査によっても、農業就業者全体は減少傾向で推移をしてきたということには違いないというふうに我々認識しております。今後も我が国の人口減少が確実に見込まれる中、農業従事者の数も大幅に減少していくことが見込まれます。少ない農業従事者でも農業生産をしっかりと維持拡大できる農業構造を実現していくことが重要であり、本年6月の新たな施策の展開方向の取りまとめに向けてしっかり議論をしていきたいと考えてございます。
○石垣のりこ君
一応ご説明はいただいたんですけれども、結局、センサスは非常に重要だ、いろんな統計の、農林業統計の基本になる、5年に一度ではあるけれども、悉皆調査で非常に重要なものだというところに示されているものと、今回、
食料・農業・農村基本計画の様々な今後の農政の憲法と言われるものを審議しているところには、こういう総務省の労働力調査の結果が出されていて、横ばいになっているという数字が示されているわけです。何を基本に何を見て政策を決定していくのかということが、私、すみません、調べれば調べるほど本当に分からなくなりまして、今日このような質問をさせていただきました。これ、一体どの部分の農業に携わる方たちを増やしていこうとして、それに対してどういう政策をしていくかということが、多分、定義と概念とが、もちろん個別にさまざまあることは分かりますけれども、あまりにもばらばらで、その場しのぎで、ちょっとご都合よく使われ過ぎているんじゃないかという私は懸念を持ちましたので、大臣、ここしっかりと、やっぱり限られた、非常に、もっともっと私はこれ農林水産業に予算かけていいと思っているんですけれども、せいぜい3兆円程度じゃないですか、全体の、今年は104兆円の予算が組まれた中で3兆円ですよ。もっと食料安全保障、食べるものがなかったら私たち死んでしまうわけですから、しっかりと一次産業支えていくためにもっとお金かけなきゃいけないのに、政策の方向性が、そもそも判断するものがちょっと変わっていたりとか、ちょっとこれ信用に足りるものになり得ていないということに本当に私、懸念を感じます。
大臣、この統計調査の点で、しっかりと力を入れて取り組んでいただきたいと思うんですが、お考えを最後にお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(野村哲郎君)
石垣委員から大変有効な指摘をいただきました。いいところ取りじゃありませんけれども、いろんな統計の数字だけを使って皆さん方にお示しするというのは、これはやっぱり不親切だなというふうに思います。だから、きちっとやっぱり、そのセンサスを自分のところでやっているわけですから、センサスをベースにやるとか、あるいは、ここの部分はセンサスの中にないんで統計情報から取りますとか、総務省の方からの資料でやりますとか、やはりそこの仕分けをしておかないと、いいところ取りみたいでつまみ食いをするようなふうに見えておられるんじゃないかなと思うんですが、これは、あまりいい数字が出ていないんで、いい数字を出そうと思って意図的にやっているわけじゃありませんので、これから気をつけたいと思います。私もちょっと監視してみたいと思います。
○石垣のりこ君
ぜひとも注視していただきたいと思います。
かつ、やはり、郵送で突然送られてきて、それにちゃんと答えていただけるかというと、なかなか難しい調査もたくさんあると思いますので、お互いのちゃんと関係性がわかる中で、機械的にやれないからこそ、よりその実態を表した信頼の置ける統計というものができるんだということで、やっぱり現場の人の力、そこをやっぱり、その統計の専門性ということに非常に敬意を持って今後とも農林水産省としても取り組んでいただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。
ありがとうございました。