参議院 本会議

11月17日 参議院 本会議で登壇
★2023年11月17日 参議院 で登壇しました。ぜひ録画をご視聴ください。 
Youtube録画 https://www.youtube.com/live/EjiSftdu5oM?si=ynJ5UGwjwK7PjUci&t=1613

立憲民主・社民の石垣のりこです。 会派を代表し、国家公務員一般職の給与法改正案に賛成、特別職の給与法改正案には反対の立場から討論いたします。
憲法第15条第2項は、「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。」と定めています。(使命感と倫理観及び職務にふさわしい能力をもって)国民、日本に住むすべての人々のために職務に当たるべき基本的責務を有する公務員が、生活の不安なく職務を遂行できるに十分な給与が保障される事は、国民生活の維持・安定、また質の向上にとっても必要不可欠です。
しかしながら、特に小泉政権以降の行政改革によって、自治体や省庁では人員削減が著しく、近年はコロ ナ禍も追い打ちをかけ、現場は疲弊しています。実際、約20年前、小泉改革以降の2002年度と2022年度を比較すると、地方公務員の数は322万人から280万6千人と約13%の減少、国家公務員に至っては、111万4千人から58万9千人と約53%=約半数まで大幅に減少しています。人口1000人あたりの公的部門における職員数の国際比較では、フランスが90人、イギリスは68人、アメリカ64人、ドイツが60人であるのに対し、日本は37人です。どのような仕事であれ作業効率をあげ、生産性を高めることは必要ですが、公務員の仕事は、必ずしも生産性や効率性を最優先にできないからこそ「公=行政」が担う業務であるはずです。岸田総理は所信表明演説で、「コストカット経済からの歴史的転換をはかる」と述べられましたが、行き過ぎたコストカット経済を推し進め、行政の現場を疲弊させてきたのは、まさに岸田総理を産んだ自民党政権であり、まずは、その反省から始めるべきではないですか。
また、政府は声高にデジタル化による行政の効率化を叫びます。しかし、マイナ保険証の混乱に象徴されるように、現場を顧みないデジタル化を推し進めた結果、業務量は減るどころか、むしろ現場に余計な負担を強いているのが実情です。デジタル化が悪いのではありません。一部の業者や関係者だけが過剰な利益を被るような制度設計で進められるデジタル化によって、政府が「一部の奉仕者に成り下がり、全体の奉仕者ではなく」なってしまっているのが問題なのです。  今後、行政需要は、より一層、高度化・多様化・複雑化すると予想されており、社会情勢の変化に対応できる優秀で多様な人材の確保がますます必要になります。しかしながら、かつては人気の職業のトップクラスだった公務員は、少子化の影響を考慮しても、公務員受験者数の減少に歯止めがかかっていません。国家公務員総合職において、2012年度に2万5110人だった受験者数は、2021年度に過去最低の1万7411人に、コロナ禍の影響から昨年度はいったん増加に転じたものの、今年度は1万8386人と低い水準が続いています。  総務省「地方公共団体の勤務条件等に関する調査結果の概要」等によれば、地方公共団体における受験者数は、2011年度の約61万9千人から、2019年には約44万人と約3割減少し、2020年度に46万9千人と、やや回復傾向が見られたものの、受験者数の下げ止まりの傾向は中途採用試験の増加など採用形態の変化によるところが大きいと分析されています。実際、翌2021年度には46万5千人と再び減少に転じてしまいました。さらに、公務員は民間企業に比べて離職率こそ低いものの、民間の離職率の変遷が横ばいであるのに対して公務員は増加傾向にあります。それはそうでしょう、「行政文書」を「捏造した」と自らの責任を部下に押し付けるような大臣の下では、真面目な職員であればあるほど、職務を継続することが難しくなってしまうことは想像に難くありません。  こうした逆境というべき現状であっても、全体の奉仕者として、使命感をもって行政を支える自治体や省庁の現場で働く職員の皆さんの給与を、民間と同じように引き上げることは当然のことであり、賛成です。そして、本来であるならば、特別職も公務員として全体の奉仕者たることには違いはなく、特別職の給与も同様に上げて然るべきでありましょう。しかしながら、今回、総理大臣はじめ政務三役が該当する特別職に関しては異議を申し立てないわけにはまいりません。
目下の経済状況を鑑みれば、物価の上昇率は、第二次オイルショック以来の伸び率を記録し、「物価高」という言葉を耳にしない日はなく、食品をはじめ生活必需品から電気・ガス、ガソリン代と、今、生きるために必要なものがどんどん値上がりしています。ところが、物価高対策として政府がようやく示した4万円減税はいつ届くのでしょうか?来年ですか?再来年ですか? そもそも、「税の増収分」を還元、とした減税政策は、財務大臣に「増収分はすでに支出している」と否定される始末。先の通常国会で数の力任せにさっさと決めた防衛増税は先送り、待ったなしと言っていた少子化対策予算の倍増は約10年後まで先延ばしするという無責任ぶりには、驚き呆れます。
無責任といえば、第2次岸田内閣の政務官1人、副大臣2人が、任命からわずか3ヶ月足らずで辞任に追い込まれました。それも、文科大臣政務官は女性問題で、法務副大臣は公選法の問題で、さらに、財務副大臣は税金の滞納です。岸田総理が言い訳がましく繰り返す「適材適所」は、まるでブラックジョークのようではありませんか。
本来ならば、大臣であろうとなかろうと、他人の給料が上がることに対して文句をつけるようなことはしたくはありません。しかしながら、他の先進国は概ね賃金の上昇傾向が続いているにもかかわらず、日本は「過去30年間にわたり一人当たりの賃金はおおむね横ばい」で推移するという異常事態が続いています。大幅な円安が追い打ちをかけ、若い世代を中心に、海外で仕事をした方が日本の何倍もの収入が得られるということで、こぞって海外に出始めています。こうした由々しき事態を招いてきた現在の最大の責任者は、岸田内閣に他なりません。
また、特別職には、2025年日本国際博覧会政府代表、すなわち大阪万博の政府代表も該当します。万博の予算は、当初の1250億円から1、5倍の1850億円、そして、現在は1.9倍の2350億円まで膨れ上がっています。今後、さらに予算が増える可能性について、政府は否定していません。杜撰な見積もりで多額の税金を無責任に投入し、国民の身を削りに削る万博の実施に対し、見直しの声は日に日に大きくなってきています。このような状況にあって、万博開催の責任者たる政府代表の給与の増額を、素直に認めることは難しいと言わざるを得ません。ちなみに、とある大阪の自治体では、公務員に無償労働を半ば強要し、ボランティアと称する劣悪な行政慣行が罷り通っていますが、立憲民主党はそのような「民間では通用しない」非常識な労働環境を断じて許容しません。立憲民主党は徹頭徹尾、働く人の味方です。  このような体たらくな行政運営を続けている現岸田内閣を、「全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」と認めることは困難です。真面目に職務に専念している公務員と同等の処遇を受けることに対して、両手をあげて賛成することはできません。そして、私たち行政監視の役割を担う野党の国会議員は、この体たらくな現政権を厳しく質しつつ、その政治の責任の一端を担う立場にある者として、今回の議員期末手当の引き上げを肯定することも、また、控えるべきであると考えます。以上の理由から、国家公務員一般職の給与法改正案に賛成、特別職の給与法改正案には反対する次第です。
他人の給与を上げるな!ではなく、自分の給与ももっと上げよ!と声をあげて団結し、互いに賃金アップを実現していく。そうした健全な資本主義社会を実現するために、私たち立憲民主党は、今後も働く人の立場に立って仕事をしていくことをお誓い申し上げて、公務員の給与法に関する討論を終わります。